結論:帳簿をつけてなくても、通帳・クレカ明細・領収書から取引を整理すれば確定申告は可能です。
- 最優先:まずは期限内提出
- 白色:簡易帳簿でOK
- 青色:65/55/10万で要件が変わる
白色・青色それぞれの最低限のラインを把握し、2026年3月16日(原則:2025年分/令和7年分の申告期限)の期限内提出を最優先に動きましょう。
本記事のポイント
- 帳簿がない状態からでも領収書や明細で内容を整理する手順
- 白色申告と青色申告で求められる記帳レベルの違い
- 令和4年度改正で整備された、帳簿不備等による加算税リスクを避ける考え方
- 会計ソフトの自動連携機能を使って作業時間を短縮するコツ
確定申告の期限が目前に迫る中、帳簿をつけてないことに気づき、強い焦りを感じている方は少なくありません。
領収書の山や整理されていない通帳の履歴を前にして、どこから手をつければよいか分からず、立ち止まってしまうケースも多いものです。
しかし、過去の取引記録が完全に消えていない限り、今からでも申告書類を作成する方法は残されています。
まずは落ち着いて、手元にある材料から数字を組み立てていく道筋を整理していきましょう。
期限が近い方は、まずこちらの手順に沿って動くのが最短です。
関連記事:【2026年版】確定申告が間に合わない場合の最短手順(今日やること3ステップ)
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この章では、帳簿が完成していなくても確定申告を諦める必要がない理由と、法律で定められている基本的な義務について解説します。
| 状況(目安) | 申告の要否 | やるべき対応 |
|---|---|---|
| 課税所得が発生しそう(所得区分・控除・年末調整状況などで変動) | 要確認 | 売上・経費を集計して概算→国税庁案内で最終確認 |
| 副業(給与所得あり)で給与以外の所得が20万円超(原則) | 必要となることが多い | 収入と経費を整理して雑所得または事業所得で申告 |
| 青色申告の承認を受けている | 必要(原則) | 控除額に応じた形式の帳簿を急いで作成する |
※重要:申告が必要かどうかは、所得の種類・控除・年末調整の有無などで変わります。
迷ったら、国税庁のサイトで「自分が該当するケース」を必ず確認してください。
記帳・帳簿保存は義務(白色も対象)
所得税のルールでは、事業所得・不動産所得・山林所得が生じる業務を行っている方に、帳簿の作成と保存が求められます。
制度の概要は国税庁でも公開されています。
参考:国税庁 個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について
青色は控除(65/55/10万)で必要要件が変わる
青色申告は控除額によって要件が変わります。
最大65万円の控除は、複式簿記での記帳に加え、期限内にe-Taxで申告するか、または優良な電子帳簿保存を行うことが条件です。
青色申告のやり方をゼロから確認したい方は以下の記事を参考にしてください。
関連記事:初めての青色申告のやり方(必要書類・e-Tax・65万円控除の要件)
帳簿をつけてない人がすぐにやるべきことのチェックリスト

取引の材料を集める(通帳・クレカ・請求書・領収書)
申告対象年(2025年1月〜12月)の取引が記録されているものをすべて一箇所に集めます。
クレカ明細はCSVで落としておくと後が楽です。
売上の根拠をそろえる
振込手数料が差し引かれて入金されているなら、本来の売上は「入金額+手数料」になります。
入金日と役務提供日がズレるケースもあるため、請求書・納品記録・メールなどで「いつ仕事をしたか」を基準に整理します。
特に、当期分の売上が翌期に振り込まれるようなケースでは注意が必要です。
例えば、12月分の売上が1月に入金予定の場合、12月分の売上として計上する必要があります。
事業所得は原則として、役務提供や引渡しなど“取引が発生した時点”で計上します。
青色(65/55万円控除)は複式簿記・決算書作成が必要なので、特にこの点について注意して整理するとミスが減ります。
関連記事:確定申告はいつからいつまでの収入が対象?給与・売上の計上基準や違いを詳しく解説
経費をカテゴリ分け
領収書や明細を「家賃」「電気代」「消耗品」「交通費」などにざっくり分類します。
用途メモがあると後で説明しやすくなります。
経費も原則として、サービスの利用や納品など“費用が発生した時点”で計上します。
支払日とズレる場合があるので、請求書や利用明細の日付も確認して整理するとミスが減ります。
10万円以上の機材等は原則として減価償却の対象になり得ます。
青色申告者には一定要件で30万円未満を一括経費にできる特例などもあるため、高額購入は別枠で控えておきましょう。
申告書類に落とし込む(白色:収支内訳書/青色:決算書)
「国税庁の確定申告書等作成コーナー」で数字を入力します。
帳簿自体は通常提出しませんが、根拠書類は保存し、調査等で求められたら提示できるようにします。
- 取引記録を集める
- 月別・項目別に合計し、10万円以上の買い物を分ける
- 確定申告書等作成コーナーで入力して2026年3月16日までに送信する
白色申告:最低限ここまでできれば形になる
白色で必要な帳簿の種類
白色申告は「簡易帳簿」で足ります。
保存期間は国税庁の案内どおり、帳簿・書類の区分により5年(一定の帳簿は7年)が基本です。
白色の帳簿をテンプレで確認したい方は以下の記事をご覧ください。
関連記事:【白色申告】帳簿の種類・書き方・保存期間
記帳方法
「2月10日/〇〇コンビニ/事務用品代/550円/現金」のように、1行1取引で記録すればOKです。
確定申告書提出後の帳簿・領収書の保存

保存期間の基本
保存期間は国税庁の案内どおり、帳簿・書類の区分や状況で5年(一定の帳簿は7年)が基本です。
保存方法・起算日まで含めて確認したい方は以下の記事が参考になります。
関連記事:確定申告後の書類の保存期間や保存方法(帳簿・証憑・起算日の考え方)
白色申告と副業(雑所得)の「保存義務のルール」の違い
白色申告と、副業の「業務に係る雑所得」では、帳簿・書類の保存ルールが同じではありません。
混同すると「自分は保存が必要なのか」が分からなくなるため、ここだけは切り分けて確認しましょう。
① 白色申告(事業所得・不動産所得・山林所得)の保存
白色申告で対象となる所得がある場合、帳簿や書類の保存が必要です。
保存期間は、原則として5年(一定の帳簿は7年)と定められています。
② 副業の「業務に係る雑所得」の保存(300万円ルール)
副業が「業務に係る雑所得」に当たる場合、前々年のその収入金額が300万円を超えるときは、現金預金取引等関係書類(通帳、明細、領収書など、現金預金の動きと紐づく資料)を5年間保存する必要があります。
ただし、保存義務がない場合でも、申告した数字を後から説明できるように、通帳・明細・請求書・領収書などは少なくとも申告内容と突合できる形で整理しておくのが安全です。
③ 参考:1,000万円超だと「添付」が必要になるケースも
さらに、業務に係る雑所得については、前々年の収入が1,000万円を超える場合、確定申告書に収支内訳書など一定の書類を添付する必要があります。
令和4年度改正:加算税が最大10%加重されるケース
帳簿作成・保存義務のある事業者等について、税務調査で売上(収入)に関する帳簿を保存していない、または売上の記載が不十分と把握された場合などに、過少申告加算税・無申告加算税が5%または10%加重される仕組みがあります。
よくある質問
Q. レシートがない経費はどうする?
A. 出金伝票を作成し、日付・支払先・内容・金額を記録し、補助資料(メモ・メール等)も残すと説明しやすくなります。
Q. 売上の入金が一部不明…どう整理する?
A. 請求書控え、取引先メール、納品完了の記録などを遡って確認してください。申告対象年の1月まで遡ると漏れを減らせます。
Q. 副業(雑所得)でも保存は必要?
A. 業務に係る雑所得で前々年の収入が300万円超なら、通帳・領収書など(現金預金取引等関係書類)の5年保存が義務です。300万円以下はこの義務はありません。
Q. 青色だけど間に合わない。65万控除は捨てるべき?
A. 期限後提出だと65万・55万の要件を満たせず、10万控除となるのが一般的です。期限内提出を優先し、現実的なラインを選びましょう。
まとめ
この記事では、確定申告の期限が近付いている状況で、帳簿をつけていない方の対処法についてご説明してきました。
取り上げた内容の主なポイントについては次の通りです。
- 通帳、クレジットカード明細、領収書を集めて月別に並べる
- 会計ソフトの無料期間や銀行連携機能を活用し、取引データを取り込む
- どうしても時間が足りない場合は、10万円控除や白色申告での期限内提出を最優先にする
この記事の内容は、税制改正などで変わる場合があります。
最新の情報は国税庁の公式案内をご確認いただき、個別具体的な疑問点は税理士などの専門家へご相談ください。