仕事で車を使う個人事業主にとって、ガソリン代と高速道路料金は毎月のように発生する経費です。
どちらも現金や個人のカードで払っていると、領収書の整理や事業用・私用の切り分けに手間がかかります。
そこで、ガソリンカードとETCカードを両方そろえて支払いをすっきりさせたいと考え、ガソリンカードとETCの組み合わせについて調べている方も多いはずです。
先に答えをお伝えすると、ガソリンカードとETCカードは両方作れます。
ただし、この記事で紹介する協同組合のカードは1枚にまとまった一体型ではなく、給油用と高速道路用の2枚に分かれています。同じ協同組合で両方を申し込めば、出資金を二重に支払う必要はありません。
筆者自身も個人事業主として、ETC協同組合のガソリンカードとETCカードの両方を実際に利用していました。
この記事では、2026年10月時点の公式情報と筆者の利用経験をもとに、両方持つ仕組みや費用、注意点を分かりやすく整理します。
筆者の利用経験
- 個人事業主としてETC協同組合の法人ガソリンカードを申し込み利用
- その後、同じ組合の法人ETCカードを追加し、約5~6年間利用
- ETCカード追加時に出資金をもう一度支払う必要はなかった
- 現在、ETCカードは三井住友カードのETCカードに切り替え済み
この記事を読むと、次のポイントが分かります。
- ガソリンカードとETCカードの関係と一体型の有無
- 両方を同じ協同組合で作るときの出資金と手数料
- 個人事業主の筆者が実際に両方を使った流れ
- ETC協同組合と高速情報協同組合の違い
- 申し込み前に知っておきたい注意点と必要書類
ガソリンカードとETCカードは両方作れる?

ここでは、ガソリンカードとETCカードの基本的な関係を整理します。
2枚が別々のカードであること、一体型を探している方が誤解しやすいポイント、そして同じ協同組合で両方を作ったときの出資金の扱いを順番に解説します。
まずは全体像をつかんでから、具体的な比較や申し込みの話に進みましょう。
ガソリンカードとETCカードは別々のカード
協同組合が発行するガソリンカードとETCカードは、役割がはっきり分かれた別々のカードです。
ガソリンカードはガソリンや軽油を入れるための給油専用カードで、ETCカードは高速道路の料金を払うための高速道路専用カードという位置づけになります。
なぜ分かれているかというと、どちらもクレジットカードではなく、用途を限定した事業者向けのカードだからです。
ETC協同組合の法人ETCカードは高速道路専用で、ショッピングには利用できないと案内されています。ガソリンカードも給油専用で、一般的なクレジットカードのように買い物には使えません。
例えば、営業先へ高速道路で向かい、途中のサービスエリア外のスタンドで給油する場面を考えてみます。このとき、高速料金はETCカード、給油代はガソリンカードと、2枚を使い分ける形になります。
要するに、両方の支払いを後払いにしたいなら、2種類のカードをそれぞれ用意するのが基本です。
ETCとガソリンカードの一体型はある?
ETCとガソリンカードの一体型を探している方は多いものの、この記事で紹介するETC協同組合と高速情報協同組合のカードは一体型ではありません。
どちらの組合も、法人ETCカードと法人ガソリンカードを別の商品として案内しています。
一方で、一般的なクレジットカードであれば、本体カードで給油代を払い、付帯するETCカードで高速料金を払うことで、請求をクレジットカード会社1社にまとめられます。ただし、この場合もカードは本体とETCの2枚になります。
このように、1枚で給油と高速料金の両方を払えるカードを前提にするのではなく、2枚をどう組み合わせて管理しやすくするかという視点で選ぶのが現実的です。
同じ協同組合なら出資金は1万円のまま
同じ協同組合でガソリンカードとETCカードの両方を作る場合、出資金は基本的に1社1万円のままです。2種類のカードを作ったからといって、2万円が必要になるわけではありません。
その理由は、出資金がカード1枚ごとではなく、組合に加入する事業者1社ごとに預ける仕組みだからです。
ETC協同組合のよくある質問では、法人ETCカードと法人ガソリンカードを作っても出資金は1万円と回答されています。高速情報協同組合のQ&Aでも、ETCカードとガソリンカードを1枚ずつ希望して出資金は1社1万円と明記されています。
実際、筆者もETC協同組合のガソリンカードを先に作り、あとからETCカードを追加しましたが、すでに組合員だったため出資金をもう一度支払う必要はありませんでした。
なお、出資金は組合を脱退するときに返金される預け金です。
出資金の扱いについては、各組合の公式Q&Aでも確認できます(高速情報協同組合のQ&A)。
両方のカードを検討している方は、ETC協同組合の法人ガソリンカード
と法人ETCカード
、高速情報協同組合の法人ガソリンカード
と法人ETCカード
の現在の条件をそれぞれ確認しておきましょう。
ガソリンカードとETCカードを使った筆者の実体験

ここからは、個人事業主である筆者がETC協同組合のガソリンカードとETCカードを実際に使った流れを紹介します。
どちらを先に作ったのか、ETCカードをどのくらいの期間使ったのか、そして現在ETCカードをどう切り替えたのかまで、一次情報として順番にお伝えします。
先にETC協同組合のガソリンカードを作った
筆者が最初に申し込んだのは、ETC協同組合の法人ガソリンカードです。個人事業主として申し込み、給油専用のカードとして使い始めました。
申し込んだ当時は、カードが届くまで約2か月かかるとの連絡を受けました。
これはあくまで筆者が申し込んだ当時の体験であり、現在の発行期間を示すものではありません。急いでいる方は、申し込み前に組合へ目安を確認しておくと安心です。
使い始めてからは、給油後の支払いがスムーズになりました。スタンドで現金を用意したり、その都度レシートを受け取って保管したりする手間が減り、利用明細にまとまるので後から確認しやすくなった点が便利でした。

ガソリンカードそのものの使い心地や申し込みの流れは、ETC協同組合のガソリンカードを実際に使った体験談で詳しく紹介しています。
ETCカードを追加して5~6年利用した
ガソリンカードを使い始めたあと、同じETC協同組合で法人ETCカードも追加しました。

追加を決めた理由は、すでに組合員になっていたからです。前述の通り、出資金をもう一度支払う必要がなかったため、作りやすいです。
給油代と高速代を仕事用のカードに集めておくと、どれが事業の支出なのかを後から判断しやすくなります。
なお、ガソリン代やETCで支払った高速代は帳簿上の処理も必要です。勘定科目は旅費交通費で処理するのが一般的で、事業とプライベートの利用が混ざる場合は事業分だけを経費にします。
現在はETCを三井住友カードに切り替えた
現在、筆者のETCカードはETC協同組合の法人ETCカードから、三井住友カードのETCカードに切り替えています。

切り替えたきっかけは、筆者が保有している三井住友カードでETCカードを無料で発行できると知ったことです。
協同組合のETCカードは、クレジット会社の審査がない点が大きな強みです。一方で、後ほど詳しく解説する事務手数料が走行料金にかかります。
クレジットカードを問題なく作れる状況であれば、クレジットカード付帯のETCカードを選ぶことで、手数料の負担を見直せます。
ただし、クレジットカード付帯のETCカードの条件は、カードの種類によって異なります。
例えば三井住友カードのETCカードは、年会費が原則無料で、入会翌年度以降に前年度のETC利用請求が一度もない場合は年会費550円がかかると案内されています。
申し込む前に、自分が持つカードの条件を確認しておきましょう(三井住友カードのETCカードに関する注意事項)。
このように、協同組合のカードは開業直後などクレジットカードを作りにくい時期の心強い選択肢になり、事業が安定してきたら別のカードへ移るという使い方もできます。
どちらが合うかは、事業の状況に合わせて判断するのがおすすめです。
筆者が実際に利用していたETC協同組合の法人ガソリンカード
と法人ETCカード
は、現在も公式サイトから詳細を確認できます。
ガソリンカードとETCカード併用のメリットと注意点

ここでは、ガソリンカードとETCカードを両方持つことで得られるメリットと、申し込む前に知っておきたい注意点をまとめます。
給油代と高速代の管理がどう楽になるのか、そしてETCカードの手数料や使えるスタンド、審査の意味など、見落としやすいポイントを確認しておきましょう。
給油代と高速代を後払いで管理できる
両方を持つ一番のメリットは、仕事で発生する給油代と高速代を、どちらも後払いで管理できる点です。手元の現金を減らさずに移動の経費を払えるため、資金繰りにも余裕が生まれます。
例えば、ETC協同組合のガソリンカードは月末締めで翌月末に口座振替、ETCカードは月末締めで翌々月に口座振替となっています。
月の途中で支払いが発生しても、引き落としまで時間があるため、入金のタイミングを待ちながら支払いを進められます。
また、事業用の移動費を専用カードに集めると、記帳の手間も減ります。毎回レシートを探して金額を入力する作業から解放され、利用明細を見ながらまとめて処理できるようになります。
浮いた時間を本業や営業活動にあてられるのは、少人数で事業を回す個人事業主にとって大きな価値です。
さらに、ETC協同組合と高速情報協同組合の法人ETCカードは、特定の車両に限定されず、レンタカーなどでも利用できます。
また、高速情報協同組合は法人ガソリンカードについても車両限定ではないと公式Q&Aで案内しています。業務でレンタカーや代車を利用する機会がある事業者にとっても、使いやすい仕組みです。
ただし、ガソリンカードとETCカードでは支払時期が異なります。ETC協同組合の場合、ガソリンカードは翌月末、ETCカードは翌々月の引き落としで、WEB請求書の確認先もカードごとに分かれています。口座残高は、それぞれの引き落とし時期を確認したうえで管理しましょう。
併用前に知りたい費用と注意点
メリットがある一方で、両方を持つ前に確認しておきたい点もいくつかあります。
特に費用と使える場所、そして審査の意味は、申し込んだ後に想定と違ったと感じやすい部分です。
ETCカードには走行料金の8%の事務手数料がかかる
ガソリンカードはカード手数料・年会費ともに無料ですが、ETCカードには手数料がかかります。
ETC協同組合の場合、カード発行手数料が1枚880円、年間手数料が1枚880円で、さらに毎月の走行料金に対して8%の事務手数料が加わります。
例えば、高速料金を月に2万円使うと、事務手数料は月1,600円、年間では約19,200円です。高速道路をよく使う事業者ほど、この手数料の負担は大きくなります。高速情報協同組合も事務手数料は同じく8%です。
ガソリンカードは使えるスタンドが決まっている
協同組合のガソリンカードは、全国どこのスタンドでも使えるわけではありません。
ETC協同組合のTRUST&FLEXカードも、高速情報協同組合のガソリンカードも、全国約6,400店舗のアポロステーションで利用できると案内されています。
アポロステーションは、出光と昭和シェルのスタンドを統合したブランドです。高速情報協同組合のQ&Aでは、対応スタンドをアポロステーション・出光&昭和シェルSSと表記しており、それ以外のスタンドでは使用できないと明記されています。
普段使うルート沿いに対象のスタンドがあるかを、申し込み前に確認しておきましょう。
利用予定の店舗が対象か迷う場合は、組合へ直接問い合わせると確実です。なお、給油価格は毎月末に算出する組合価格で、高速道路上での給油は金額が異なります。
クレジット審査なしでも組合の審査はある
協同組合のカードがクレジット審査なしと紹介されるのは、クレジットカードではないためクレジット会社による審査がない、という意味です。誰でも必ず発行されるという意味ではありません。
ETC協同組合のガソリンカードでは、カードのお届けには組合規定の審査があると案内されています。
審査の結果によっては希望どおりに発行されないこともあるため、必要書類は正確にそろえて申し込みましょう。
ガソリンカードとETCを作れる協同組合を比較

ここでは、ガソリンカードとETCカードの両方を作れる代表的な協同組合として、ETC協同組合と高速情報協同組合を比較します。
両方を持つ場合の費用を表で整理したうえで、申し込みの流れと必要書類、よくある疑問への回答までまとめて確認できます。
ETC協同組合と高速情報協同組合の比較表
両方のカードを作るという前提で比べると、2つの組合の大きな違いはETCカードの発行手数料と年間手数料です。
出資金や事務手数料の率は同じ水準となっています。
| 項目 | ETC協同組合 | 高速情報協同組合 |
|---|---|---|
| 個人事業主の申し込み | 可能 | 可能 |
| 出資金(両方作る場合) | 1社1万円(脱退時返金) | 1社1万円(脱退時返金) |
| ガソリンカードの手数料・年会費 | 無料 | 無料 |
| ガソリンカードの対応スタンド | アポロステーション(全国約6,400店舗) | アポロステーション(全国約6,400店舗)※Q&Aには出光&昭和シェルSS対応の表記もあり |
| ガソリンカードの支払い | 月末締め翌月末口座振替 | 翌月末口座振替 |
| ETCカード発行手数料 | 880円/枚 | 550円/枚 |
| ETCカード年間手数料 | 880円/枚 | 550円/枚 |
| ETCカード事務手数料 | 走行料金の8% | 走行料金の8% |
| ETCカードの支払い | 月末締め翌々月口座振替 | 月末締め翌々月口座振替 |
| 筆者の利用経験 | あり(両方利用) | なし |
※2026年10月時点の各組合公式サイトの情報をもとに作成しています。最新の条件は申し込み前に公式サイトで確認してください。
費用だけを見ると、ETCカードの固定費は高速情報協同組合のほうが抑えられます。
一方、筆者が実際に両方のカードを使い、手続きや明細の確認を経験しているのはETC協同組合です。
利用した立場から言えば、ガソリンカードを先に作り、必要になった時点でETCカードを追加する流れでも手続きの負担は大きくありませんでした。
ETCカード単体で2つの組合を比べたい方は、クレジット審査なしで作れる法人ETCカード2社の比較も参考にしてください。
両方作る場合の申込方法と必要書類
ガソリンカードとETCカードは別々のカードで、申し込み方法は組合によって異なります。
ETC協同組合では、法人ガソリンカードの申込ページと法人ETCカードの申込ページが分かれています。申し込みの流れは次のとおりです。
- 公式サイトのフォームから申し込む
- 届いた書類に必要事項を記入する
- 添付書類を返送し、出資金を入金する
個人事業主の場合、ガソリンカードでは確定申告書の写し、運転免許証などの身分証明書の写し、車検証の写しが必要です。
ETCカードでは、確定申告書や収支内訳書の写しに加えて、車検証の写しとETC車載器のセットアップ証明書の写しを用意します。
一方、高速情報協同組合では、法人ガソリンカード
の申し込み時に法人ETCカード
も同時に申し込み可能です。
その場合は、確定申告書と運転免許証に加えて、車検証とETC車載器のセットアップ証明書が必要です。両方を一度にそろえたい方にとって、手続きをまとめやすい点はうれしいポイントです。
なお、開業したばかりで確定申告書がない場合、高速情報協同組合では開業届の写しで対応できると案内しています。
ETC協同組合も法人ETCカードについては、開業届や契約書類の写しなどで申請できるとしています。ガソリンカードの必要書類については、申し込み前に各組合へ確認しておくと安心です。
セットアップ証明書は、ETC車載器を取り付けたときに発行される書類で、車検証と一緒に保管されていることがほとんどです。見当たらない場合は、ディーラーやカー用品店で再セットアップを依頼できます。
ガソリンカードとETCに関するよくある質問
最後に、ガソリンカードとETCカードを検討している方が迷いやすい疑問をまとめます。
ガソリンカードで高速道路料金は払えますか?
払えません。協同組合のガソリンカードは給油専用なので、高速道路料金を後払いにしたい場合は、別にETCカードを用意する必要があります。逆に、ETCカードで給油代を払うこともできません。
高速道路をほとんど使わない場合も両方必要ですか?
必要ありません。給油が中心で高速道路をほとんど使わないなら、ガソリンカードだけで十分です。
ETCカードには年間手数料と事務手数料がかかるため、使う予定がないのに作ると固定費だけが残ります。反対に、高速道路は使うけれど給油は個人のカードで問題ないという方は、ETCカードだけを選ぶ方法もあります。
個人事業主でも両方申し込めますか?
申し込めます。ETC協同組合も高速情報協同組合も、法人だけでなく個人事業主を対象としています。必要書類は組合やカードの種類、開業時期によって異なるため、申し込み前に公式サイトで確認してください。
まとめ
ガソリンカードとETCカードは両方作れます。ただし、ETC協同組合や高速情報協同組合のカードは一体型ではなく、給油専用のガソリンカードと高速道路専用のETCカードの2枚に分かれています。
同じ協同組合で両方を作れば、出資金は1社1万円のままで、二重に支払う必要はありません。
両方を持つと、給油代と高速代を後払いにでき、利用明細で仕事の移動費を管理しやすくなります。一方で、ETCカードには走行料金の8%の事務手数料がかかり、ガソリンカードは使えるスタンドが限られます。
クレジット審査なしという言葉も、組合の審査がないという意味ではない点を押さえておきましょう。
クレジット会社による審査がないカードを検討している方は、協同組合のカードも選択肢として検討してみてください。