トラクター(耕運機)の勘定科目と減価償却

 

トラクターや歩行用トラクター(耕運機)を購入した場合の、勘定科目や減価償却についてご説明しています。

 

トラクターや耕運機の勘定科目

 

トラクターや耕運機の勘定科目は、購入金額によって異なります。

 

購入金額が10万円以上であれば、基本的には資産として計上して減価償却を行う必要があり、購入時に機械装置の勘定科目で仕訳をします。

 

他に使用できそうな勘定科目としては、車両運搬具などが考えられます。

 

ただし、車両運搬具の勘定科目は、主に人や物の運搬を目的として用いるものを処理する勘定科目です。

 

ですから農作業で使用するトラクターや耕運機などは、機械装置の勘定科目で会計処理をしておきましょう。

 

もし、購入する耕運機の金額が10万円未満の場合は、農具費などの勘定科目を使って仕訳をします。

 

農具費として処理する場合は、当期に全額を経費として計上しますので減価償却は行いません。

 

トラクターや耕運機の減価償却

 

原則は法定耐用年数に応じて減価償却する

 

トラクターや耕運機を固定資産として計上した場合、基本的には定められた耐用年数に応じて減価償却を行います。

 

この耐用年数は、新品で購入した場合の年数です。

 

耐用年数については、2007年3月31日以前に取得したトラクターが8年、耕運機が5年となっていましたが、2007年4月1日以降に取得したトラクターや耕うん機などの農業用設備の耐用年数は7年と改定されています。

 

参照:国税庁 耐用年数(機械・装置)

 

中古で購入した場合

 

トラクターや耕運機を中古で購入した場合は、耐用年数を計算する必要があります。

 

計算方法は次の通りです。

 

  • 中古の耐用年数=(法定耐用年数ー中古の固定資産の経過年数)+(中古の固定資産の経過年数×20%)

 

例えば、3年落ちのトラクターを購入した場合の耐用年数は、次のように計算します。

 

(7-3)+(3×0.2)=4.6

 

小数点以下はすべて切り捨てとなりますので、このケースでは4年がトラクターの耐用年数となります。

 

このように新品と中古では、耐用年数が異なりますので注意しましょう。

 

購入したトラクターや耕うん機の耐用年数に基づいて減価償却を行いますが、購入した初年度の処理には気をつける必要があります。

 

例えば個人事業主の農家の方が、9月にトラクターを購入したとします。

 

個人事業主の事業年度期間は1月~12月ですので、9月に購入して使用を開始した場合は、その年度は4ヶ月分だけ減価償却費を計上することになります。

 

トラクターや耕運機の使用を開始した月から決算月までの、月数で按分する必要があることを抑えておきましょう。

 

参考記事:【確定申告】減価償却費とは?|耐用年数・計算方法・仕訳

 

購入金額が10万円以上~20万円未満

 

耕運機の購入金額が10万円以上~20万円未満の場合、通常の減価償却か一括償却資産のどちらかを選択することが可能です。

 

一括償却資産とは、耐用年数に関係なく3年間にわたり、毎年3分の1の金額を減価償却していく方法です。

 

この方法を使えば、7年の法定耐用年数と比べて、短期間で減価償却することができます。

 

また、通常の減価償却では、購入した年については、使用を開始した月から決算月までの月数で按分する必要がありました。

 

しかし、一括償却資産として処理をすれば、事業年度の途中で購入しても1年目から均等償却ができます。

 

例えば、購入金額が15万円だった場合、例え1年目に使用した期間が1ヶ月だけだったとしても、1年目から5万円を減価償却費として計上できます。

 

少額減価償却資産の特例

 

基本的に10万円以上の購入費用は、固定資産として計上し減価償却の対象となります。

 

しかし、青色申告をしている個人事業主の場合、30万円未満の購入費用については、その全額を当期に経費計上することが可能です。

 

購入した耕運機などが、30万円未満であれば、この特例を使うことで当期に多くの費用計上が可能ですから、節税効果が高くなります。

 

ただし、少額減価償却資産の特例の上限は、その事業年度において合計額が300万円までとなっていますのでご注意下さい。

 

貸借対照表への記載

 

10万円以上のトラクターや耕運機を購入した場合、機械装置の勘定科目を用いて資産計上し、減価償却により費用計上する必要があることはご説明しました。

 

注意点としては、確定申告の際に準備する貸借対照表への記載についてです。

 

基本的に、農業関連の機械装置や器具備品などの固定資産については、農機具等の項目にまとめて記載することになります。

 

その他の農機具

 

この記事では、トラクターや耕運機の勘定科目や減価償却についてご説明しましたが、その他の農機具に関しても基本的な考え方は同じです。

 

例えば、農機具にはトラクターや耕運機で耕した後に、土の維持管理のために使用する管理機なども含まれます。

 

管理機についても、購入金額が10万円未満であれば、農具費として当期に全額費用計上することができますし、10万円以上であれば機械装置などの勘定科目で資産として処理をし決算時に減価償却を行います。

 

まとめ

 

トラクターや耕運機の勘定科目は機械装置です。

 

10万円未満の場合は農具費で処理します。

 

耐用年数は新品で7年、中古の場合は経過年数によって耐用年数が変わります。

 

機械装置の仕訳例などを確認したい場合は、下記の記事も参考にして下さい。

 

参考記事:機械装置の勘定科目について|耐用年数・償却方法・仕訳例

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