事業所得と雑所得の違いとは?【経費・税率・損益通算】

 

この記事では、事業所得と雑所得の違いについて、できるだけ分かりやすくご説明しています。

 

個人事業主やフリーランスの方で、本業に加えて収入がある場合は、一通り目を通して頂くと確定申告の準備などをする際に役立つと思います。

 

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事業所得と雑所得の違い

 

個人事業主やフリーランスの方が本業として得ている収入は事業所得です。

 

国税庁のサイトによると、事業としての意義について次のように説明されています。

 

 「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡等を繰り返し、継続、かつ、独立して行うことをいいます。

引用:国税庁 No.6109 業者が事業として行うものとは

 

例えば、小売業・サービス業・製造業などの事業を行って対価を得ている場合は事業所得として申告します。

 

ですが不動産の貸付けや山林の譲渡に伴う収入については、事業所得ではなく不動産所得や山林所得として申告することになります。

 

雑所得は、他の所得区分に該当しない所得のことで、公的年金等や副業による収入などが該当します。

 

現在、副業による収入を得ているケースも多くなっていますが、必ずしも「副業の収入=雑所得」という訳ではありません。

 

例えば、個人事業主がパートやアルバイトの副業によって収入を得ていれば給与所得になります。

 

参考:個人事業主が給与所得を得た場合|仕訳・勘定科目・確定申告

 

また通常、サイトやブログ運営で得られる広告収入などは雑所得に該当しますが、個人事業主が本業に関連したサイトやブログを運営していて広告収入がある場合、雑所得ではなく雑収入となります。

 

雑収入は、事業所得に含まれる収入です。

 

所得の種類は10種類あり、ご自身の副業による収入がどの所得に該当するのかわからない場合は、税務署などで確認されるようお勧めします。

 

ちなみに、税務署の調査を受けた後で修正申告をしたり更正を受けたりした場合、本来納めるべき税金だけでなく追加で税金を収める必要があります。

 

副業による収入が多い場合は、税理士などに相談した方が、後から修正申告などのリスクを避けられるので安心です。

 

必要経費

 

必要経費については事業所得は勿論ですが、雑所得に関しても経費計上が可能です。

 

雑所得は公的年金等とその他の収入に分けられており、それぞれの区分によって処理が異なります。

 

公的年金等は、収入から公的年金等控除額を差し引いて所得を計算します。

 

公的年金等控除額については、65歳未満と65歳以上とで区分されており、収入金額に応じて控除額を計算します。

 

公的年金等控除額の速算表は、国税庁のサイトで確認できます。

 

参考:国税庁 公的年金等に係る雑所得の金額の計算方法

 

雑所得のその他の収入に該当する場合は、その収入を得るためにかかった必要経費を差し引いて所得を計算します。

 

仮に事業所得を得ている個人事業主の方で、家内労働者等に該当する場合は必要経費の特例が適用できます。

 

例えば、実際に掛かった経費が事業所得の分が30万円、雑所得の分が10万円だったとします。

 

このようなケースでは、家内労働者等の必要経費の特例(55万円)を適用した方が、所得金額を少なくできるので節税に繋がります。

 

特例を使う場合は、最初に雑所得に相当する収入金額から控除して、残額を事業所得に相当する収入から差し引きます。

 

例えば、事業所得が200万で雑所得が25万だった場合、家内労働者等の必要経費の特例を適用すると計算は下記のようになります。

 

  1. 雑所得・・25万-25万=0円
  2. 事業所得・・200万-(55万-25万)=170万

 

家内労働者等の必要経費の特例についての詳細を確認したい場合は、下記の記事が参考になります。

 

参考:家内労働者等の必要経費の特例とは|変更点・具体例・更正の請求

 

税率

 

事業所得と雑所得の収入がある場合の税率は、次のように計算します。

 

  1. 事業収入から必要経費を差し引いて、事業所得を計算する
  2. 年金や副業などの収入から必要経費(控除額)を差し引いて、雑所得を計算する
  3. 事業所得と雑所得の合計金額(総所得金額)を計算する
  4. 総所得金額から所得控除を差し引いて課税所得を計算する
  5. 課税所得の金額に応じた税率をかけて所得税を計算する

 

なお、課税所得に対する税率は下記の通りです。

 

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万超~330万円以下10%97,500円
330万円超~695万円以下20%427,500円
695万円超~900万円以下23%636,000円
900万円超~1800万円以下33%1,536,000円
1800万円超~4000万円以下40%2,796,000円
4000万円超~45%4,796,000円

参照:国税庁 No.2260 所得税の税率

 

所得税の税率は、課税される所得金額に応じて5%~45%の税率が課されます。

 

控除額を差し引いた後、さらに税額控除があればその分も差し引いた残額に、復興特別所得税額(2.1%)を掛けた金額が所得税及び復興特別所得税の合計となります。

 

損益通算

 

事業所得と雑所得については損益通算が可能です。

 

損益通算が可能なケースは、事業所得が赤字の場合です。

 

雑所得が赤字の場合は、黒字の事業所得との損益通算はできません。

 

例えば、事業所得が▲150万円で雑所得が70万円だった場合、損益通算ができるので雑所得については税金がかからず、青色申告をしていれば通算後の▲80万は3年間繰り越すことができます。

 

損益通算についての詳細は、下記の記事でご説明していますので参考にして頂きたいと思います。

 

参考:所得税の損益通算の順序を分かりやすく解説

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