NHK受信料の勘定科目は?経費計上の仕訳を解説

事務所や店舗のテレビにかかるNHK受信料について、経費として計上する際の勘定科目をどうすべきか、また具体的な仕訳の方法はどうなるのか、お悩みではありませんか。

この記事では、NHK受信料を経費として扱う際の正しい勘定科目と、具体的な仕訳の方法について、分かりやすく解説します。

 

本記事のポイント

  • NHK受信料の勘定科目
  • 家事按分と継続性の原則の重要性
  • 具体的な仕訳例(青色申告・白色申告)

 

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NHK受信料の勘定科目

 

個人事業主やフリーランスの場合、特に自宅兼事務所で仕事をしていると、NHK受信料の扱いが法人よりも少し複雑になります。

ここでは、個人事業主が受信料を経費計上する際の勘定科目、最大のポイントである「家事按分」の考え方、確定申告での処理について解説します。

 

NHK受信料の勘定科目

 

個人事業主や自営業の方がNHK受信料を経費計上する場合、その勘定科目は事業におけるテレビの利用実態に応じて判断しますが、法人と同様に「通信費」を使用するのが最も一般的です。

ここでは、なぜ「通信費」が選ばれるのか、そして他の選択肢にはどのようなものがあるのかを網羅的に解説します。

 

ケース1:通信費

 

NHK受信料を「通信費」として処理する理由は、その支出が事業運営に必要な「情報」を受信するための対価であると解釈できるためです。

通信費という勘定科目には通常、電話料金、インターネット接続料、郵便料金(切手代など)が含まれます。

これらはすべて、外部と情報をやり取りしたり、情報を入手したりするための費用です。

NHKの放送も、社会の動向、経済ニュース、業界の最新情報などを得るための重要な情報源となり得ます。

例えば、以下のような目的でテレビを視聴する場合、その受信料は事業に必要な通信費とみなせます。

  • 仕入れや経営判断の参考にするための経済ニュースの確認
  • 自社のサービスや商品に関連する業界のトレンド把握
  • 店舗や待合室で顧客向けに情報を放映するための利用

このように、事業に必要な情報をテレビから得ている実態がある限り、受信料は業務上の「通信費」として計上するのが合理的です。

 

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ケース2:雑費

 

一方で、NHK受信料を経費全体の中で「雑費」として処理することも可能です。

これは、受信料の金額が事業全体の経費に比べて少額であり、わざわざ「通信費」として独立させるほどの重要性がないと判断した場合に選択されます。

ただし、「雑費」を多用することには注意が必要です。

雑費の金額が大きくなりすぎると、帳簿上で「使途不明金」が多いとみなされ、税務調査の際にその内訳を詳細に説明するよう求められる可能性があります。

また、経営分析を行う上でも、雑費が多いと費用の内容が把握しにくくなるデメリットがあります。

あくまで他の経費と比べて金額的な重要性が低い場合の、例外的な処理と考えるのがよいでしょう。

 

ケース3:福利厚生費

 

もし個人事業主が従業員を雇用しており、その従業員専用の休憩室やスタッフルームにテレビを設置している場合、その受信料は「福利厚生費」として計上する選択肢も出てきます。

この場合、テレビ視聴の目的は事業主の情報収集ではなく、従業員の休憩やリフレッシュ(慰安)のためとなります。

従業員満足度の向上を目的とした支出であるため、福利厚生費として処理するのが実態に合っています。

ただし、事業主本人やその家族しか視聴しない自宅兼事務所のテレビは、この福利厚生費には該当しません。

 

重要なルール

 

どの勘定科目を選ぶかも大切ですが、それ以上に重要な会計上のルールがあります。

 

家事按分の原則

自宅兼事務所でテレビを視聴している場合、その利用は事業用とプライベート用(家事用)が混在しています。

そのため、支払った受信料の全額を経費にすることはできず、事業で使用している割合を合理的な基準(業務時間や日数など)で算出し、事業分のみを経費にしなくてはなりません。

これは、どの勘定科目を使うかに関わらず必須の処理です。

 

継続性の原則

一度「通信費」として処理すると決めたら、特別な理由がない限り、翌年以降も「通信費」として処理し続ける必要があります。

「今年は通信費、来年は雑費」というように勘定科目を頻繁に変更することは、原則認められません。

勘定科目を統一し続けることで、期間ごとの経営成績を正しく比較できるようになります。

個人事業主のNHK受信料は、事業での情報収集が主目的であれば「通信費」で計上するのが最も一般的です。

金額が極めて少額で他の費用とまとめたい場合に限り「雑費」も可能ですが、いずれの場合も「家事按分」を正しく行い、一度決めた科目を「継続」して使用することが最も重要です。

 

家事按分の計算方法

 

個人事業主が自宅兼事務所でテレビを視聴している場合、NHK受信料の全額を経費にすることはできません。

なぜなら、そのテレビは業務だけでなく、プライベート(家事)でも使用されているとみなされるからです。

按分の基準は、客観的かつ合理的なものでなければなりません。

例えば、以下のような基準が考えられます。

  • 業務時間: 1日のうち業務を行っている時間(例:8時間)とプライベートの時間(例:16時間)の比率で按分する。
  • 使用日数: 1週間のうち業務を行う日数(例:平日5日)とプライベートのみの日数(例:休日2日)の比率で按分する。

税務調査などで質問された際に、なぜその割合にしたのかを明確に説明できるよう、按分の根拠を記録しておくことが大切です。

 

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家事按分とは?経費計上の計算方法と割合の決め方を解説

 

NHK受信料の仕訳例|青色(複式簿記)・白色(単式簿記)

 

このセクションでは、ご説明してきた勘定科目や家事按分などの情報をもとに、青色申告(複式簿記)と白色申告(単式簿記)の仕訳例をご紹介します。

全額を経費計上する場合と、事業割合が50%の場合を想定しています。

 

青色申告(複式簿記)の仕訳例

 

青色申告特別控除(最大65万円)を受けるには、原則として複式簿記での記帳が必要です。

取引を借方(左側)と貸方(右側)に分けて記録し、貸借のバランスを取る必要があります。

自宅兼事務所で按分する場合、プライベートな支出分は「事業主貸」という勘定科目を使って、事業用の資金から個人の費用を支払ったことを明確にします。

 

ケース 借方 金額 貸方 金額 摘要
事務所(全額経費) 通信費 2,000円 普通預金 2,000円 NHK受信料
自宅兼事務所(按分50%) 通信費 1,000円 普通預金 2,000円 NHK受信料(事業割合50%)
事業主貸 1,000円

 

このように、自宅兼事務所の場合は、預金口座から2,000円が引き落とされた(貸方)事実に対し、経費になる「通信費」1,000円(借方)と、家事費である「事業主貸」1,000円(借方)に分けて処理します。

 

白色申告(単式簿記)の仕訳例

 

白色申告や青色申告(10万円控除)では、簡易な単式簿記(簡易帳簿)での記帳が認められています。

これは家計簿のようにお金の出入りと内容を記録する方法です。

 

日付 勘定科目 摘要 金額
〇月〇日 通信費 NHK受信料(事務所) 2,000円
〇月〇日 通信費 NHK受信料(自宅兼事務所・按分50%) 1,000円

 

この記帳方法では、自宅兼事務所の場合、実際に2,000円を支払っていても、経費の集計表には認められる1,000円分だけを「通信費」として記載します。

ただし、現金出納帳や預金出納帳も付けている場合、そこには「支出 2,000円」と実際の動きを記録します。

この際、経費(1,000円)と帳簿上の支出(2,000円)の差額(1,000円)については、備考欄などに「事業主貸」とメモしておくと、後で帳簿の残高を確認する際に便利です。

なお、仕訳の例はすべて「税込経理方式」で記載しています。

もし課税事業者で「税抜経理方式」を採用している場合は、経費計上する「通信費」1,000円(按分後の金額)を、さらに税抜金額と「仮払消費税」に分けて計上する必要があります。

 

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まとめ|NHK受信料の勘定科目と仕訳

 

この記事では、NHK受信料の勘定科目について、取り上げました。

個人事業主の場合は「通信費」または「雑費」が一般的ですが、自宅兼事務所の場合は家事按分が必須です。

業務で使用する割合を時間や日数など合理的な基準で算出し、事業経費分のみを計上する必要があります。

その際、プライベート分は「事業主貸」として処理します。

正しいNHK受信料の勘定科目を理解し、適切な仕訳を行うことで、正確な帳簿作成と経費計上を心がけましょう。

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