自宅や事務所の家賃を経費にする際の勘定科目と仕訳例

 

個人事業主やフリーランスの方が、経費として計上できるものの一つが自宅や事務所の家賃です。

 

実際、自宅や事務所の家賃は、経費の中でも大きな割合を占めるものです。

 

自宅や事務所の家賃を経費計上すれば、その分所得金額を抑えることができ節税効果が大きくなります。

 

この記事では、自宅や事務所を経費計上する際に使用する勘定科目(仕訳)や注意点について解説しています。

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自宅や事務所の勘定科目と仕訳例

 

自宅や事務所の家賃を経費計上する際に、使用する勘定科目は地代家賃です。

 

事業で使用している事務所、店舗、倉庫などの賃貸に関する費用を、必要経費として計上することができます。

 

また、月極の駐車場料金などの土地の貸借に係る支払いについてもこの勘定科目を使用します。

 

全て仕事で使用している場合

 

自宅の場合は、仕事とプライベートで分けて考える必要がありますが、通常、事務所などを借りて事業を行っている場合、全てを経費として計上できます。

仕訳例

事務所の家賃10万円を事業用の口座から支払った。

 

借方金額貸方金額
地代家賃 100,000普通預金100,000
 

 

事務所の家賃8万円と月極駐車場の料金1万円をまとめて現金で支払った。

 

借方金額貸方金額
地代家賃 90,000現金90,000

自宅兼事務所の場合

 

自宅兼事務所などのように、自宅の一部を仕事で使用している場合は、全ての家賃を必要経費にすることができず、按分処理しなければなりません。

 

 按分とは、事業で使っている部分と、プライベートで使っている部分とに分けることで、按分処理できる必要経費を家事関連費と言います。

 

自宅兼事務所のように、事業でもプライベートでも使用している場合、地代家賃としてどのくらいの割合を経費計上できるのかを、2つの例から考えてみたいと思います。
 

ワンルームマンションの場合

 

事業で使用している部分の、床面積を計算することで必要経費を計算出来ます。

 

例えば、床面積が40㎡の半分を事業で使用しているとします。仮に家賃が90,000円であれば、半分の45,000円を費用として計上することが可能です。

 

ただし、毎日仕事をしているわけではなく、仮に週6日の割合で使用していたとすると、月に約80%を仕事で使っていることになりますので、45,000円×0.8となり36,000円を費用計上することになります。
 

複数の部屋がある場合

 

複数の部屋があって、その内の1部屋は完全に事業で使っている場合は、部屋数で割って計算することが出来ます。

 

仮に、家賃が90,000円であれば、2部屋であれば45,000円、3部屋あれば30,000円として計算することが出来るでしょう。
 

合理的に計算する

 

上記の内容は、家賃の按分計算の一例です。

 

大切な点は、家賃を適当に経費にするのではなく、合理的な計算に基づいて経費にすることです。

 

 もし、根拠がないのに、適当に経費にしていたとすれば、税務署から指摘されたときに、きちんと説明することが出来ないからです。
 

仕訳例


自宅兼事務所として使用している、自宅の家賃12万円を事業用の口座から支払った(事業割合は25%と仮定)

 

借方金額貸方金額
地代家賃 30,000普通預金120,000
事業主貸 90,000

 

家賃以外の諸経費

 

敷金

 

敷金については、物件の契約満了時に基本的には返還されることになります。

 

中には、退去時に敷金の中から修繕費やクリーニング代を差し引かれるケースがあります。

 

本来、貸主である大家さんは、家賃という対価を受けており、借主である入居者が、通常の生活を送る上で、問題なく建物を使用出来るよう義務付けられています(使用収益させる義務)

 

ですが、実際には特約等で借主である入居者負担とされている事も少なくないようです。

 

そのような場合は、敷金から修繕費やクリーニング代などの費用が差し引かれますが、通常敷金は貸主である大家さんに預けているものであり、物件の契約が終了したときには全額返還されるので資産とみなされます。

 

それで、敷金については、地代家賃の勘定科目を使用するのではなく、敷金・保証金の勘定科目で資産計上することになります。

 

礼金

 

入居の際に支払う礼金についても、通常は資産処理を行います。

 

礼金は20万円以上になると長期前払費用という資産の勘定科目を使って処理を行い、通常5年間で減価償却していくことになります。

 

ただし、建物を借りる期間が5年未満で更新する必要があり、更新する毎に礼金を支払うようなケースでは、その賃貸期間で減価償却を行う必要がありますのでご注意下さい。

 

また、礼金の金額が20万円未満であれば、地代家賃で全額を処理することになります。

 

仲介手数料

 

物件の契約の際に、不動産業者に支払う手数料については、支払手数料の科目を使います。

 

仕訳例

 

倉庫の賃貸契約を行った。家賃9万円、敷金9万円、礼金18万円を合わせて現金で支払った。

 

借方金額貸方金額
地代家賃  270,000現金360,000
敷金・保証金90,000
 

 

家賃に関連する勘定科目の注意点

 

仕訳

 

通常、家賃は翌月分を前もって支払うことになります。
ですから、正確に処理するのであれば、当月支払う家賃は前払費用となります。そして、その翌月に地代家賃として振り替えることになります。

 

これが本来の正しい形ですが、支払う月に地代家賃として計上することも認められています。

 

ですから、どちらで処理しても問題はありません。ただし、最初に選択した方法を継続して用いる必要があります。

 

レンタルオフィス

 

レンタルオフィスは個別にスペースを借りることのできる簡易オフィスです。

 

通常の賃貸事務所であれば、敷金や礼金がかかりますし、家賃もレンタルオフィスより高い場合が多いです。

 

レンタルオフィスであれば、家賃も安く、敷金や礼金が不要なところもあります。

 

業務に必要な家具や備品もそろっており、低コストで利用できるのが大きな特徴です。

 

このレンタルオフィスの費用については、地代家賃や賃借料などの勘定科目で仕訳します。

 

バーチャルオフィス

 

バーチャルオフィスは、レンタルオフィスなどと違って、個室のスペースを賃貸するのではなく、ビジネス用の住所や電話&FAXなどを借りるサービスです。

 

バーチャルオフィスの費用に関しても、通常の賃貸事務所とは違い、敷金や礼金が不要で低コストですることができます。

 

自宅の住所を公開しないで、事業をしたい場合は便利なサービスです。

 

バーチャルオフィスの費用については、支払手数料外注工賃などの勘定科目を使って仕訳をします。

まとめ

 

この記事では、個人事業主やフリーランスの方が自宅や事務所の家賃を経費として計上する際のポイントや勘定科目について解説しました。

 

特に、自宅兼事務所の場合、按分処理をどのように行うかが重要です。合理的な根拠に基づいた計算を行い、適切な割合で経費に計上することで、税務署からの指摘を避けることができます。

 

また、敷金や礼金などの家賃以外の費用についても、それぞれ異なる勘定科目を使用する必要があるため、注意が必要です。

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