【令和8年度版】国民年金が払えない場合の免除・猶予の申請方法

フリーランスや個人事業主として活動していると、収入が不安定な時期もあります。

毎月の国民年金保険料の支払いを重く感じ、「今月、払えるだろうか…」と不安になることもあるかもしれません。

しかし、支払いが困難だからといって「未納」のまま放置するのは、将来のリスクを考えると非常に危険です。

この記事では、経済的に保険料を納めるのが難しい方のために用意されている国民年金保険料の免除・納付猶予制度について、令和8年度(2026年度)の情報をもとに、その条件や申請方法、注意点を詳しく解説します。

 

  • 免除と納付猶予の具体的な所得基準(令和8年度)
  • 免除制度を利用するメリットとデメリット
  • 失業や廃業の場合の特例措置
  • 産前産後・育児期間中の免除制度
  • 免除申請の手続きと却下された場合の対処法

 

本記事は令和8年度(2026年度)時点の制度・金額にもとづく一般的な解説です。個別の判断は、お近くの年金事務所・お住まいの市区町村の窓口にご確認ください。当サイトの運営者は、ファイナンシャルプランナー2級・AFP、日商簿記2級の資格を持つ現役の個人事業主です。詳細は運営者情報をご覧ください。

 

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国民年金の免除・納付猶予の基本

 

年金手帳とビックリマーク

 

国民年金保険料の支払いが難しいと感じたとき、まず知っておきたいのが「免除」と「納付猶予」の制度です。

このセクションでは、どのような方が対象になるのか、所得の基準はいくらなのか、無職・失業・廃業した場合の特例などを、わかりやすく解説します。

免除・納付猶予の所得基準(令和8年度)

国民年金保険料の免除や納付猶予を受けられるかどうかは、原則として申請者ご本人・配偶者・世帯主の「前年所得」によって審査されます。

ただし、申請する時期が1月~6月の場合は「前々年所得」が審査対象となる点に注意が必要です。

ここで大切なのは、フリーランスや個人事業主の場合、「売上」ではなく「所得」が基準になる点です。

制度には「全額免除」「一部免除(4分の3、半額、4分の1)」「納付猶予」があり、それぞれ所得基準が異なります。

なお、以下の表に示す所得基準はあくまで目安です。

特に一部免除の基準額は、確定申告で申告した社会保険料控除額や扶養親族の状況などによって変動します。

 

免除・猶予の種類 所得基準の目安(単身・扶養なしの場合) 審査対象
全額免除 所得 67万円以下 本人・配偶者・世帯主
4分の3免除 88万円+各種控除額 本人・配偶者・世帯主
半額免除 128万円+各種控除額 本人・配偶者・世帯主
4分の1免除 168万円+各種控除額 本人・配偶者・世帯主
納付猶予(20歳以上50歳未満) 所得 67万円以下 本人・配偶者

※全額免除・納付猶予の基準計算式:(扶養親族等の数 + 1)× 35万円 + 32万円
※一部免除(4分の3・半額・4分の1)の基準額には、扶養親族等控除額や社会保険料控除額などが加算されます。

参考:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」

「免除」と「納付猶予」の違い

「免除」「納付猶予」は、どちらも経済的に困難な場合に保険料の納付負担を軽減する制度です。

両制度とも、承認されればその期間は将来の年金受給に必要な「受給資格期間」にカウントされます。

これにより、万が一のときの障害年金や遺族年金の保険料納付要件にも含まれるため、「未納」を防ぐ上で非常に有効です。

ただし、2つの制度には大きな違いがあります。

将来もらえる老齢基礎年金額に反映されるかどうかです。

 

項目 免除制度 納付猶予制度
対象年齢 20歳~60歳未満 20歳~50歳未満
審査対象 本人・配偶者・世帯主 本人・配偶者
年金額への反映 反映される(全額免除:1/2、4分の3免除:5/8、半額免除:6/8、4分の1免除:7/8) 反映されない
受給資格期間への算入 される される
追納(後払い) 10年以内なら可能 10年以内なら可能

 

納付猶予は年金額に反映されないため、将来の受給額を少しでも確保したい場合は、免除制度の方がメリットがあると考えられます。

どちらの制度も、10年以内であれば「追納」が可能です。

一部免除は「減額後の保険料」を必ず納める

一部免除(4分の3・半額・4分の1)が承認された場合、減額された後の保険料を実際に納める必要があります

令和8年度に納める保険料額は、次のとおりです。

  • 4分の3免除 … 月 4,480円(令和8年度)
  • 半額免除 … 月 8,960円(令和8年度)
  • 4分の1免除 … 月 13,440円(令和8年度)

この減額後の保険料を納めないと、その期間は一部免除が無効となり「未納期間」として扱われます。

承認されたら必ず納めましょう。

年金額はどのくらい変わるのか(令和8年度の目安)

具体的な金額で見ると違いがわかりやすくなります。

令和8年度の老齢基礎年金(昭和31年4月2日以後生まれ)の満額は、年 847,300円です。

これに対し、全額免除の期間は「全額納付の2分の1」で計算されるため、その期間に対応する年金額は満額ベースで年 423,650円相当まで下がります(国庫負担分のみ反映されるため)。

「免除を受けても半分は残る」と考えれば未納より圧倒的に有利ですが、「満額には届かない」という点は、追納を検討する判断材料になります。

免除のシミュレーション

ご自身が対象になるか、まずは前年(または前々年)の確定申告書を準備し「所得金額」の欄を確認しましょう。

例えば、フリーランスのWebデザイナーで、前年の所得金額が約180万円だったとします(7月以降に申請と仮定)。

この場合、所得180万円は「4分の1免除」の基準である168万円を超えているため、原則的な所得基準では免除・猶予の対象外となる可能性が高いと判断されます。

ただし、次に説明する「失業・廃業の特例」に当てはまれば、結論が変わることがあります。

失業・廃業した個人事業主は「特例免除」を確認

 

経営破綻、経営悪化、倒産の文字

 

所得基準では対象外でも、まだ諦める必要はありません。

「失業等による特例免除」という制度があります。

これは、失業・倒産・事業の廃止(廃業)などにより保険料の納付が困難になった場合に利用できる特例で、失業・廃業した本人の前年所得を除外して審査してもらえます

ただし、配偶者や世帯主が審査対象となる場合、その方々の所得審査は通常どおり行われます。

前年の所得が基準を超えていても、配偶者・世帯主の所得が基準内であれば、免除や猶予が承認される可能性が高くなります。

自己都合による退職や廃業でも利用できます。

個人事業主が「廃業・休止」を証明する書類

会社員は「雇用保険被保険者離職票」などで失業を証明できますが、個人事業主の場合は、次のような書類で失業(廃業・休止)の事実を示します。

  • 税務署へ提出した「個人事業の開廃業等届出書」「事業廃止届出書」の写し
  • 厚生労働省が実施する総合支援資金貸付の貸付決定通知書の写し(および申請時の添付書類の写し)
  • 履歴事項全部証明書または閉鎖事項全部証明書(法人の場合)
  • 保健所への廃止届出書の控(受付印のあるもの) など

書類をそろえにくい場合は、別途「失業の状態にある」ことの申し立てが必要になることがあります。

詳しくは申請時に窓口へ確認してください。

特例が適用される期間

失業等による特例免除が適用される期間は、原則として、失業等のあった月の前月分から、失業等のあった月の属する年度またはその翌年度末(6月分)までです。

申請する時期が1月~6月か、7月以降かによって対象年度の数え方が変わるため、具体的な対象月は申請時に年金事務所・市区町村窓口で確認してください。

納付猶予という選択肢

無職で所得がない、あるいは前年所得が基準以下であれば、免除に該当する可能性は高いです。

ただし注意点があります。

「免除」制度は、申請者本人だけでなく、配偶者や世帯主の所得も審査対象になります。

例えば、ご本人が無職で所得0円でも、実家暮らしで世帯主である父親に十分な所得がある場合、「免除」の申請は却下されることがあります。

このような場合、ご本人が50歳未満であれば「納付猶予」制度を申請するのが有効です。

納付猶予の審査対象は本人と配偶者のみで、世帯主の所得は問われないため、承認される可能性が高まります。

所得に関係なく受けられる免除

 

笑顔の女性が手を挙げて案内している

 

ここまでの「申請免除」とは別に、所得に関係なく受けられる免除もあります。

代表的なのが、出産前後の「産前産後期間の免除」、令和8年(2026年)10月から始まる「育児期間中の保険料免除」、そして障害基礎年金の受給者や生活保護の生活扶助を受けている方などが対象になる「法定免除」です。

いずれも、通常の申請免除とは対象者や年金額への反映のされ方が異なります。

個人事業主やフリーランスにも関係するため、あわせて押さえておきましょう。

産前産後期間の免除

出産予定日または出産日の前月から4か月間の保険料が免除されます。

多胎妊娠の場合は出産予定日または出産日の3か月前から6か月間です。

この産前産後期間の免除は、所得にかかわらず受けられるうえ、他の免除と違って保険料を納付した期間として扱われます。

つまり、この期間は将来の年金額が減りません。

一般的な申請免除とは異なり、産前産後免除は「保険料を納付した期間」として扱われる点が大きなメリットです。

出産する個人事業主・フリーランスの方は、忘れずに届け出ましょう。

育児期間中の保険料免除(令和8年10月から)

令和8年(2026年)10月から、国民年金第1号被保険者を対象に、育児期間中の国民年金保険料免除制度が始まります。

対象になるのは、1歳になるまでの子を養育する国民年金第1号被保険者の実父母・養父母です。

個人事業主・フリーランス・自営業者などは国民年金第1号被保険者に該当するため、子育て中の方にとって大きな改正といえます。

この制度は、所得要件がありません。

子との親子関係が継続していること、子と同一住所であることなど、一定の要件を満たせば対象になります。

免除される期間は、子が1歳になる誕生日の前月までです。

令和8年度の国民年金保険料は月額17,920円のため、対象になれば家計負担の軽減につながります。

さらに重要なのは、育児期間中の免除も、保険料を納付した場合と同じように将来の年金額へ反映される点です。

通常の申請免除のように老齢基礎年金額が減る扱いではないため、子育て中の個人事業主・フリーランスは必ず確認しておきたい制度です。

なお、会社員や公務員などの第2号被保険者は、厚生年金保険料等の産前産後休業・育児休業等期間中の免除制度が対象になります。

また、第2号被保険者に扶養されている配偶者である第3号被保険者は、この国民年金の育児免除制度の対象ではありません。

法定免除

障害基礎年金を受けている方や、生活保護法による生活扶助を受けている方は、申請免除ではなく「法定免除」の対象となります。

法定免除は、所得が少ないかどうかを審査して承認される一般的な申請免除とは異なり、一定の要件に該当した場合に保険料が免除される制度です。

主な対象者は、生活保護の生活扶助を受けている方、障害基礎年金や被用者年金の障害年金(2級以上)を受けている方、国立ハンセン病療養所などで療養している方です。

ただし、対象になる場合でも自動的にすべての手続きが完了するわけではなく、原則として「国民年金保険料免除事由(該当・消滅)届」の提出が必要です。

法定免除を受けた期間は、老齢基礎年金の受給資格期間に含まれます。

ただし、老齢基礎年金額への反映は全額納付と同じではありません。

将来の年金額を増やしたい場合は、条件に応じて保険料を納付する申出や追納を検討できる場合もあるため、該当する方は年金事務所や市区町村窓口で確認しましょう。

国民年金免除の申請方法と注意点

 

免除・納付猶予の書類

 

国民年金保険料の免除や納付猶予は、条件に当てはまっていても、自動的に適用されるわけではありません。

保険料の支払いが難しい場合は、未納のまま放置せず、必ず申請手続きを行う必要があります。

申請は市区町村の窓口や年金事務所で行えるほか、マイナンバーカードがあればマイナポータルから電子申請も可能です。

また、免除・納付猶予の年度は7月から翌年6月までで、原則として年度ごとに申請が必要です。

申請が遅れると、万が一のときに障害年金や遺族年金を受け取れないリスクもあるため、早めに手続きしましょう。

申請方法と必要書類

申請手続きは、お住まいの市区町村役場の国民年金担当窓口、またはお近くの年金事務所で行います。

申請は原則として毎年度必要です。

全額免除・納付猶予の承認を受けた方は、継続審査を希望すれば翌年度以降も自動で審査されます。

ただし失業等の特例で承認された方は翌年度も申請が必要です。

なお、免除・納付猶予の年度は7月から翌年6月までで、令和8年度(2026年度)分は令和8年7月以降に申請できます。

  • 窓口で申請:市区町村役場や年金事務所で申請書を記入・提出
  • 郵送で申請:日本年金機構のホームページから申請書をダウンロードし、管轄の年金事務所へ郵送
  • 電子申請:マイナンバーカードをお持ちなら、マイナポータルから電子申請が可能。「ねんきんネット」では申請書の作成もできます

必要なもの

  • 本人確認書類(マイナンバーカード、または基礎年金番号通知書+運転免許証など)
  • 失業・廃業による特例を申請する場合:離職票、雇用保険受給資格者証、開廃業等届出書の写しなど、失業・廃業の事実が確認できる書類

なお、申請者本人・配偶者・世帯主の中に、前年(前々年)の所得について税の申告をしていない方がいる場合は、先に市区町村で住民税の申告を済ませてから申請してください。

「申請したのに納付書が届く」理由

免除を申請したのに「納付書」が届くと、「却下されたのでは?」と不安になるかもしれませんが、心配は不要です。

免除申請の結果が出るまでには、通常2~3か月程度かかります。

そのため、審査中に行き違いで納付書が発送されることがよくあります。

審査結果は後日ハガキで届きます。

結果が届くまでは、手元の納付書で納付せず保管しておきましょう。

「全額免除」や「納付猶予」の承認通知が届けば、その納付書は破棄して問題ありません。

申請が却下されたときの対処法

却下される最も一般的な理由は、所得基準の超過です。

本人・配偶者・世帯主のいずれかの前年(前々年)所得が基準を上回っていると、承認されません。

  • 却下理由の確認:却下通知書で、誰の所得が基準を超えたのかを確認する
  • 納付猶予で再申請(50歳未満):世帯主の所得が理由で免除が却下された場合、納付猶予なら世帯主は審査対象外のため、承認される可能性がある
  • 一部免除が承認された場合:減額後の保険料を必ず納める(納めないと未納扱い)
  • 放置しない:却下されたまま放置すると「未納」となるため、納付するか年金事務所に相談する

免除のデメリットと未納のリスク

 

男性とリスクの文字

 

経済的に困難な場合は、免除や猶予の申請をすべきです。

ただし、デメリットも理解しておきましょう。

免除のデメリット

将来の老齢年金額が減る

全額免除の期間は、全額納付した場合の2分の1で計算されます。

一部免除も納付割合に応じて減額、納付猶予は年金額に反映されません。

追納しないと回復しない

免除・猶予された保険料は10年以内なら追納できますが、追納できなければ年金額は減ったまま確定します。

免除や猶予を受けている期間は、付加年金・国民年金基金に加入できません。

申請免除・納付猶予期間中は、年金を上乗せできる付加年金や国民年金基金を利用できません。

「未納」のまま放置するのが最大のリスク

デメリットがあるとはいえ、申請せず「未納」のまま放置することは、比較にならないほど大きなリスクを伴います。

将来の年金がゼロになる可能性

老齢基礎年金は、受給資格期間が10年未満だと1円も受け取れません。

免除期間はカウントされますが、未納期間はカウントされません。

障害年金・遺族年金を受け取れない可能性

障害の初診日や死亡日の前々月までの直近1年間に未納があるなど、一定の場合は障害基礎年金・遺族基礎年金が支給されません。

さかのぼって申請しても納付要件には算入されません。

財産の差し押さえ

納付書や督促状を無視し続けると、最終的に財産が差し押さえられる可能性があります。

たとえ年金額が減るデメリットがあっても、支払いが困難な場合は必ず「免除」または「納付猶予」を申請することが、将来を守る最善の選択です。

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まとめ

 

今回は、フリーランス・個人事業主が直面しがちな国民年金の支払いについて、令和8年度(2026年度)の免除・納付猶予制度を解説しました。

  • 免除・猶予は、前年(1~6月申請は前々年)の所得で承認が決まる。
  • 所得が基準を超えても、失業・廃業の特例なら本人の所得を除外して審査される。
  • 出産前後は所得に関係なく免除され満額納付扱いで年金額が減らない。令和8年10月からは育児期間中の免除も始まる。
  • 免除は年金額が減るが受給資格期間に含まれる。納付猶予は年金額に反映されないが、同じく受給資格期間に含まれる。どちらも10年以内の追納で回復できる。
  • 最も避けるべきは、申請もせず未納のまま放置すること。

経済的に厳しいときだからこそ、ご自身の条件を正しく確認し、適切な手続きを行うことが、将来の安心を守る第一歩です。

個別の事情は、お近くの年金事務所・市区町村窓口にご相談ください。

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