不渡手形の勘定科目と仕訳例

  • 2020年8月6日
  • 2021年2月11日
  • 簿記

 

不渡手形とは

 

手形が満期日になっても決済されないことを手形の不渡りと言い、通常の手形と区別するために不渡手形の勘定科目を使用して会計処理を行います。

 

受け取った手形が不渡りになる場合、手形を発行した相手先の経営状況が良くない可能性があり、手形代金を回収できないリスクが高くなっていると考えられます。

 

ですが、手形の不渡り=回収不能というわけではありませんので、一旦不渡手形で処理しておき、その後手形代金を回収できた場合とできなかった場合とに応じた処理をすることで不渡手形の勘定科目を相殺します。

 

現時点では不渡であっても、あくまで代金の請求権であることに変わりはないので、不渡手形は資産の勘定科目です。

 

不渡手形の仕訳例

 

 

不渡手形の仕訳例を、不渡の発生・回収できた場合・できなかった場合に分けて確認したいと思います。

 

手形が不渡りになった場合

 

●支払期日になったので7万円の手形について銀行に取り立てを依頼したが、相手先の口座が残高不足のために決済されず不渡りとなった。

 

借方金額貸方金額
不渡手形70,000受取手形70,000

 

手形が不渡となった場合は、不渡手形(資産)の増加と受取手形(資産)の減少として処理します。

 

手形の代金を回収できた場合

 

●不渡手形の代金を回収し、延滞利息1,000円と合わせて現金で受け取った。

 

借方現金貸方現金
現金71,000不渡手形70,000
受取利息1,000

 

無事に不渡手形の代金を回収できた場合は、現金(資産)の増加と不渡手形(資産)の減少として処理します。

 

また、支払いが遅れたことに伴って、延滞利息を受け取った場合は、受取利息(収益)の勘定科目で仕訳を切ります。

 

手形の代金を回収できなかった場合

 

●不渡手形が回収不能となった。

 

借方金額貸方金額
貸倒損失70,000不渡手形70,000

 

不渡手形の代金を回収することができなかった場合は、貸倒損失(費用)の勘定科目で処理します。

 

諸費用の処理

 

所有している手形が不渡りとなった場合、不渡りに関連した諸費用についても相手側に請求することが可能です。

 

諸費用が発生した場合は、不渡手形に含めて仕訳を行います。

 

●10万円の手形が不渡りとなった。なお、支払拒絶証書作成費用4,000円は現金で支払った。

 

借方金額貸方金額
不渡手形104,000受取手形100,000
現金4,000

 

裏書や割引を行っていた手形の処理

 

 

保有している手形が不渡りとなったときは、不渡手形の増加と受取手形の減少という処理を行いました。

 

ですが、裏書きや割引を行っている場合は、手元に手形はありません。

 

裏書きや割引を行っていた手形が不渡りとなった場合、当社が代金を支払って手形を買い戻す必要があります。

 

このことを遡及義務(さっきゅうぎむ)と言います。

 

そして、後日相手先に請求することになります。

 

仕訳例は下記の通りです。

 

●裏書きした手形10万円が不渡りとなった。

 

借方金額貸方金額
不渡手形100,000当座預金100,000

 

裏書きした手形が不渡りとなった場合は、一旦当社が手形の買い戻しを行う必要があるので、当座預金(資産)の減少として処理をします。

 

買い戻しを行う際に諸費用が発生した場合は、さきほどご説明した通り不渡手形の代金に含めて相手先に請求することができます。

 

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