国民年金保険料の未納には、大きなリスクがあります。
未納の期間が長くなれば、その分将来の年金受給額が下がります。
また、年金を掛けている期間が10年以下であれば、年金をもらえなくなります。
「それは、わかっている。ただ、保険料をきちんと支払っても、将来自分が年金をもらえる保証はない」と言われるかも知れません。
確かに、年金財源がどうなるか、将来のことは正確にはわかりません。
ただ、保険料が未納だと将来の年金受給だけでなく、他の金銭的なリスクが生じる場合もあります。
未納と免除の違い
それは、下記の年金が受けられないリスクです。
- 障害基礎年金
- 遺族基礎年金
保険料を払っていれば、不慮の事故で障害を抱えたり死亡した場合に、自分自身や残された家族が経済的なサポートを受けることができます。
保険料が未納だと、将来と現在の金銭的なリスクが大きくなってしまいます。
それでも、経済的に余裕がなければ、保険料の支払いは大変かも知れません。
平成31年度(令和元年)の国民年金保険料は16,410円ですから、決して安い金額ではありません。
しかし、これからご紹介する免除制度が利用できれば、手続きをされるようお勧めしたいと思います。
免除制度を活用して承認されれば、保険料が免除され、年金の受給資格期間としても認められるからです。
もちろん、全額納付している方に比べると、将来受け取れる年金の受給額は下がります。
それでも、障害基礎年金や遺族基礎年金が受けられるので、障害や死亡のリスクに備えることが出来ます。
未納と免除には大きな違いがあるのです。
保険料の免除制度については、詳細があまり知られていないものや、2019年になって新たにできた制度があります。
下記の状況の方であれば、免除を受けられる可能性があります。
- 所得の低い方
- 失業している方
- 出産前後の方
- DV被害を受けている方
要件を満たしていれば、免除制度を活用していただきたいと思います。
所得水準に応じた免除制度について
所得水準に応じた、免除制度を受けることができます。
所得に応じて下記のように、保険料が免除されます。
- 全額免除
- 4分の3免除
- 半額免除
- 4分の1免除
具体的な計算方法については、日本年金機構のサイトで確認することができます。
公式サイト:日本年金機構 2.保険料免除・納付猶予の承認基準(所得の基準)
ご自身で計算しなくても、「保険料が高くて払えない」「保険料を払うのが大変だ」と感じるようであれば、市役所の国民年金担当窓口で相談&手続きをして下さい。
所得水準に応じて免除額が決定され、後日結果が通知されます。
郵送でも手続きできますので、自宅で申請用紙に記入して住民登録をしている市役所に提出しましょう。
申込用紙は、国民年金機構のサイトでダウンロードできます。
特定の状況に応じた免除制度について
出産前後の免除制度
産前産後の免除制度は、2019年4月から新たに始まった制度です。
国民年金第1号被保険者が出産した場合、出産前後の一定期間について保険料が免除されます。
一定期間とは、下記の通りです。
- 出産予定日、もしくは出産日の前月から4ヶ月間
- 多胎妊娠については、出産日の3ヶ月前から6ヶ月間
また、出産については妊娠85日(4ヶ月)以上をいい、死産・流産・早産された方も対象となっています。
失業等の特例免除
失業で保険料を払うのが難しい方は、申請をすれば納付が免除もしくは猶予される場合があります。
DV被害者の方の特例免除
配偶者から、DV(暴力)の被害を受けている方が申請できる、特例の免除制度です。
暴力を振るう配偶者と、住所が異なり被害者の前年所得が一定以下であれば、保険料が全額もしくは一部免除となります。
最後に
国民年金保険料を払いたくても払えない、もしくは払うのが大変な方は未納の状態は避けて、免除制度を活用されるようお勧めしたいと思います。
ただし、免除制度を活用するには、ご自身で申請する必要があります。
手続きに必要なものについては、市役所などでご確認下さい。
免除制度の詳細は、国民年金機構のサイトでも確認できます。
公式サイト:日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度