障害者控除とは?|対象・金額・併用・書き方

 

障害を抱えて生活している人やその家族に対しては、税金の優遇措置が設けられています。

 

それが、所得控除の一つである障害者控除です。

 

この記事では、障害者控除の適用要件や控除される金額、併用できる所得控除や確定申告書の書き方についてご説明しています。

 

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障害者控除とは

 

納税者に加えて、配偶者や扶養親族の中に障害を抱えている人がいる場合に受けられる所得控除です。

 

障害者控除を適用することで、所得税や住民税の負担を軽減することができます。

 

障害者控除の対象

 

障害者控除の対象範囲については、全部で8つの項目があり、いずれかの条件に該当すれば控除が受けられます。

 

障害者は、障害の程度により「障害者」と「特別障害者」に分けられていて、控除額もその区分に応じて異なります。

 

障害者控除を利用することのできる、障害者の対象範囲については下記のとおりです。

 

障害者控除の範囲障害者特別障害者
①精神上の障害で事理を弁識する能力を欠く状況にある人該当しません該当します
②児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定で知的障害者とされた人該当します重度の知的障害者の人
③精神保健や精神障害者福祉に関する法律の規程によって精神障害者保険福祉手帳の交付を受けている人該当します障害等級が1級の人
④身体障害者福祉法の規定により身体障害者手帳の交付を受け、身体上の障害があると記載されている人
該当します障害の程度が1級か2級の人
⑤精神又は身体に障害のある65歳以上の人で障害の程度が①、②、④に準ずるものとして市町村長等から認定を受けている人該当します特別障害者に準ずるものとして市町村長等から認定を受けている人
⑥戦傷病者特別援護法の規定によって戦傷病者手帳の交付を受けている人該当します障害の程度が恩給法による特別項症から第3項症に該当する人
⑦原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づいて認定を受けている人該当しません該当します
⑧その年の12月31日の現況で引き続き6ヶ月以上にわたり身体の障害により寝たきりで複雑な介護を必要とする人該当しません該当します

参照:国税庁 No.1160障害者控除

 

注意が必要な点としては、障害者控除の適用できる状況にある場合でも、「障害者控除対象者認定書」「障害者手帳」などの交付を受けていなければ、障害者控除を受けられないケースがあることです。

 

例えば、要介護認定を受けていても「障害者控除対象者認定書」の交付を受ける手続きをしなければ、控除は受けられません。

 

また、障害者基礎年金を受給していたとしても、控除を受けるには「障害者手帳」の交付を受ける必要があります。

 

このように障害者控除が受けられる立場でも、手続きをしなければ控除が受けられないケースがありますので、該当する場合は市区町村などで手続きをしましょう。

 

各自治体によって異なると思いますが、「障害者手帳」などは交付までに通常1か月~1か月半ほどかかります。状況によっては、さらに時間がかかる場合もあるようです。

 

申請中の状況でまだ交付されていない場合は、障害者控除が受けられない事もありますので、手続きは早めに行うようにしていただきたいと思います。

 

障害者控除の金額

 

障害者控除の控除額については、下記の通りです。

 

障害者控除の対象者控除金額
障害者27万円
特別障害者40万円
同居特別障害者
75万円

 

同居特別障害者とは、配偶者及び扶養親族の中に特別障害者がいて、納税者自身もしくはその配偶者などと同居している人のことです。

 

この条件に該当する場合は、特別障害者の控除額40万円に35万円が加算されることになります。

 

他の所得控除との併用

 

扶養控除との併用

 

障害者控除は、扶養控除と併用することができます。

 

ですが、障害者控除と扶養控除には、扶養親族の年齢による適用要件に違いがありますので、その点を確認しておく必要があります。

 

  • 扶養控除・・15歳以下の扶養親族は対象外
  • 障害者控除・・障害を抱えていれば年齢制限なし

 

扶養控除の対象となる親族については、年齢制限があり15歳以下の場合は扶養控除を受けることができません。

 

一方で、扶養親族に障害者がいる場合は、年齢に関係なく障害者控除を受けることができます。

 

ですから、扶養控除との併用ができるかどうかは、障害を抱えている扶養親族の年齢が関係します。

 

  • 障害を抱えている扶養親族が15歳以下の場合・・扶養控除との併用はできない
  • 障害を抱えている扶養親族が16歳以上の場合・・扶養控除との併用ができる

 

扶養控除の控除額は、扶養親族の年齢によって控除できる金額が変わります。

 

扶養控除の控除額や確定申告書の書き方については、下記の記事をご覧ください。

 

個人事業主プラス

  この記事では、扶養控除の控除金額や対象者の要件、申告書の書き方について、できるだけ分かりやすくご説明しています。  …

 

配偶者控除との併用

 

配偶者が障害を抱えている場合は、障害者控除と配偶者控除を併用することができます。

 

配偶者控除や配偶者特別控除の控除額については、納税者や配偶者の年間所得に応じて控除できる金額が変わります。

 

配偶者控除や配偶者特別控除の控除額や確定申告書の書き方については、下記の記事を参考にしていただければと思います。

 

個人事業主プラス

  この記事では、配偶者控除の年収や計算方法、配偶者特別控除との違いや申告書の書き方について、できる限り分かりやすくご説…

 

障害者控除の書き方

 

確定申告書Bを使った障害者控除の書き方を、確認していただければと思います。

 

書き方の流れとしては、確定申告書B第二表に控除対象者の氏名を記載して、確定申告書B第一表に控除額を記入します。

 

確定申告書B第二表

 

確定申告書B第二表の赤枠の「障害者控除」の欄に、対象となる方の氏名を記入します。

 

対象となる方が特別障害者であれば、氏名を〇で囲んで下さい。

 

確定申告書B第一表

確定申告書B第一表の所得控除の中から、赤枠の「勤労学生、障害者控除」の欄に控除額を記入します。

 

障害者控除に関する記入については以上ですが、仮に勤労学生控除も合わせて受ける場合は、障害者控除の控除額との合計を記入します。

 

勤労学生控除については、下記の記事でご説明していますので参考にしていただければと思います。

 

個人事業主プラス

  パートやアルバイトで収入を得ている学生であれば、「少しでも税金は安くしたい」、「できれば税金がかからないような働き方…

 

まとめ

 

障害者控除とは、納税者や扶養親族の中に障害を抱えている人がいる場合に受けられる所得控除です。

 

控除額は、障害の程度や同居しているかによって下記のように異なります。

 

  • 障害者(27万円)
  • 特別障害者(40万円)
  • 同居特別障害者(75万円)

 

障害者控除は、扶養控除や配偶者控除との併用が可能です。

 

申告漏れがないかどうかを確認しましょう。

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