決算時には決算整理仕訳といって、期中には行わない会計処理をいくつか行う必要があります。
この記事では、個人事業主が決算時に行う、主な決算整理仕訳について取り上げています。
決算整理仕訳とは
決算整理仕訳とは、決算時に行う仕訳のことで、個人事業主に関係する主な決算整理仕訳として考えられるのは次のような内容です。
- 減価償却費の計算
- 売上原価の算定
- 売上や費用の見越し繰延
- 家事関連費の按分計算
- 貯蔵品勘定への振替
決算整理仕訳をする理由は、期中に行われた取引の集計だけでは、当期の貸借対照表や損益計算書に正確な数字が反映されないからです。
個人事業主の場合、1月から12月までの期中に行われた取引は、仕訳帳に記入して総勘定元帳に転記します。
必要に応じて補助簿なども作成しますが、上記のような項目については決算に処理をすることになります。
その結果、当期の費用や収益などの数字が正しく反映されることになります。
業種によっては、上記の決算整理仕訳の一部が不要な場合もありますが、多くの個人事業主に関係する内容ですので一通りご説明しています。
なお、この記事では個人事業主に関係する決算整理仕訳の概要をご説明しており、詳しい内容については関連記事から確認することができます。
減価償却費の計算
固定資産については、決算時に減価償却によって費用計上します。
使用する勘定科目は減価償却費です。
減価とは価値が減る、償却とは資産を費用にすることと考えることができます。
使用する固定資産は、月日の経過とともにその価値が減少していきます。
その減少分を、費用計上するために減価償却の計算が必要です。
減価償却の計算や仕訳例の詳細は、下記の記事で確認できます。
売上原価の算定
商品の仕入れなどを行っている場合は、決算時に売上原価を算定する必要があります。
売上原価を計算するには、当期に仕入れた商品だけでなく、期首時点の商品や期末時点の商品の在庫も確認する必要があります。
年間の売上に対応する売上原価を計算することで、正確な利益計算が可能になります。
売上原価の計算方法や決算整理仕訳については、下記の記事で詳しくご説明しています。
売上や費用の見越し繰延
当期の売上や費用に相当する取引については、決算整理仕訳で正しく処理をする必要があります。
例えば12月に売り上げている商品の代金が来期の1月以降に入金されたり、来期分の費用を当期に支払っているといった場合は、決算整理仕訳をすることで当期の売上や費用の金額を正確な数字にすることができます。
その際に使用する勘定科目は下記の4つですが、各勘定科目を簡単に説明すると次の通りです。
- 前払費用・・来期分のサービスに関する費用を当期に支払っている
- 未払費用・・すでにサービスの提供を受けているのに支払いが来期になる
- 未収収益・・当期に提供した売上代金の回収が来期になる
- 前受収益・・来期の売上分の代金を当期に受け取っている
各科目の詳しい説明や決算整理仕訳の例については、リンクから確認できるので参考にしていただければと思います。
家事関連費の按分計算
家事関連費とは、事業とプライベートの両方で使っているものを言います。
例えば、自宅で仕事をしている方は、家賃・通信費・水道光熱費などの費用が考えられます。
家事関連費に該当するものについては、按分計算が求められます。
事業で使用した分と、プライベートで使用した分を計算して、会計処理をする必要があります。
貯蔵品勘定への振替
期中に費用処理したもので、資産性のあるものが期末時点で残っている場合、簿記では貯蔵品という勘定科目で資産計上する振替仕訳が必要です。
例えば、未使用の収入印紙があれば、基本的には下記のように、決算時に租税公課という費用の勘定科目の減少、資産の勘定科目である貯蔵品の増加として処理をして、翌期首に再振替仕訳をします。
- 決算時:貯蔵品/租税公課
- 翌期首:租税公課/貯蔵品
貯蔵品に該当する具体例や、仕訳の際の注意点については、下記の記事で詳しくご説明しています。
まとめ
今回の記事では、個人事業主が決算時に行う必要のある、主な決算整理仕訳について取り上げました。
会計処理の際の参考になれば幸いです。