自営業者(個人事業主やフリーランス)の方が、将来貰える年金を増やす方法の一つとして「国民年金基金」を活用することができます。
この記事では、国民年金基金の基本的な内容についてご説明しています。
国民年金基金とは
国民年金基金とは、国民年金の第1号被保険者が加入できる年金制度です。
国民年金の第1号被保険者には、個人事業主などの自営業者が含まれています。
将来貰える年金では生活できないのではないかという不安が大きくなっていますので、年金を増やしたいと考えている自営業の方も多いと思います。
自営業者には、会社員のように年金の2階建て部分(厚生年金)がなく、基本的には国民年金のみです。
そこで、貰える年金を増やしたい国民年金の第1号被保険者が、国民年金基金を利用することで、会社員のように年金の2階建て部分を準備できるよう、平成3年4月にこの制度が創設されました。
国民年金基金には、下記のように2つの種類があります。
- 地域型基金
- 職能型基金
地域型は、都道府県ごとに一つしかなく、同じ都道府県に住所のある人が加入できます。
一方で職能型は、事業や業務内容に応じて加入する制度です。
地域型基金と職能型基金は、どちらか一つにしか加入することができません。
地域型でも職能型でも、基本的な内容(掛金・支給額)などに違いはありません。
注意点としては、任意の脱退や変更ができないことです。
仮に、県外に引っ越しをしたり、事業内容が変わったり、自営業から会社員などに転職した場合、加入資格は失われます。
これまでの掛金については、国民年金基金連合会に移管されることになります。
将来の年金は、国民年金基金連合会から支払われることになります。
国民年金基金に加入するには、国民年金を納めている必要があります。
年金が未納であったり猶予制度を受けている場合は、加入することはできません。
また、国民年金保険料を払っていても、免除制度を利用していて一部の保険料しか払っていない場合も、加入することはできませんのでご注意ください。
所得控除できる金額
国民年金基金の掛金については、全額を所得から控除することができます。
該当する所得控除は、社会保険料控除です。
国民年金基金は、月額68,000円まで掛けることができるので、年間に最大816,000円を所得から控除することが可能です。
国民年金基金は、節税しながら老後の年金を準備できるメリットがあります。
また、年金を受け取る際も、公的年金等控除の対象になります。
このようにメリットの大きな制度ですが、他の年金制度との関係も把握しておく必要があります。
iDeCoや付加年金との関係
iDeCo(確定拠出年金)
iDeCoは、加入者が自分で運用しながら年金を増やす「確定拠出」です。
国民年金基金は、「確定給付」となっていて将来の給付額が保証されています。(現在の予定利率は1.5%)
iDeCoの場合は、運用がうまくいけば大きく年金額を増やせる可能性があります。
ちなみに、iDeCoは運用益も非課税です。
一方で、運用は必ずしも成功するとは限りませんのでリスクもあります。
その点、国民年金基金は大きく年金額を増やすことはできませんが、将来の給付額が保証されているという安心感はあります。
そうした点を比較考慮した上で、加入を検討することができます。
ちなみに、国民年金基金とiDeCoは併用することが可能です。
ただし、併用した場合の掛金についても、先程ご説明した月額68,000円が上限となります。
付加年金
付加年金は、国民年金に付加保険料を上乗せで支払うことによって、将来貰える年金を増やすことができる制度です。
付加年金は、2年で掛金のもとが取れるお得な制度ですが、国民年金基金と併用することはできません。
付加年金に加入している方が国民年金基金に加入する場合は、付加年金を辞める必要があります。
国民年金基金には、もともと付加年金に相当する部分が含まれていますので、二重に加入することになるからです。
先程取り上げたiDeCoは、付加年金との併用が可能です。
付加年金についての詳細は、下記の記事で確認することができます。
加入手続きについて
国民年金基金のお問い合わせや資料請求は、国民年金基金のサイトから行うことができます。
国民年金基金や他の年金制度に関する基本的な内容を確認した上で、ご自身にとってメリットの大きな選択をして、将来の年金額を増やしていただきたいと思います。