会社員が開業届を提出する前に準備しておきたい5つのこと

新たに事業を始めるに当たって良いスタートを切りたいと思うのは当然ですよね。

良いスタートを切るには、開業前にはなるべくお金をかけずに、開業後には本業の時間が必要以上に奪われないような準備が大切です。

この記事で取り上げる開業する前に準備しておきたい5つのリストの内容を確認しておけば、新たに事業を始めるに当たって良いスタートを切ることが出来るはずです。

 

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自分の強みと弱みを把握する

 

開業の準備として、まずはこれから事業を行っていく上での自分の強みと弱みを把握しましょう。

例えば、会社員時代に培った専門知識やスキルなどがありますか?特定の資格を保有しているでしょうか?

そうした強みをこれから行なう事業に活かすことが出来れば、扱う商品やサービスの価値を高めて固定客を増やすといったことが可能です。同業他社よりも有利に事業を展開することも可能になります。

 

逆に、自分の弱みが明らかになった場合は、早めの対応を心がけましょう。

仮に、人脈に関して不安があるとすれば、早い段階から同業者の集うセミナーに出席したり、実際に同業者のお店を訪ねたりして率先して親交を深めたりすることができます。

親しくなれば、今後売れそうな商品や有利な仕入先など、事業を行なうのに有益な情報を教えて貰えるかも知れません。

 

開業資金を準備する

 

開業資金とは、事業を開始して軌道に乗るまでに必要となる資金のことです。開業資金は、開業準備資金と運転資金の2つに分けて考える事が必要です。

 

開業準備資金

 

開業準備資金とは、新たに事業を始めるに当たって必要となる資金のことです。

業種や事業規模などによって必要な金額には違いがありますが、開業の準備には以外とお金がかかります。

業種によっては、不要なものがあるかも知れませんが、代表的なものとしては下記のような費用です。

 

●敷金、礼金

●パソコン、コピー機

●固定電話、携帯電話

●車

●内装、外装工事

●机、椅子

●ホームページ作成

 

運転資金

 

運転資金とは、開業後に必要となる資金をいいます。運転資金は主に固定費と変動費に分けて考えることができます。

事業を継続させていくためには、この運転資金が重要で、3ヶ月分~6ヶ月分は準備しておくことが必要です。

なぜなら、売上があるかどうかに関わらず、特に固定費が毎月必要となるからです。

例えば、固定費の代表的なものとしては家賃があります。当然ですが、売上が上がっていないからと言って、家賃を払うのを先延ばしにすることは出来ません。

変動費については、工夫次第である程度は費用を抑えられますが、固定費に関しては毎月一定の金額を支払っていく必要があります。開業当初、思うように売上が上がらない場合は、運転資金からやりくりをしていく必要があります。

また、売掛金決済が当たり前の業種の場合も注意が必要です。

売掛金とは、後からお金を受け取ることが出来る権利のことです。

この”後から”という部分が問題となることがあります。売上代金が入金されるまでに数ヶ月、場合によっては半年以上かかるケースもあるからです。

売掛金決済の場合、売上が上がっていてもすぐに代金を受け取ることが出来ません。その間にも、毎月固定費などの費用を支払っていく必要があります。

どうしても資金が必要な場合には、売掛金を譲渡して資金化するファクタリングなどを利用することもできますが、出来れば3ヶ月分~6ヶ月分の運転資金をあらかじめ準備しておいた方が安心です。

 

開業資金の調達先

 

開業資金の調達先については、主に下記の6つを考慮することが出来ます。

それぞれの特徴を踏まえた上で利用先を検討することができます。

 

①自己資金

 

自己資金とは、自分が保有している資産の中から、開業資金にあてることができる資金です。

例えば、普通預金や定期預金、有価証券や不動産などが代表的な資産です。

開業資金の全額を自己資金で賄うことができれば、他の選択肢を考慮する必要はありませんが、難しい場合は、50%くらいは自己資金で準備できるか検討してみて下さい。

足りない分については、2番目以降の選択肢も合わせて考慮していく必要があります。

 

②親族や友人

 

親族や友人から開業資金の一部を借りることも考えられます。

その際は、借用書などを準備したり特定の口座にきちんと返金するなど、後から「返済した」「返済していない」と言った相違が生じて金銭トラブルに発展しないような対策を考えておきましょう。

仮に事業が上手く行かずに返済が滞るようなことになれば、これまでの良好な人間関係にヒビが入ってしまう恐れがあることも意識しておく必要があるでしょう。

 

③公的金融機関

 

代表的な借入先は、日本政策金融公庫です。

日本政策金融公庫は、他の借入先よりもメリットが多いです。

例えば、民間金融機関と比較するとはるかに融資が受けやすいです。保証人や担保なしでも融資が可能ですし、融資プランも多岐にわたっています。必要に応じて検討しましょう。

ただし、申し込んでから融資してもらうまでに約1ヶ月ほどかかりますので、その点も考慮しておく必要があるでしょう。

日本政策金融公庫

 

④自治体

 

制度融資

自治体が行っている制度融資を活用することができます。

制度融資とは、自治体と金融機関と信用保証協会が連携して融資を行なう仕組みのことです。

保証人や担保なしでも、融資を受けることができるといったメリットがある反面、利用するには信用保証協会に、信用保証料を支払ったり、事業計画書の提出が必要になる場合があります。

対応は、各自治体によって異なりますので、該当する自治体の情報を調べて頂きたいと思います。

 

補助金・助成金

国や自治体が提供する補助金や助成金についても検討する価値があります。

何と言っても最大の特徴は、返済の義務がない貰えるお金という点です。これが、補助金や助成金の最大の魅力でありメリットです。

ただし、煩雑な手続きが求められたり、給付されるまでに半年以上かかる場合もあります。また、申請しても必ず貰えるわけではありません。

それでも、メリットの大きな制度ですから、自分の事業に関連した補助金や助成金があるかどうかを厚生労働省のホームページなどで確認してみましょう。

厚生労働省ー事業主の方のための雇用関係助成金

 

⑤契約者貸付制度

 

契約者貸付制度とは、加入している保険の解約返戻金や満期返戻金の範囲内で貸付が受けられる制度です。

返戻金の8~9割程度の貸付けであれば利用可能です。現在、生命保険や損害保険に加入しているのであれば、ご自身が加入している保険が利用可能かどうかを確認してみましょう。

 

⑥民間金融機関

 

民間金融機関は、開業前や開業当初の借入についてはかなりハードルが高くなります。

借入が不可能とまでは言えませんが、借入が出来るとしても担保や保証人が求められるケースが大半です。民間金融機関からの借入は、事業の実績を数年積んでから検討する方が良いでしょう。

 

保険や年金の切り替え

 

国民健康保険

 

会社員から個人事業主となる場合は、健康保険から国民健康保険への切り替えが必要です。下記の3点を抑えておきましょう。

 

①申請場所は居住している市区町村役場です。

②必要なものは、印鑑・退職日を証明する書類・本人確認できるものなどです。

③申請期間は退職日の翌日から14日以内です。

 

退職日を証明する書類には、「健康保険資格喪失証明書」「退職証明書」「離職票」などがあります。退職後、スムーズに手続きが出来るように、可能であれば会社に前もって証明書の発行をお願いしておきましょう。

手続き期間が退職日から14日以内となっていますが、それ以降も手続きをすることは可能です。それでも、できれば期間内に手続きを済ませましょう。

手続きが遅れると保険の適用されない期間が生じることになり、その間に医療費がかかったなら、払い戻しがされずに全額自己負担となってしまう場合があるからです。

 

任意継続

 

任意継続とは、今まで勤めていた会社で加入していた健康保険を継続して利用できる制度です。 これまで加入していた健康保険組合や全国健康保険協会で手続きを行なう必要があります。

任意継続の特徴や手続きの際の注意点については下記の通りです。

 

①利用出来るのは、資格を喪失した日の前日までに継続して2ヶ月以上の被保険者期間のある方です。

②申請期限は資格を喪失した日から20日以内です。原則、20日を超えると手続きができなくなります。

③継続期間は2年間です。

 

会社員時代には、会社と折半だった保険料が全額自己負担となってしまいます。それでも、会社員だった時と同様の給付が受けられたり、条件を満たす家族を扶養に出来ると言ったメリットがあります。

 

国民年金

 

会社員から個人事業主となる場合は、厚生年金から国民年金への切り替えも必要になります。

厚生年金の資格喪失手続きについては会社が行ってくれますが、国民年金の加入手続きに関しては自分で行う必要があります。

 

①申請場所は居住している市区町村役場です。

②手続きの際は、年金手帳・印鑑・退職日を証明する書類・本人確認ができるものなどが必要です。

③申請期間は退社日から14日以内です。

 

これまで配偶者が厚生年金の扶養者だったなら、配偶者についても国民年金への加入手続きが必要です。

逆に、配偶者が会社に勤めていて、厚生年金に加入している場合、一定の要件を満たすことで配偶者の被扶養者となることも可能です。

 

資金を節約する

 

自宅兼事務所

 

開業当初は、自宅を事務所としても利用できるか検討してみましょう。もし、新たに事務所などを借りることになれば、敷金や礼金などの初期費用や毎月の家賃が別途必要となります。

飲食業などのように、必ずしも店舗を借りる必要がなければ、ある程度事業が軌道に乗るまでは、自宅兼事務所がお勧めです。

 

バーチャルオフィス

 

自宅を利用できない、もしくは自宅を利用したくないけど、事務所を借りるとなると高額な費用がかかるので躊躇する場合は、バーチャルオフィスの利用を検討することもできます。

バーチャルオフィスとは、仮想の事務所のことですが、普段の仕事に関しては自宅や取引先で行っている事業主で、法人や個人事業主としての住所が必要な方に対するサービスです。

郵便物を受け取ったり、電話&FAXなども利用できるバーチャルオフィスが増加しています。

事務所を借りるとなると、敷金や礼金などまとまった費用が必要になりますし賃料も高額です。開業当初から資金繰りに苦慮することになりかねませんが、バーチャルオフィスであれば大幅にコストを下げることができるのが大きなメリットです。

ご自身のお住まいの近くで、バーチャルオフィスのサービスを利用できるなら検討してもいいかも知れません。

 

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開業準備費

 

開業準備費とは、開業までにかかる費用のことです。開業後に最大5年の期間に渡って必要経費として計上することが可能です。

税法上、購入した時期の制限はありませんが、通常は開業の半年から1年ほど前のものを必要経費として計上するのが一般的です。

もれなく経費計上して節税効果を高めるために、領収書などはしっかり保管しておきましょう。

 

事業用と個人用を区別する

 

銀行口座

 

できれば事業を始める前に、事業用と個人用の銀行口座を分けておくことをお勧めします。

会社員時代は、会社が税金の計算をしてくれていたわけですが、個人事業を開始すると自分で税金の計算をしなければなりません。

会計処理の際、事業に関連した取引と個人の取引とを区別する必要がありますが、特定の銀行口座に事業の取引と個人の取引とが記載されることになれば会計処理が煩雑になってしまいます。

会社員から個人事業を始める人にとっては、当初慣れない会計処理はかなりの手間となることが考えられます。少しでも、効率よく会計処理が出来るように口座は事業用と個人用とに分けておきましょう。

クレジットカード

 

クレジットカードについても、事業用と個人用とに分けておくことをお勧めします。

1枚のクレジットカードで、事業で使うものと個人で使うものとを購入すると、後の会計処理が面倒になります。

数回の取引くらいだと、そこまでの手間ではありませんが、だんだん取引量が多くなってくると後から苦労することになります。

最初から事業用と個人用とを分けておけば、会計処理の効率化と資金管理の明確化に寄与するはずです。

尚、クレジットカードに関しては、個人事業主よりも会社員の方が作りやすいです。個人事業を開始する前に必要な分を作っておけば、開業後の資金繰りが苦しい時などに役立つ可能性もあります。

個人事業主向けのカードであれば、経理管理や事務作業の効率化に寄与します。

 

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開業届を提出

 

開業のための準備をしっかり行なった後、いよいよ事業をスタートさせることになります。

事業を開始してから、最初に提出しなければいけない必要書類は開業届です。正式には、「個人事業の開廃業等届出書」と言います。

この個人事業の開廃業等届出書を、所轄の税務署に開業後、1ヶ月以内に提出する必要があります。

個人事業の開廃業等届出書の作成や届出時の注意点については、別の記事に詳しくまとめていますので必要な場合は下記の記事も参考にして頂きたいと思います。

 

開業後に最初に提出する「個人事業の開廃業等届出書」の作成と届出時の注意点について

 

まとめ

 

開業届を提出する前に、以下の5つの点を意識しましよう。

 

  1. ビジネス上の自分の強みと弱みを把握する。
  2. 開業資金の調達方法を把握しておく。
  3. 保険や年金の切り替えは速やかに行なう。
  4. 資金を節約する。
  5. 口座やカードを事業用と口座用に区別する。
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