仕事で定期的に高速道路を使う個人事業主にとって、ETCカードをどう用意するかは意外と悩ましいところです。
クレジットカードの審査に不安がある、開業したばかりで実績が少ない、クレジット機能は付けたくないといった理由から、法人ETCカードやクレジット機能なしのETCカードを探している方も多いのではないでしょうか。
ここでは、個人事業主と法人が事業用ETCカードを持つ方法を4つに整理したうえで、協同組合が発行する法人ETCカードを中心に、出資金や手数料、審査、必要書類を比較します。
私自身がETC協同組合のETCカードを使っていたため、実際にかかっていた費用や使い勝手も合わせてお伝えします。
カード名をただ並べるのではなく、高速代の経費管理や仕訳まで含めて、自分の事業に合う持ち方を判断できる内容にしました。
本記事のポイント
- 事業用ETCカードの持ち方と、それぞれが向いている人がわかる
- 協同組合の法人ETCカードの出資金・発行手数料・年間手数料を比較できる
- 走行料金にかかる8%の事務手数料が年間いくらになるか確認できる
- ETCパーソナルカードとの費用の違いを比較できる
個人事業主が事業用ETCカードを持つ方法

事業用のETCカードには、大きく分けて4つの持ち方があります。
- 法人カードやビジネスカードにETCカードを追加する方法
- 協同組合が発行するクレジット機能なしのETCカード
- 高速道路6社が共同発行するETCパーソナルカード
- 大口・多頻度利用者向けのETCコーポレートカード
それぞれ仕組みや費用、審査、発行できる枚数などが異なります。まず全体像を確認してから、自分に合うタイプを比較するとわかりやすくなります。
法人カードに付帯するETCカード
まず検討したいのが、法人カードやビジネスカードにETCカードを追加する方法です。
カード会社による与信審査を受ける必要がありますが、審査に通れば発行や維持のコストを低く抑えられるカードもあり、協同組合型のような走行料金に対する8%の事務手数料もかかりません。
現在は個人事業主でも申し込めるビジネスカードが増えており、事業用ETCカードの一般的な選択肢になっています。
一方で、開業直後で事業実績が少ない場合や、クレジット機能そのものを持ちたくない場合は、別の方法も検討できます。
協同組合のクレジット機能なしETCカード
この記事の中心になるのが、協同組合が発行する法人ETCカードです。
個人事業主でも申し込める代表的なものとして、ETC協同組合と高速情報協同組合があります。
いずれもクレジット機能が付いていないETC専用カードで、支払いは口座振替による後払いです。
クレジットカード会社による与信審査はありませんが、組合独自の審査があります。誰でも無条件に発行されるカードではありません。
また、協同組合へ加入するための出資金として1社あたり10,000円が必要です。出資金は脱退時に返金されます。
さらに、毎月の走行料金に対して8%の事務手数料がかかります。この8%が、協同組合型を選ぶうえで最も重要な判断材料です。
ETCパーソナルカード
クレジットカードを作らずにETCを利用する方法として、ETCパーソナルカードもあります。
高速道路6社が共同で発行しており、クレジットカード会社による与信審査の代わりに、あらかじめデポジットを預けて利用する仕組みです。
1名義につき1枚までという制限がありますが、協同組合型のような走行料金に対する8%の事務手数料はありません。
大口利用者向けのETCコーポレートカード
4つ目がETCコーポレートカードです。
東日本・中日本・西日本高速道路株式会社の3社が、大口・多頻度で高速道路を利用する事業者に貸与する後払いのカードで、大口・多頻度割引制度の対象になります。
割引は、登録した車両ごとの1か月の利用額に応じた車両単位割引と、契約全体の利用額に応じた契約単位割引を組み合わせて計算されます。
対象は高速国道と、京葉道路や東京湾アクアラインなど一部の一般有料道路です。
ETCコーポレートカードは、カードに表示された車両番号の車で利用することが前提となる車両限定のカードです。また、ETCマイレージサービスの対象外です。
平日朝夕割引と大口・多頻度割引についても、同じ利用分へ重複して適用されるものではありません。
割引率は利用額の区分などによって定められており、制度改定も行われるため、検討時にはNEXCOの最新情報を確認してください。
ETCコーポレートカードの申し込みには支払いの保証が必要です。事業協同組合を経由して申し込む方法もあります。
高速情報協同組合では、組合加入時の出資金10,000円に加えて、カード手数料と年間手数料がそれぞれ629円(税込)と案内されています。ただし、2026年9月時点ではETCコーポレートカードの資料請求受付を停止しています。
4つのタイプを比較
| 比較項目 | 法人カード付帯 | 協同組合型 | ETCパーソナル | ETCコーポレート |
|---|---|---|---|---|
| クレジット機能 | あり | なし | なし | なし |
| クレジット会社の与信審査 | あり | なし | なし | なし |
| その他の審査・要件 | カード会社による | 組合独自の審査あり | 規約に基づく審査あり | 所定の契約要件あり |
| 預ける費用 | 原則なし | 出資金10,000円 | デポジット | 申込方法による |
| 走行料金への事務手数料 | なし | 8% | なし | なし |
| 発行枚数 | カードによる | 複数枚に対応 | 1名義につき1枚 | 登録車両ごと |
| 車両限定 | 原則なし | なし | なし | あり |
| ETCマイレージ | 登録可能 | 還元あり | 登録可能 | 対象外 |
協同組合型は走行料金に8%の事務手数料がかかる代わりに、クレジット機能なしで複数枚を発行できます。
特に、クレジット機能を付けず、車両を固定せずに複数枚を用意したい場合は、協同組合型が有力な選択肢になります。
逆に、1人で1枚だけ利用するのであれば、8%の事務手数料がかからないETCパーソナルカードも比較する価値があります。
参考:クレジット機能なしの法人ETCカードを詳しく見る(高速情報協同組合)
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【体験談】ETC協同組合の法人ETCカードを実際に利用

ここからは、私が実際に利用していたETC協同組合のETCカードについてお伝えします。
なぜこの組合を選んだのか、実際にいくらかかるのか、使って感じたメリットとデメリットを整理します。
ETC協同組合を選んだ理由
私がETC協同組合を選んだ理由は、先に同じ組合の法人ガソリンカードを申し込んでいたからです。
協同組合のカードを作るには組合員になる必要があり、出資金として10,000円を預けます。
私はガソリンカードを申し込んだ際に、この出資金をすでに支払っていました。
ETC協同組合では、法人ETCカードと法人ガソリンカードの両方を作っても、出資金は1社につき10,000円です。
そのため、ETCカードを追加するときに、さらに10,000円の出資金を用意する必要はありませんでした。
別の協同組合でETCカードを作れば、別途出資金が必要になる場合があります。
ガソリンカードとETCカードの両方を検討している場合は、同じ組合にまとめることで、預ける出資金を抑えられることがあります。
出資金と手数料
ETC協同組合の法人ETCカードにかかる主な費用は、2026年9月時点で次のとおりです。
- 出資金:10,000円/1社
- カード発行手数料:880円(税込)/1枚
- 年間手数料:880円(税込)/1枚
- 事務手数料:毎月の走行料金に対して8%
出資金は脱退時に返金されるため、通常の手数料とは分けて考えます。
カード1枚なら、発行手数料と年間手数料を合わせて初年度1,760円(税込)、2年目以降は年間880円(税込)です。
これとは別に、毎月の走行料金に対して8%の事務手数料がかかります。
実際に使って感じたメリットとデメリット
実際に利用して便利だと感じたのは、利用明細をまとめて確認できる点です。
現金払いの場合は領収書の整理が必要ですが、ETCカードなら利用履歴を確認しやすくなり、記帳の手間も減らせます。
後払いなので、従業員や自分自身による高速料金の立て替えを減らせるのもメリットです。
ETC協同組合のカードは特定の車両に限定されないため、レンタカーやカーシェアリングでも利用できます。
登録車両1台につき最大4枚まで発行でき、車載器を搭載した車両を登録することが条件です。
ETCマイレージサービスについては、組合が登録と管理を行います。
一方、大きなデメリットは走行料金に対する8%の事務手数料です。
走行料金が増えるほど事務手数料も増えるため、高速道路を頻繁に利用する事業者ほど負担は大きくなります。
運用面では、カードごとに利用可能枠が設定される場合があります。
私がカード発行時に受け取った資料では、設定された利用枠を超過した場合には組合へ連絡するよう案内されていました。
口座振替を利用するため、振替日前には残高を確認しておくと安心です。
特に問題なく利用していれば、ETCカードの更新時期に郵送で更新の案内とETCカードが届きます。
三井住友カードを作った際に、ETCカードも合わせて作りましたので現在は利用していませんが、5~6年ほど利用させていただき大変お世話になりました。
三井住友カードを作った時の体験談は、「三井住友カードは個人事業主も作れる?審査や注意点を徹底解説【体験談あり】」の記事で確認できます。
高速情報協同組合の法人ETCカード

もう一つの選択肢が、高速情報協同組合の法人ETCカードです。
基本的な仕組みはETC協同組合と似ていますが、発行手数料と年間手数料に違いがあります。
費用
高速情報協同組合の法人ETCカードにかかる主な費用は次のとおりです。
- 出資金:10,000円/1社
- カード手数料:550円(税込)/1枚
- 年間手数料:550円(税込)/1枚
- 事務手数料:走行料金に対して8%
出資金は脱退時に返金されます。
ETC協同組合と比較すると、高速情報協同組合のほうが発行手数料と年間手数料はそれぞれ330円安くなっています。
個人事業主が用意する主な書類
高速情報協同組合では、個人事業主が申し込む場合、所得税の確定申告書または開業届、車検証、ETC車載器のセットアップ証明書、代表者の運転免許証などを用意します。
ETC協同組合についても、事業を営んでいることを確認できる書類や、車検証、ETC車載器セットアップ証明書、本人確認書類などが必要です。
開業直後で確定申告書がまだない場合でも、開業届や取引先との契約書などで対応できる場合があります。
2つの組合を比較
| 比較項目 | ETC協同組合 | 高速情報協同組合 |
|---|---|---|
| 出資金 | 10,000円/1社 | 10,000円/1社 |
| 発行手数料 | 880円(税込)/枚 | 550円(税込)/枚 |
| 年間手数料 | 880円(税込)/枚 | 550円(税込)/枚 |
| 事務手数料 | 走行料金の8% | 走行料金の8% |
| ETCマイレージ | 還元あり | 還元あり |
| 車両限定 | なし | なし |
| 初年度のカード費用 | 1,760円(税込) | 1,100円(税込) |
カード関連の費用だけで比較すると、高速情報協同組合のほうが初年度で660円安くなります。
ただし、すでに同じ組合のガソリンカードなどを持っている場合は、新たに別の組合へ出資金を預ける必要があるかどうかも含めて比較してください。
8%の事務手数料は年間いくらか
協同組合型のETCカードを比較するとき、発行手数料や年間手数料以上に影響が大きいのが、走行料金に対する8%の事務手数料です。
| 月間の走行料金 | 年間の走行料金 | 年間の8%事務手数料 |
|---|---|---|
| 5,000円 | 60,000円 | 4,800円 |
| 10,000円 | 120,000円 | 9,600円 |
| 30,000円 | 360,000円 | 28,800円 |
| 50,000円 | 600,000円 | 48,000円 |
月1万円の走行料金を例にすると、初年度にかかるカード関連費用は次のようになります。
- ETC協同組合:9,600円+880円+880円=11,360円
- 高速情報協同組合:9,600円+550円+550円=10,700円
出資金10,000円は脱退時に返還されるため、この計算には含めていません。
このように比較すると、年間手数料の330円差よりも、走行料金に対する8%の事務手数料の影響が大きいことがわかります。
高速道路の利用額が大きく、クレジットカード会社の与信審査に問題がない場合は、走行料金への8%の事務手数料がかからない法人カード付帯のETCカードも比較したほうがよいでしょう。
一方、クレジット機能なしで複数枚を用意したい場合には、協同組合型ならではの利便性があります。
ETCパーソナルカードとの違い

クレジットカードを持たずにETCを利用したい場合は、ETCパーソナルカードも比較候補になります。
年会費とデポジット
ETCパーソナルカードは、高速道路6社が共同で発行しています。
クレジットカード会社による与信審査の代わりに、デポジットを預けることでETCカードを利用できる仕組みです。
年会費は1,257円(税込)です。
デポジットは、月あたりの有料道路利用見込額の4か月分が目安で、最少額は3,000円です。
例えば、月1万円の利用を見込む場合は、40,000円のデポジットを用意することになります。
デポジットは通行料金の前払いではなく保証金であり、解約時には所定の精算後に返還されます。
ETCパーソナルカードは法人でも申し込めますが、発行は1名義につき1枚までです。
Web上で申込書を作成することはできますが、申込書の提出は郵送で行います。
協同組合型と費用を比較
カードを1枚だけ使用し、月1万円の高速料金が発生する個人事業主を例に比較します。
| 比較項目 | ETCパーソナル | 高速情報協同組合 | ETC協同組合 |
|---|---|---|---|
| 2年目以降の年間カード費用 | 1,257円 | 550円 | 880円 |
| 年間の走行料金への事務手数料 | なし | 9,600円 | 9,600円 |
| 2年目以降の年間負担 | 1,257円 | 10,150円 | 10,480円 |
| 預ける金額 | 40,000円 | 10,000円 | 10,000円 |
| 発行枚数 | 1枚 | 複数枚対応 | 複数枚対応 |
協同組合型の初年度は発行手数料が加わります。
月1万円利用の場合、高速情報協同組合は初年度10,700円、ETC協同組合は11,360円です。
1人で1枚だけ利用するなら、8%の事務手数料がかからないETCパーソナルカードのほうが年間のランニングコストは低くなります。
一方、デポジットとして預ける金額は利用見込額に応じて増えます。
また、複数枚を必要とする場合は1名義1枚という制限があるため、ETCパーソナルカードでは対応できません。
クレジット機能なしで複数枚を発行したい場合は、協同組合型が有力な選択肢になります。
個人事業主はどれを選ぶべきか
- 与信審査に問題がなく、高速道路利用額が大きい場合は法人カードやビジネスカード付帯のETCカード
- クレジット機能なしで複数枚を発行したい場合は協同組合の法人ETCカード
- 1人で1枚だけ使い、8%の事務手数料を避けたい場合はETCパーソナルカード
- 車両が固定され、高速道路利用額が非常に大きい場合はETCコーポレートカード
どのカードが適しているかは、カードの知名度ではなく、必要な枚数、高速道路の利用額、クレジット機能の有無、預けられる資金などを基準に判断するのが現実的です。
申し込み前に確認したい注意点
- クレジット会社の与信審査がないカードでも、別の審査や契約要件があります
- 協同組合型は走行料金に対して8%の事務手数料がかかります
- 協同組合型では出資金、ETCパーソナルカードではデポジットを預ける必要があります
- ETCパーソナルカードは1名義につき1枚までです
- ETCコーポレートカードは登録車両に限定されます
- ETC割引は道路や時間帯、利用条件によって適用条件が異なります
- 個人事業主がプライベートで利用した高速料金は事業の必要経費にはできません
事業と私用が混在している場合は、利用日や区間などから事業利用分を区分して記帳することが重要です。
ETCの利用明細があれば、事業利用分を確認する資料としても活用できます。
よくある質問
Q.個人事業主でも法人ETCカードを申し込めますか。
A.ETC協同組合と高速情報協同組合は、法人だけでなく個人事業者も申し込み対象としています。ただし、それぞれ所定の審査があります。
Q.開業したばかりでも申し込めますか。
A.確定申告書がまだない場合でも、開業届や取引先との契約書など、事業を確認できる書類で対応できる場合があります。
Q.クレジットカードを作らずにETCカードだけ持てますか。
A.協同組合の法人ETCカードやETCパーソナルカードは、クレジット機能なしで利用できます。
Q.複数枚を発行できますか。
A.協同組合型は複数枚発行に対応しています。ETC協同組合では、車載器を搭載した登録車両1台につき最大4枚までです。ETCパーソナルカードは1名義につき1枚までです。
Q.レンタカーでも使えますか。
A.協同組合の法人ETCカードは車両限定ではないため、レンタカーやカーシェアリングでも利用できます。
Q.ETCマイレージサービスは利用できますか。
A.協同組合型でもETCマイレージによる還元がありますが、登録と管理は組合が行います。ETCパーソナルカードや一般的なETCクレジットカードでも、条件を満たせばETCマイレージサービスへ登録できます。
Q.高速代は経費にできますか。
A.事業のために利用した高速料金は必要経費にできます。プライベート利用分が混在している場合は、事業利用分を区分して処理してください。
まとめ
個人事業主や法人が事業用ETCカードを用意する方法は、法人カード付帯のETCカード、協同組合の法人ETCカード、ETCパーソナルカード、ETCコーポレートカードの4つに分けられます。
与信審査に問題がなく、高速道路の利用額が大きい場合は、走行料金への8%の事務手数料がかからない法人カード付帯のETCカードが有力です。
一方、クレジット機能を付けずに複数枚のETCカードを用意したい場合は、協同組合型が検討しやすい選択肢になります。
ただし、協同組合型には走行料金に対して8%の事務手数料がかかります。
月1万円の利用なら年間9,600円になるため、カードの年間手数料よりも8%の事務手数料を重視して比較してください。
1人で1枚だけ利用する場合は、デポジットを預けられるのであればETCパーソナルカードのほうが年間のランニングコストを抑えられます。
ETCカードは、高速道路を便利に利用するためだけでなく、利用明細を使って事業上の高速料金を管理しやすくするメリットもあります。
必要な枚数、高速道路の利用額、クレジット機能の必要性、初期費用や年間費用を比較したうえで、自分の事業に合った方法を選んでください。
公式サイト:高速情報協同組合の法人ETCカードを確認する
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公式サイト:ETC協同組合の法人ETCカードを確認する

