給付金などの支援のニュースで、対象としてたびたび登場するのがこの住民税非課税世帯です。
言葉自体は聞いたことがあっても、自分の家が当てはまるのか、年収がいくら以下なら該当するのか、条件まではよく分からないと思うかもしれません。
特に個人事業主やフリーランスの方は、会社員と所得の計算方法が違うため、判定の考え方でつまずきやすいところです。
そこでこの記事では、住民税非課税世帯とは何かをわかりやすく整理したうえで、非課税になる年収の目安や条件、自分が該当するかどうかの調べ方まで、順を追って解説します。
2026年の最新の税制をふまえた内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を読むと、次のことが分かります。
本記事のポイント
- 住民税非課税世帯とはどんな世帯を指すのか
- 単身や扶養ありなど世帯構成別に見る非課税の年収目安
- 個人事業主やフリーランスならではの判定の考え方
- 自分の世帯が非課税かどうかを確認する具体的な方法
- 非課税世帯になると受けられる給付金や減免などの優遇措置
\この記事の内容は動画でも解説しています/
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住民税非課税世帯とは?条件をわかりやすく解説

はじめに、そもそも住民税非課税世帯とは何かという基本から押さえていきます。
住民税には所得割と均等割という2つの種類があり、その両方がゼロになることが非課税の出発点です。
ここでは言葉の意味、非課税になる条件、さらに会社員とは判定が異なる個人事業主やフリーランスのポイントまで、初めての方にもわかりやすい言葉で整理します。
まずは全体像をつかんでいきましょう。
住民税非課税世帯とは
住民税非課税世帯とは、基本的に住民票上の同一世帯にいる全員の住民税が0円になっている世帯のことをいいます。
世帯のなかに1人でも住民税を納めている人がいれば、その世帯は非課税世帯にはなりません。
例えば父・母・あなたの3人で暮らしている場合を考えてみます。
母とあなたの収入がゼロでも、父が会社員として住民税を納めていれば、この世帯は非課税世帯に当てはまりません。
一方、一人暮らしの方であれば判定するのは本人ひとりだけなので、自分の住民税が0円ならそれだけで非課税世帯となります。
つまり、世帯の人数が多いほど、全員が条件を満たすハードルは上がっていきます。
所得割と均等割が非課税になる条件
住民税非課税世帯になるには、世帯全員が所得割と均等割の両方とも非課税である必要があります。
この両方が0円になる条件は、主に次の3つのいずれかに当てはまる場合です。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 生活保護を受けている | 生活扶助を受けている方は住民税が全額非課税になります |
| 障害者・未成年者・寡婦・ひとり親 | 前年の合計所得が135万円以下(給与収入のみなら年収204万4,000円未満が目安) |
| 合計所得が基準以下 | 単身は45万円以下。扶養家族がいる場合は下記の計算式で判定 |
多くの方に関わるのが、3つ目の合計所得金額による判定です。
扶養している家族がいない単身の方は、前年の合計所得金額が45万円以下であれば住民税が非課税となります。
同一生計配偶者や扶養親族がいる場合は、35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の人数)+31万円という計算式で求めた金額以下であれば、住民税はかかりません。
ここでいう合計所得とは、給与所得や事業所得、公的年金等の雑所得などを合計した金額です。
給与収入なら給与所得控除を差し引いた後、事業収入なら必要経費を差し引いた後の金額がもとになります。
基礎控除や社会保険料控除などを引いた後の課税所得とは別物なので、混同しないようにしましょう。
なお、住民税の所得割と均等割のしくみそのものについては、総務省の公式ページで概要が確認できます。
地域によって基準額が少し変わる点には注意しておきましょう。
参考:総務省「個人住民税」
個人事業主やフリーランスの判定ポイント
会社員との違い
会社員と個人事業主では、住民税非課税世帯の判定で見るポイントが異なります。
給与収入に応じた給与所得控除で自動的に判定される会社員と違い、個人事業主やフリーランスは、売上から必要経費を差し引いた合計所得(事業所得)で判定される点を押さえておきましょう。
この違いが大切な理由は、同じ売上でも、経費をきちんと計上できているかどうかで合計所得が変わり、非課税の基準を満たすかどうかが決まってくるからです。
例えば年間の売上が150万円でも、必要経費が120万円かかっていれば合計所得は30万円となり、単身者の非課税ライン45万円以下に収まります。
逆に経費の計上漏れがあると、本来は非課税の範囲に収まるはずの所得が膨らみ、住民税がかかる原因になります。
収入と所得の違い
収入とは、給与や売上など入ってきた金額そのものを指し、所得とはそこから給与所得控除や必要経費を差し引いた後に残る金額を指します。
住民税非課税世帯の判定で使うのは、基本的に後者の合計所得金額です。
ここを混同すると、自分が非課税ラインのどこにいるのかを見誤ってしまうため、まずはこの2つの違いを意識しておきましょう。
だからこそ、日々の記帳で経費を正確に積み上げ、自分の合計所得を正しく把握しておくことが欠かせません。
住民税非課税世帯になる年収の目安と早見表

ここからは、住民税非課税世帯になる年収の目安を世帯構成ごとに見ていきます。
単身、夫婦、子どもがいる世帯、そして年金生活の方まで、ケース別の目安を早見表で整理しました。
2025年と2026年で基準が動いている点もあわせて解説しますので、ご自身の状況に近いところを確認してみてください。
世帯構成別に見る年収目安
住民税が非課税になるかどうかは、世帯構成によって目安となる年収が変わります。
判定の中心となるのは、合計所得金額が45万円以下かどうかという点です。
給与収入だけで暮らす単身の方の場合、2025年の収入であれば年収110万円以下が非課税の目安です。
これは給与収入110万円から給与所得控除65万円を差し引くと、合計所得が45万円になるためです。
さらに2026年の税制改正で給与所得控除の最低額が74万円に引き上げられたため、2026年の収入で見ると年収119万円以下まで目安が広がります(こちらは2027年度の住民税に反映されます)。
扶養している家族がいる場合は、先ほどの計算式(35万円×人数+31万円)にあてはめて求めます。
家族が増えるほど、非課税となる年収の上限も上がっていく仕組みです。
住民税非課税世帯の早見表
給与収入のみの世帯について、世帯構成別の非課税の目安を一覧にまとめました。
下表は2025年の収入をもとにした、2026年度(令和8年度)の住民税の目安です。
| 世帯構成 | 合計所得金額の上限 | 給与収入での年収目安 |
|---|---|---|
| 単身(扶養なし) | 45万円 | 約110万円 |
| 夫婦のみ(配偶者を扶養) | 101万円 | 約166万円 |
| 夫婦+子1人 | 136万円 | 約206万円 |
| 夫婦+子2人 | 171万円 | 約256万円 |
注意したいのは、この金額がお住まいの地域(級地)によって多少変わる点です。
また、2026年の収入で判定される2027年度の住民税では、給与所得控除の最低額が74万円に上がるため、単身者の非課税目安は給与収入119万円以下に広がります。
ただし、扶養している家族がいる世帯の年収目安は、給与収入の額や世帯構成によって計算が変わるため、一律に9万円上がるわけではありません。
ご自身の地域の正確な基準を知りたい方は、お住まいの市区町村の窓口や、東京都にお住まいなら主税局の公式ページで確認しておくと確実です。
年金収入のみの世帯
年金で生活している方は、給与とは控除額が異なるため、非課税になる年収の目安も変わります。
年金収入のみの単身の場合、65歳以上の方は年金収入155万円以下、65歳未満の方は年金収入105万円以下が目安です。
この差は、公的年金等控除の金額によるものです。65歳以上は最低110万円、65歳未満は最低60万円が年金収入から差し引かれ、その結果の合計所得が45万円以下になれば非課税になる、という考え方です。
配偶者を扶養している65歳以上の方であれば、年金収入が211万円程度まで非課税となるケースもあります。
| 世帯 | 年金収入の目安 |
|---|---|
| 65歳以上・単身 | 155万円以下 |
| 65歳未満・単身 | 105万円以下 |
| 65歳以上・夫婦(配偶者を扶養) | 211万円程度以下 |
遺族年金や障害年金は、そもそも住民税の対象とならない非課税の年金です。
これらは合計所得に含まれないため、判定の際は公的年金等の金額だけで考えれば問題ありません。
自分が住民税非課税世帯か調べる方法

基準が分かっても、結局自分の世帯が当てはまるのか不安という方は多いはずです。
ここからは、手元の書類や役所の証明書を使って住民税非課税世帯かどうかを調べる具体的な方法を紹介します。
あわせて、年収が高めでも非課税になる金持ちのケースという、少し意外なパターンにも触れていきます。
課税証明書や納税通知書で確認する
自分の世帯が住民税非課税かどうかを確実に知るには、お住まいの市区町村で課税証明書(非課税証明書)を取得するのが一番です。
住民税額の欄が0円や非課税と記載されていれば、非課税の対象だと判断できます。
本人確認書類があれば、その場で発行してもらえます。
手元の書類でおおよその見当をつける方法もあります。
毎年6月ごろに届く住民税の納税通知書で税額が0円になっていれば非課税です。
会社員の方なら、源泉徴収票の給与所得控除後の金額が非課税基準以下かどうかが目安になります。
個人事業主やフリーランスの方は、確定申告書に記載される合計所得金額をチェックしましょう。
前述の通り、判定は売上ではなく経費を引いた後の合計所得で行われます。
確定申告の数字がそのまま判定のもとになるため、日ごろから会計ソフトで正確に所得を集計しておくと、自分が非課税ラインのどのあたりにいるのかをすぐ把握できます。
ひとつ覚えておきたいのが、住民税は前年の所得で判定される後払いの仕組みだという点です。
今年に入って収入が大きく減っても、判定に反映されるのは翌年度になります。
今が苦しいからといって、すぐに非課税世帯になるわけではない点には気をつけましょう。
年収が高い金持ちでも非課税になる例外
お金持ちなのに住民税非課税世帯、という話を耳にして、不公平に感じる方もいるでしょう。
ただ、原則として収入がしっかりある世帯は非課税にはなりません。
では、なぜそうした例が生まれるのでしょうか。
理由は、住民税の判定が手取りや売上の多さではなく、あくまで合計所得金額で行われるからです。
次のようなケースでは、見た目の年収が高くても合計所得が低く算出されます。
- 多額の必要経費や減価償却費がかかり、事業所得が大きく圧縮されている
- 不動産所得などで赤字が出て、ほかの所得と損益通算された
また、株式をたくさん持っていても、含み益の段階では所得になりません。
売却して利益が確定して、はじめて所得として扱われます。
資産が多いことと所得が多いことは必ずしも一致しないため、こうした非課税世帯が生まれるわけです。
ただし、これは制度上のしくみによるものであって、収入を偽って給付金を受け取るような行為とはまったく別のものです。
正しい申告のうえで成り立つものだという点は、誤解しないようにしましょう。
住民税非課税世帯が受けられる優遇措置

住民税非課税世帯の大きなメリットは、住民税が0円になるだけでなく、さまざまな優遇措置を受けられる点にあります。
ここでは、給付金や保険料の軽減、医療・介護・教育にかかる費用の減免まで、家計を助ける制度をまとめて紹介します。
あわせて、世帯分離で非課税世帯を目指すいわゆる裏ワザと、その注意点も解説しますので、損をしないために確認しておきましょう。
給付金と保険料・医療費の負担軽減
住民税非課税世帯になると、家計の負担を軽くする支援を幅広く受けられます。
代表的なものが給付金です。
住民税非課税世帯を対象に1世帯あたり数万円~10万円ほどの現金が支給される動きが、これまでたびたび行われてきました。
毎月の固定費に関わる軽減も見逃せません。
国民健康保険料は、前年の所得が一定の基準を下回る世帯について、均等割や平等割などの部分が7割・5割・2割軽減されます。
国民年金保険料も、申請して承認されれば免除を受けられます。
全額免除を受けた場合でも、将来の基礎年金の2分の1は国が負担してくれるため、未納のまま放置するより有利です。
医療費の面では、高額療養費制度の自己負担の上限が下がります。
70歳未満で一般的な所得の方と比べると、非課税世帯の上限はかなり低く設定されています。
| 区分 | 高額療養費の自己負担上限(70歳未満・1か月) |
|---|---|
| 一般的な所得の世帯 | 約80,100円+医療費に応じた加算 |
| 住民税非課税世帯 | 35,400円 |
ほかにも、65歳以上の介護保険料が軽減されたり、介護サービス費の自己負担上限が引き下げられたりと、医療と介護の両面で負担が軽くなります。
保育料・教育費・介護費用の軽減
子育てや教育、介護にかかる費用でも、住民税非課税世帯には手厚い支援が用意されています。
金額の大きい出費だけに、家計への効果も大きい部分です。
子育て世帯では、通常3歳から5歳が対象の幼児教育・保育の無償化に加えて、住民税非課税世帯なら0歳から2歳の保育料も無償化の対象になります。
ただし、認可外保育施設などは月額の上限や認定要件があるため、利用する施設ごとの条件を確認しておきましょう。
高校生がいる家庭なら、要件を満たすことで、返済不要の高校生等奨学給付金により授業料以外の教育費を補助してもらえます。
大学などへ進学する際にも、要件を満たせば、高等教育の修学支援新制度によって、入学金や授業料の減免と給付型奨学金の支援を受けられます。
介護の場面でも、要件を満たせば、特別養護老人ホームなどを利用するときの食費や居住費が軽減されます。
高額な介護サービスを利用した月の自己負担上限も、住民税非課税世帯では世帯単位で月24,600円までに抑えられる区分があります。
教育費や介護費は金額が大きいぶん、こうした減免を受けられるかどうかで、世帯の家計は大きく変わってきます。
世帯分離の注意点
住民税非課税世帯になるための方法として、世帯分離が裏ワザのように紹介されることがあります。
世帯分離とは、同じ住所に住みながら住民票上の世帯を分ける手続きのことです。
例えば年金収入の少ない親と同居している場合、親を別世帯にすることで親世帯だけが住民税非課税世帯となり、介護保険料や介護サービス費の負担を軽くできることがあります。
ただし、そのためには分けた後の親世帯の合計所得が非課税基準以下であることが前提です。
また、世帯分離はあくまで住民票上の手続きであり、実際に生計を別にしている実態が求められます。
ただし、世帯分離にはデメリットもあるため、安易に行うのは禁物です。
- 世帯ごとに保険料がかかるため、国民健康保険料の総額がかえって増えることがある
- 勤務先の家族手当や扶養手当が支給されなくなる
- 生計を別にする実態になると、税金の扶養控除が使えなくなり、世帯全体の税負担が増えることがある
なお、世帯分離をしただけで、税金の扶養控除が自動的に使えなくなるわけではありません。
扶養控除は生計を一にしているかどうかなどの要件で判定されるため、住民税や社会保険・介護保険の扱いとは分けて考える必要があります。
これらを踏まえると、世帯分離は目先の軽減だけで判断せず、家計全体への影響を見極めることが欠かせません。
まとめ
住民税非課税世帯とは、世帯全員の住民税が0円になっている世帯のことです。
判定の中心は前年の合計所得金額で、給与収入だけの単身者なら2025年の収入で年収110万円以下、2026年の収入では119万円以下が非課税の目安となります。
個人事業主やフリーランスの方は、売上ではなく経費を引いた後の合計所得で判定される点を押さえ、日ごろから正確に所得を把握しておくことが大切です。
非課税世帯になると、給付金の対象になりやすいほか、国民健康保険料や医療費、保育料、介護費用まで、さまざまな負担が軽くなります。
自分の世帯が当てはまるか不安な方は、課税証明書や納税通知書で確認してみましょう。
世帯分離という方法もありますが、デメリットも小さくないため、慎重な判断が必要です。
受けられる支援を取りこぼさないよう、今のうちにご自身の世帯の状況を整理しておきましょう。