付加年金とは?加入対象者やお得な理由を分かりやすく解説

  • 2019年6月23日
  • 2024年9月7日
  • 年金

 

この記事では、付加年金制度についてご説明しています。

 

一通り記事をご覧いただくことで、付加年金制度の対象者やお得な理由、国民年金や国民年金基金との違いなど付加年金制度の基本的な情報を確認することができます。

 

付加年金とは?

 

付加年金とは、国民年金に付加保険料を上乗せして支払うことで、将来貰える年金を増やすことができる制度です。

 

具体的には、国民年金保険料に加えて400円(月額)の付加保険料を支払います。

 

将来年金を受け取る際には、国民年金に加えて200円×付加保険料納付月数分がプラスされます。

 

この付加年金制度がお得だと言われている理由は、わずか2年で支払った保険料のもとが取れるからです。

 

この点については、付加年金のメリットの部分で具体的にご説明したいと思います。

 

付加年金の加入対象者

 

お得な付加年金制度ですが、誰でも加入できるわけではありません。

 

加入できる対象となるのは下記の通りです。

 

  • 国民年金第1号被保険者
  • 任意加入被保険者(65歳以上の方を除く)

 

まず国民年金第1号被保険者とは、具体的には次のような方々です。

 

  • 自営業者(個人事業主・フリーランス)
  • 農業・漁業従事者
  • 学生
  • 無職の人

 

自営業者を始めとして、学生や無職の人も国民年金の第1号被保険者となります。

 

厚生年金に加入している会社員(国民年金第2号被保険者)や、国民年金第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(国民年金第3号被保険者)は、国民年金の第1号被保険者ではありませんので、付加年金を利用することは出来ません。

 

また60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていなかったり、老齢基礎年金を満額受給できない状況で増額を希望する場合、60歳を過ぎても任意で国民年金に加入することができますが、こうした加入者が任意加入被保険者に該当します。

 

任意加入被保険者(65歳以上の方を除く)も付加年金に加入することが可能です。

 

国民年金第1号被保険者は、公務員や会社員と比べると貰える年金は少なくなります。

 

加入条件を満たしていて少しでも年金額を増やしたい方は、付加年金制度の利用を検討することができます。

 

メリット&デメリット

 

付加年金のメリット

 

付加年金の保険料は、月額400円と掛金が安く少ない負担で将来貰える年金額を増やせます。

 

例えば付加年金を40年間収めたとすると、支払う保険料の合計金額は192,000円です。

 

  • 400×480ヶ月=192000

 

上記の金額を納めた場合、毎年貰える年金額は「200×付加保険料を収めた月数」です。

 

この例の場合ですと、40年保険料を支払っていますから、付加保険料を収めた月数は480ヶ月となり毎年貰える年金額は96,000円です。

 

2年貰うと192,000円ですから、たったの2年で元が取れる計算になります。

 

さきほど、付加年金はお得な制度で2年で支払った金額の元が取れることに触れましたが、それ以降も継続して付加年金は支給されるので、長生きすればそれだけ年金の支給額で得をすることになります。

 

ちなみに65歳から次の期間、付加年金をもらった場合の金額はご覧の通りです。

 

  • 10年・・960,000円
  • 20年・・1,920,000円
  • 30年・・2,880,000円

 

実質支払う付加保険料は、貰える付加年金の2年分(192,000円)ですから、いかにお得な年金制度かご理解いただけると思います。

 

今は人生100年時代とも言われており、老後の経済面でのリスクにも備えておくことは大切です。

 

付加年金は少額の保険料で加入でき資金効率も良いですから、年金額を増やすための選択肢の一つとして検討できるでしょう。

 

付加年金のデメリット

 

お得な付加年金制度ですが、デメリットについても確認しておきたいと思います。

 

国民年金(老齢基礎年金)については、物価や賃金などの変化に応じて、年金額を反映させる仕組みが導入されています。

 

ただし実際は、マクロ経済スライドによる調整が行われることで、物価や賃金の上昇率ほどには年金は上がらず、抑制されるので多少目減りすることになります。

 

しかし、付加年金についてはその仕組みが導入されていません。

 

ですから仮に、40年間保険料を収めて毎年貰える付加年金は96,000円だとしても、その間に物価が上昇すれば年金額は大きく目減りする可能性があります。

 

数十年先のことを正確に把握することはできませんが、インフレリスクがあることには注意が必要です。

 

付加年金の繰上げ・繰下げ支給

 

付加年金は、繰上げ・繰下げ支給を受けることも可能です。

 

これは、老齢基礎年金と同じ割合で計算されます。

 

繰上げの場合は、月単位で0.5%支給額が少なくなります。

 

60歳から年金を貰うと、最大で30%減額されます。

 

繰下げの場合は、月単位で0.7%支給額が多くなります。

 

70歳から年金を貰うと、最大で42%増額されます。

 

40年間保険料を支払った場合、毎年貰える付加年金は96,000円でした。

 

付加年金の繰上げ・繰下げ支給を受けることで、貰える付加年金の金額は次のようになります。

 

  • 繰上げ率が30%の場合・・67,200円
  • 繰下げ率が42%の場合・・136,320円

 

繰上げ・繰下げ支給を受けることで、上記の金額の範囲で貰える年間の付加年金額が変動することになります。

 

ただし、この例はあくまで40年間、付加年金を収めた方の例です。

 

仮に保険料を収めた期間が20年だとすると、貰える付加年金も上記の金額の半分になります。

 

付加年金を利用して将来の年金を増やしたい場合は、早めに申し込んで少しでも長い期間、保険料を収めることをお勧めします。

 

付加年金の注意点

 

付加年金の加入対象となっている場合でも、状況によっては付加年金に加入できないケースがあります。

 

国民年金の免除や猶予を受けている

 

付加年金の対象者であったとしても、国民年金の定額保険料を収めていなければ、付加年金制度を利用することは出来ません。

 

もし現在、国民年金の免除や猶予を受けている場合は、付加年金を利用することは出来ません。

 

まずは国民年金の定額保険料を収めることができるように状況を改善してから、付加年金の加入を検討しましょう。

 

国民年金基金に加入している場合

 

国民年金基金に加入している場合は、付加年金に新たに加入することはできません。

 

国民年金基金には、付加年金に相当する部分が含まれていますので、別途加入の必要がないと言うことです。

 

国民年金+付加年金よりも国民年金+国民年金基金のほうが、将来貰える年金額を増やすことができます。

 

しかし、付加年金に単独で加入するよりも収める保険料は高くなりますので、それぞれの制度の違いを把握した上で、どちらを利用するかを検討する必要があります。

 

国民年金基金については、下記の記事を参考にして下さい。

 

個人事業主プラス

  自営業者(個人事業主やフリーランス)の方が、将来貰える年金を増やす方法の一つとして「国民年金基金」を活用することがで…

 

まとめ

 

この記事では、付加年金について取り上げました。

 

月額400円という少額の掛け金で加入することができ、2年で元が取れるとてもお得な制度です。

 

人生100年時代の長生きリスクに対応する点で、少しでも老後の年金額を増やしたいとお考えであれば加入を検討してみてはいかがでしょうか?

 

加入手続きについては、お住まいの地域の市役所で行うことが出来ます。

 

>個人事業主のお金に関する情報メディア「個人事業主プラス」

個人事業主のお金に関する情報メディア「個人事業主プラス」


主に個人事業主のお金に関する情報発信を通じて、ご覧頂く方のお役に立つメディアを目指しています。