私が、節税や税金の勉強を始めたのは、「国民健康保険料が高い!」と感じたことがきっかけで、その後FP2級・AFPの資格を取得しました。
今、この記事をご覧下さっているあなたも、以前の私と同じように感じているかも知れません。
この記事では、必要経費を漏れなく計上することが、国民健康保険料を安くする1つの方法であることをご説明しています。
国民健康保険料は住民税(所得割)で計算する
国民健康保険料は、加入者全員分を世帯ごとに、「所得割」、「均等割」、「世帯割」に基づいて計算しますが、次の3つの保険料の合計金額で構成されています。
- 医療分
- 支援分
- 介護分
上記の保険料は自治体によって変動しますし、年齢によって計算式や割合が異なりますので、詳細は各自治体のホームページで確認して頂きたいのですが、保険料を安くする上でポイントになるのが所得割です。
国民健康保険料の算定の基礎となる所得割は、総所得金額等から住民税の基礎控除43万円を差し引いた金額に、保険料率をかけることで計算します。
一方、所得税や住民税は、課税所得をベースに計算されます。
所得税や住民税を安くしたい場合は、必要経費だけでなく所得控除も活用して、課税所得金額を下げることで支払う税金を減らせます。
ところが国民健康保険料は課税所得ではなく、総所得金額を基準として計算されるので、保険料を下げるためにはできるだけ多く必要経費を計上することが重要になります。
必要経費を増やす
必要経費を増やせば、国民健康保険料を下げることに繋がりますが、だからといって不必要なものを購入して、経費計上するのも本末転倒です。
お勧めしたいのは、あなたの事業に関連した支出を漏れなく計上できるように、経費計上できるものに対する知識や理解を深めることです。
一例として、経費計上できる具体的を取り上げます。
車を使用している
車を使って仕事をしている個人事業主の場合は、車に関連した支出を必要経費にできます。
例えば、次のような支出です。
- 車両代
- ガソリン代
- オイル代
- 車検代
- 自動車税
- 任意保険
- 修理代
- 消耗品の交換
- 駐車場代
- JAF
他にもあるかも知れませんが、車に関連した支出だけでも経費計上できるものは多いです。
自宅で仕事をしている
自宅で仕事をしている方であれば、事業に関連している次のような支出を必要経費にできます。
- 家賃
- 水道光熱費
- 固定電話
- インターネット料金
- パソコン
- 本や書籍
- 事務用品費
あくまでも一例ですが、仕事をする上で必要なものであれば経費計上することが可能です。
ただし注意が必要な点としては、プライベートで使用する分については経費にすることができません。
例えば、事業用として車を使うだけでなく、プライベートでも車を利用している場合は、事業分とプライベート分の使用割合を按分計算して、事業で使っている分のみを経費計上する必要があります。
自宅での仕事についても、自宅兼事務所のような形で自宅の一部を仕事に使っているのであれば、家賃の全額ではなく仕事で使っているスペースの割合を計算した上で、経費計上することになります。
事業とプライベートの両方で使用するものに関しては、上記の点を考慮する必要があることを抑えておきましょう。
なお、合理的に按分計算する方法については、下記の記事を参考にして頂きたいと思います。
自宅で仕事をしている方の場合、家内労働者等に該当すると必要経費の特例を利用することができます。
この特例を利用すれば、必要経費を55万円まで認めてもらえます。
実際にかかった経費が55万円より少なければ、この特例を利用することで所得を下げることができるので、節税に繋がりますし国民健康保険料も下げることができます。
例えば、実際にかかった経費が30万円だったとしても、この特例を適用すれば25万円分の経費を上乗せできます。
家内労働者等の必要経費の特例については、下記の記事で詳しく取り上げています。
参考:家内労働者等の必要経費の特例とは|申告要件・変更点・更正の請求
青色申告に切り替えて最大65万円を控除する
青色申告を選択すれば、最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。
青色申告特別控除となっていますが所得控除ではなく、売上から差し引くことができます。
- 売上ー必要経費ー青色申告特別控除(65万円)=所得
青色申告特別控除は所得を抑える効果がありますので、所得金額をベースに計算される国民健康保険料を安くするのに有効です。
白色申告や10万円の青色申告特別控除を受けている方は、最大65万円の青色申告特別控除を受けることを検討してみてはいかがでしょうか?
関連記事:65万円の青色申告特別控除の要件や改正後の条件について
経営セーフティ共済を利用する
経営セーフティ共済は、取引先の倒産という万が一のリスクに備えるためのもので、売掛債権の回収が困難になった場合に最大で掛金総額の10倍まで借り入れが可能です。
経営セーフティ共済を利用することで、自社が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐことができます。
これが主なメリットですが、経営セーフティ共済の掛金については、損金もしくは必要経費に算入することができるので、所得金額を抑えることができ国民健康保険料を下げることにも繋がります。
月額5,000円~20万円の範囲で掛金を設定できますし、一括払いも可能です。
年間で最大240万円を売上から控除することができるので、売上が順調に増加していたり、特に売上が多い年などに利用を検討することができます。
公式サイト:中小機構 経営セーフティ共済 制度の概要
最後に
良書を数冊読むだけでも、基本的な税金や節税の知識は身につきます。
知らないゆえに、高い国民健康保険料(税)を払い続けるのはもったいないです。
本を2~3冊購入したとしても、数千円程度の出費ですみます。
今後、何年にも渡って得られる節税効果を考えますと、決して高い投資ではありません。
個人事業主の方が、税金や節税の勉強をするために、本や電子書籍などを購入する場合は経費計上が可能です。
経費として認められているものは、もれなく必要経費として計上して国民健康保険料(税)を安くしましょう。