小規模事業者持続化補助金を利用すれば、いくら補助金が貰えるのか、どんな経費が対象になるのかについて、分かりやすく解説したいと思います。
個人事業主などの小規模事業者が最も利用し易い補助金の1つが、小規模事業者持続化補助金です。
この記事を最後までご覧頂くことで、この補助金を活用すれば、どのくらいの金額を貰えるのかをイメージできるようになるはずです。
是非、いくら貰えるのかを確認していただき、申請することを検討していただきたいと思います。
小規模事業者持続化補助金で貰える金額
小規模事業者持続化補助金で貰える金額は、申請類型によって上限額が決まっています。
申請類型には通常枠と特別枠があり、「通常枠」については最大50万円、「特別枠」については最大100万円~200万円の補助金が受け取れます。
下記は、申請類型と補助金額をまとめた表です。
類型 | 通常枠 | 賃金引上げ枠 | 卒業枠 | 後継者支援枠 | 創業枠 |
---|---|---|---|---|---|
補助率 | 2/3 | 2/3(赤字事業者の場合は3/4) | 2/3 | 2/3 | 2/3 |
補助上限 | 50万円 | 200万円 | 200万円 | 200万円 | 200万円 |
このように通常枠でも、最大50万円がもらえるため、売上を増やすためにかける経費の負担をかなり軽減できます。
ですが、最大50万円もらえるといっても、実際に支払う経費の金額が50万円までなら、全額が補助されるというわけではありません。
上記の表を確認していただくと、各申請累計に応じて補助率が設定されていることが分かると思います。
表に記載しているとおり、赤字事業者が賃金引上げ枠を利用する場合(3/4)を除けば、補助率は2/3以内となっています。
つまり、小規模事業者持続化補助金の上限金額を受け取るには、経費の合計金額に2/3をかけることで上限金額になるよう計画するのが、最も効率のよい補助金の受け取り方になります。
具体例を挙げて説明したいと思います。
例えば、最大50万円が受け取れる「通常枠」については、経費の合計金額が75万円になるように計画することで、その2/3である上限金額50万円を受け取れます。
仮に100万円の経費を掛けたとしても、補助される上限金額は50万円ですから、補助率は1/2となってしまいます。
逆に経費にかける金額を少なめに設定した場合、例えば経費に60万円をかけたとしても、補助率は2/3ですから、補助される金額は60万円に2/3をかけた40万円となりますので、この場合は上限金額の50万円はもらえません。
もちろん、上限金額の50万円にこだわる必要はありません。補助してもらえるとしても、必ずしも必要でない経費にお金をかけるほうがもったいないですからね。
でも売上を増やすために本当に必要な経費であれば、補助される割合が1/2であっても、上限金額までもらえなくても、経費の全額を自社で支払うことと比較すれば、充分有り難いと思う事業主の方は多いのではないでしょうか。
補助金の対象になる経費
続いて、補助金の対象となる経費の種類について確認したいと思います。
小規模事業者持続化補助金の経費の対象となる項目は下記の11種類です。
- 機械装置等費
- 広報費
- ウェブサイト関連費
- 展示会等出展費
- 旅費
- 開発費
- 資料購入費
- 雑役務費
- 借料
- 設備処分費
- 委託・外注費
この項目の中から、経費を選択して、販路開拓に必要な理由や金額を、事業計画書に記載することになります。
事業計画書は、小規模事業者持続化補助金の申請の際に準備する必要があり、採択されるかどうかの重要なカギを握る書類です。
販路開拓のために必要な経費であれば、複数を組み合わせて金額を設定できますし、1つの項目のみを対象経費とすることもできます。
ただし、例外としてウェブサイト関連費については、経費総額の1/4が上限となっています。
また、ウェブサイト関連費のみを対象経費とすることはできません。ウェブサイト関連費以外の他の経費と組み合わせる必要があります。
このように、ウェブサイト関連費については、他の経費項目と違いがあることを覚えておきましょう。
では、具体例を挙げて考えてみましょう。
「通常枠」で補助金を申請する事業者が、次の項目の経費と金額を事業計画書に記載したとします。
- 機械装置等費・・36.25万円
- 広報費・・20万円
- ウェブサイト関連費・・18.75万円
合計75万円を経費計上していますが、ウェブサイト関連費については、経費総額の1/4までが上限というルールとなっていますので、この例では上限金額の18.75万円までしか申請できません。
「通常枠」については、経費総額に対する補助率は2/3となっており、受け取れる補助金は上限の50万円ということになります。
そして、ウェブサイト関連費については、50万円の1/4が補助される上限となるので、補助金額は12.5万円となります。
ただし、上記のような経費総額で申請したとしても、貰える補助金の金額は減額されるケースがあります。
次はその点を取り上げます。
申請した金額を必ず貰える訳では無い
補助金を申請したとしても、必ず申請した金額が貰えるわけではありません。
申請から最終的に補助金が確定されるまでの、大まかな流れは次の通りです。
- 採択・交付決定の通知
- 補助事業を実施・実績報告書の提出
- 補助金額の確定検査・補助金確定の通知
- 補助金の請求
- 補助金の入金
例えば、申請の採択通知が届いても、交付決定通知が届く前に、補助対象経費に関する契約や支出をすると、その分は補助金の対象外となってしまいます。
また、補助事業を実施して実績報告書を提出すると、補助金額の確定検査が行われますが、その際に補助対象外の経費と判断された項目については、補助金の対象として認められません。
ですから、申請時点で補助金の対象となる経費の条件を満たしているかを、十分に確認しておく必要があります。
上記のような理由により、申請した経費の一部が減額された場合、次のような影響が生じる可能性があります。
先程、「通常枠」で補助金を申請する事業者が、次の項目の経費と金額を事業計画書に記載した例を取り上げました。
- 機械装置等費・・36.25万円
- 広報費・・20万円
- ウェブサイト関連費・・18.75万円
もしこの申請に関して、機械装置等費の一部(15万円)が補助対象の経費として認められなかったと仮定します。
そうすると、経費総額が60万円になりますから、ウェブサイト関連費の金額が、経費総額の1/4を超えてしまいます。
ですから、このケースでは、ウェブサイト関連費の上限は15万円となるわけです。
このように、経費の一部が認められない場合、ウェブサイト関連費の金額にも影響が生じます。
その結果、補助金の対象となる経費総額が次のように減少します。
75万円ー15万円ー3.75万円=56.25万円
※3.75万円は、ウェブサイト関連費の差額です。(18.75万円ー15万円)
上記の経費総額の2/3が補助されることになるので、入金される補助金の金額は37.5万円となります。
この例に関しては、当初想定していた50万円の補助金が、12.5万円減額されるという結果になるわけです。
このように、申請して採択されたとしても、申請した金額が全額補助金の対象にはならないケースがあることを理解しておきましょう。
【2023年・令和5年】はインボイス制度導入に伴い50万円増額予定
令和4年度第2次補正予算より、免税事業者からインボイス発行事業者(課税事業者)に転換する事業者については、一律50万円の補助金が上乗せされます。
これにより、通常枠で最大100万円、特別枠では最大250万円の補助金が受け取れる可能性があります。
2023年10月より、インボイス制度の導入が予定されていますが、多くの免税事業者が課税事業者への転換を余儀なくされると思われます。
財務省の試算によると、農林水産業などを除く売り上げ1千万円以下の免税業者約372万社のうち、約161万社がインボイス導入を機に課税事業者になると想定されています。
課税事業者になると、消費税の処理が絡んでくるため経理処理も大変になりますし、1社当たりの税金の負担額は、平均15万4千円とも言われていますので、その影響は大きいです。
ですから、税理士などの専門家に相談する需要も増加することが予想されます。
こうした事を見越してのことだと思われますが、2023年3月以降の持続化補助金では、税理士への相談費用も対象経費に含まれています。
是非、持続化補助金を利用して、経費の負担を軽減することを検討してみましょう。
まとめ
今回の記事では、「小規模事業者持続化補助金はいくら貰えるか」について解説しました。
持続化補助金については、一部の例外を除いて経費総額の2/3が補助されます。
また、上限金額が設定されており、通常枠が最大50万円、特別枠が最大200万円の補助金を貰える可能性があります。
補助金制度は、毎年のように変更や調整が加えられます。
最新の情報を確認した上で、補助金の利用を検討しましょう。