確定申告では、1年間の所得を正しく申告し、納税や還付を行う必要があります。
しかし、「確定申告の対象となる収入はいつからいつまでの期間なのか?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、確定申告の対象となる「いつからいつまでの収入」をわかりやすく解説し、給与所得・事業所得・不動産所得などの計上基準について詳しく説明します。
申告ミスを防ぐためにも、収入や経費の計上ルールを正しく把握し、スムーズな確定申告を行いましょう。
本記事のポイント
- 確定申告の対象となる収入期間
- 給与・事業・不動産所得の計上基準
- 12月分の収入や経費の申告方法
- 発生主義と現金主義の違い
- 申告ミスを防ぐための注意点
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確定申告はいつからいつまでの収入?基本を解説
確定申告では、1年間に得た所得を申告し、納税または還付を受ける手続きを行います。
しかし、申告対象となる収入の期間を正しく理解していないと、誤った申告をしてしまう可能性があります。
ここでは、確定申告の対象となる収入期間やその考え方について詳しく解説します。
確定申告の対象となる収入期間
確定申告で申告する収入は、1月1日から12月31日までの1年間に得た所得が対象です。
例えば、2024年(令和6年)分の確定申告を行う場合、2024年1月1日から12月31日までの所得を申告します。
また、確定申告には提出期限もあるため早めに準備を行うようにしましょう。
関連記事:確定申告は何時まで?2025年(2024年・令和6年分)の提出期限を徹底解説
収入の計上基準
確定申告では、「収入を得たタイミング」が重要です。
収入の計上基準には、次のようなルールがあります。
- 給与所得の場合
→ 実際に支払われた日(振込日)が基準となる。 - 事業所得(個人事業主)の場合
→ 収益が発生した日(売上が確定した日)を基準とするのが原則。ただし、青色申告で「現金主義」を選択している場合は、実際に入金された日を基準にすることができる。 - 不動産所得の場合
→ 家賃収入は契約に基づく支払い期日が基準。 - 配当所得・利子所得の場合
→ 会社から配当金が確定した日、または金融機関から利息が支払われた日が基準。
このように、収入の種類によって申告すべき年度が異なるため、注意が必要です。
12月分の給与や報酬はいつの所得?
12月分の給与や売上(報酬)が、1月に支払われた場合、以下のような違いが生じます。
この違いについては、後から詳しく取り上げます。
収入の種類 | 12月に働いた分が1月に支払われた場合 | 申告する年 |
---|---|---|
給与 | 1月に支払われたら翌年の所得 | 翌年の確定申告 |
フリーランスの売上(報酬) | 12月に業務を完了し、請求書を発行した場合 | 12月分として当年に計上 |
経費はいつ計上する?
経費についても、発生した年に計上するのが原則です。
- 12月に発注したが、支払いが1月になった場合 → 発注した年の経費として計上
- 1月に発注し、支払いが1月の場合 → 翌年の経費として計上
確定申告はいつからいつまでの収入?売上(報酬)・給料の詳細と違いを詳しく解説
12月に発生した報酬や売上の処理方法
確定申告では、収入をどの年の所得として計上するかが重要です。
特に、12月に発生した報酬や売上が翌年1月に入金されるケースでは、「発生主義」と「現金主義」のどちらを採用するかによって処理が異なります。
ここでは、それぞれの処理方法について詳しく解説します。
1. 発生主義での処理(原則)
通常、事業所得や副業収入の計上には発生主義(実現主義)が採用されます。
これは、売上が確定した日(業務完了日や納品日)が収入計上の基準となる方法です。
そのため、12月に報酬が発生し、1月に入金された場合でも、12月の収入として確定申告を行います。
発生主義の申告例
売上・報酬発生月 | 入金月 | 申告対象年 |
---|---|---|
2024年12月 | 2025年1月 | 2024年分の確定申告 |
2025年1月 | 2025年2月 | 2025年分の確定申告 |
例えば、2024年12月にサービスを提供し、その報酬が2025年1月に振り込まれた場合は、2024年の所得として申告します。
これを間違えて翌年の売上として計上すると、税務調査で指摘を受ける可能性があるため、正確な処理が必要です。
売掛金の処理方法(発生主義の場合)
発生主義では、未入金の売上は「売掛金」として計上します。
仕訳例:2024年12月に売上発生、2025年1月に入金
- 【2024年12月】
売掛金 100,000円 / 売上高 100,000円 - 【2025年1月】
普通預金 100,000円 / 売掛金 100,000円
このように処理することで、売上が確定した年に適切に申告できます。
2. 現金主義での処理(特例)
現金主義を採用している場合は、実際に入金された日を基準に売上を計上します。
そのため、12月に報酬が発生しても、入金が1月なら翌年の収入として申告できます。
現金主義を選択できる条件
- 青色申告をしている
- 前々年の合計所得が300万円以下
- 「現金主義の届出」を税務署に提出している
現金主義の申告例
売上・報酬発生月 | 入金月 | 現金主義の申告対象年 |
---|---|---|
2024年12月 | 2025年1月 | 2025年分の確定申告 |
2025年1月 | 2025年2月 | 2025年分の確定申告 |
このように、どの計上方法を選択するかによって、申告対象年が変わります。
3. 計上時期を間違えるとどうなる?
発生主義を採用している場合、入金日ではなく売上発生日で計上するのが原則です。
もし、間違えて翌年に計上してしまうと、以下のリスクがあります。
- 税務調査で指摘を受ける可能性
- 本来の納税額とズレが生じ、過少申告とみなされる
- 税務署から修正申告を求められる
申告ミスをしてしまうと、加算税や延滞税の対象になることもあるため、計上ルールをしっかり確認しましょう。
4. 確定申告をスムーズに行うために
- 自分が発生主義か現金主義のどちらを採用しているかを確認
- 帳簿や会計ソフトを活用し、正しい売上計上を行う
- 売掛金・買掛金の処理を適切に行うことで、税務調査に備える
特に発生主義で確定申告をする場合は、売上発生時の記録を残し、適切な処理を心がけましょう。
また、会計ソフトを活用すれば、売掛金や入金タイミングの管理がしやすくなるため、正確な申告が可能になります。
どちらの方法を選択するかで税務処理が異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
適切な方法で申告し、税務リスクを防ぎましょう。
12月分の経費を1月に支払った場合は前年の経費になる?
経費を計上するタイミングも「発生主義」と「現金主義」のどちらを採用するかによって異なります。
発生主義(原則)での処理
発生主義では、経費が発生した時点(取引日)で計上します。
そのため、12月に発生した経費は、支払いが1月であっても12月分の経費として計上できます。
経費発生月 | 支払月 | 申告対象年 |
---|---|---|
2024年12月 | 2025年1月 | 2024年分の経費 |
2025年1月 | 2025年1月 | 2025年分の経費 |
例えば、2024年12月に仕入れを行い、請求書を受け取ったが、支払いが2025年1月になった場合、2024年の経費として計上する必要があります。
仕訳は以下のようになります。
【2024年12月】
仕入 100,000円 / 買掛金 100,000円
【2025年1月】
買掛金 100,000円 / 現金 100,000円
現金主義での処理(特例)
現金主義を採用している場合、実際に支払いを行ったタイミングで経費を計上します。
そのため、2025年1月に支払った場合は、2025年の経費になります。
経費発生月 | 支払月 | 現金主義の申告対象年 |
---|---|---|
2024年12月 | 2025年1月 | 2025年分の経費 |
発生主義と現金主義の違い
会計方法 | 経費の計上タイミング |
---|---|
発生主義 | 経費が発生した時点 |
現金主義 | 実際に支払った時点 |
このように、事業者の会計処理によって経費の計上方法が変わるため、自分の申告方法を事前に確認しておくことが大切です。
12月に働いた給料はいつの所得?
給与所得の計上時期は、「実際に働いた月」ではなく、「給与を受け取った日(支払日)」を基準に決まります。
そのため、12月に働いた給料が翌年1月に支払われた場合、その給与は翌年の所得として計上されます。
給与の計上ルール
確定申告や年末調整において、給与所得の申告対象年は以下のように決まります。
働いた月 | 給与の支払い月 | 申告対象年 |
---|---|---|
2024年12月 | 2025年1月 | 2025年分の所得 |
2025年1月 | 2025年1月 | 2025年分の所得 |
たとえば、2024年12月に働いた給料が2025年1月25日に支給された場合、その給与は2025年の所得となり、2025年の年末調整、2026年の確定申告の対象になります。
確定申告が必要なケース
通常、会社員は勤務先の年末調整で税金が清算されるため、確定申告の必要はありません。
しかし、以下のケースに当てはまる場合は、確定申告が必要になる可能性があります。
✅ 確定申告が必要なケース
- 年の途中で退職し、再就職していない場合
- 複数の会社から給与を受け取っている場合
- 副業の所得が年間20万円を超える場合
- 医療費控除や住宅ローン控除を受ける場合
- 年末調整を受けられなかった場合
特定の条件に該当する人は確定申告が必要となるため、適切な対応を心がけましょう。
確定申告いつからいつまでの収入?よくある質問を紹介
確定申告が必要な人は?
確定申告が必要なのは、所得の種類や金額によって異なります。
会社員の場合、通常は年末調整で税金が精算されるため不要ですが、以下のケースでは申告が必要です。
- 給与収入が2,000万円を超える
- 副業の所得が20万円を超える
- 2カ所以上から給与を受け取っている
- 年の途中で退職し、再就職していない
個人事業主やフリーランスは、年間所得が48万円を超える場合に確定申告が必要です。
また、青色申告の控除を受けたい場合や赤字を繰り越したい場合も申告を行います。
投資や不動産所得がある場合も、株式・FXの利益、不動産収入、仮想通貨の利益があると確定申告が必要です。
ただし、特定口座(源泉徴収あり)の場合は不要です。
確定申告の義務がない人でも、還付申告が可能な場合があるため、控除の適用条件を確認しましょう。
確定申告は1月からできる?還付申告との違い
確定申告は、通常2月16日から3月15日までに行う必要があります。(※土日と重なると翌営業日にずれます)
一方で、「還付申告」は1月1日から可能です。
還付申告とは、払いすぎた税金を取り戻すための申告で、5年間遡って申請できます。
還付申告の対象例
- 医療費控除:年間10万円超の医療費(所得による)
- 住宅ローン控除(1年目)
- ふるさと納税:ワンストップ特例未利用者
- 年の途中で退職し無職の人
確定申告はスマホでできる?
確定申告はe-Tax(電子申告)を利用すれば、スマートフォンから申請可能です。
スマホでの申告手順
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、「スマホ申告」を選択。
- マイナンバーカードを準備(ICカードリーダーまたはスマホ対応)。
- 申告書を作成(収入・控除情報を入力)。
- e-Taxで提出し、申告完了。
スマホ申告のメリットと注意点
メリット
- 税務署に行かずに申告可能
- 還付金の振込が早い
- 入力ガイドがありミスを防ぎやすい
注意点
- マイナンバーカードが必要
- スマホ画面が小さく、入力ミスに注意
事前に必要書類を準備し、余裕を持って入力することでスムーズに申告できます。
ただし、一部スマホで申請できない内容や、e-Tax(電子申告)に対応していないスマホなどがあるため事前に確認するようにして下さい。
スマホでの確定申告については、以下の記事で詳しくご説明していますので参考にして下さい。
関連記事:確定申告(e-Tax)はスマホで完結!やり方や手順を分かりやすく解説
いくらまでなら確定申告しなくていい?
給与所得者(会社員・アルバイト)
以下の条件を満たす場合、確定申告は不要です。
- 年末調整済みの会社員
- 給与収入2,000万円以下
- 副業所得が20万円以下(雑所得の場合)
個人事業主(フリーランス)
- 所得(収入-経費)が48万円以下
ただし、青色申告の特典を受ける場合や、還付申告の対象(医療費控除・住宅ローン控除・ふるさと納税)になる場合は、申告したほうが得になることもありますので注意が必要です。
まとめ
確定申告では1月1日から12月31日までの所得を申告する必要がありますが、収入の種類によって計上基準が異なります。
特に、給与所得は支払日ベース、事業所得は発生主義が原則となるため、正しく理解しておかないと申告ミスにつながる可能性があります。
また、12月に発生した報酬や経費の計上タイミングも重要です。
翌年に入金・支払いされた場合でも、発生主義か現金主義によって処理が変わるため、適切な方法を選びましょう。
「確定申告いつからいつまでの収入」を正しく把握し、適切に申告することが大切です。
申告内容を間違えると、税務調査の対象となることや、必要以上の税金を支払うリスクもあります。
確定申告の手続きをスムーズに進めるためには、会計ソフトの活用や、専門家のサポートを受けるのもおすすめです。
申告期限が迫る前に、早めに準備を進め、正確な申告を行いましょう。
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