ヘルメットの勘定科目と仕訳について詳しく解説

建設業や防災用、あるいはバイクなどで使用するヘルメットを購入した際、この勘定科目は何を使えばよいか迷うことはありませんか。

この記事では、ヘルメットに関する勘定科目の基本的な考え方から、金額に応じた会計処理の違い、具体的な仕訳例まで分かりやすく解説します。

 

  • ヘルメットの基本的な勘定科目
  • 金額による消耗品と備品の使い分け(10万円・20万円・30万円の基準)
  • 個人事業主向けの具体的な仕訳例

 

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ヘルメットの勘定科目の基本的な考え方

 

ヘルメットは、多くの場合「消耗品費」の勘定科目で処理されます。

その理由は、会計上のルールにあります。

一般的に、取得価額が10万円未満であるか、または使用可能な期間(耐用年数)が1年未満の物品は、「消耗品費」として購入した年度に全額を経費として計上できると定められています。

この金額判定は、税抜経理方式の場合は税抜価額で、税込経理方式の場合は税込価額で行います。

参考: 国税庁「No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示」

 

ただし、非常に高機能な特殊ヘルメットなどで、1個あたりの取得価額が10万円以上になる場合は、原則として「器具備品」などの勘定科目で固定資産として計上し、数年に分けて経費化(減価償却)を行う必要があります。

この10万円以上の物品には、金額や企業の状況に応じていくつかの経費化の方法があります。

 

10万円以上20万円未満の場合

原則的な減価償却のほかに、「一括償却資産」として扱い、使用開始から3年間で均等に分けて経費化する方法も選択可能です。

 

10万円以上30万円未満の場合

青色申告を行っている中小企業者など(資本金1億円以下など)は、「少額減価償却資産の特例」を利用できます。

これにより、年間合計300万円を上限として、取得価額30万円未満の資産を一度に全額経費として計上することが認められています。

前述の10万円台の資産も、この特例の対象に含めることが可能です。

 

上記以外の場合

原則通り「器具備品」として固定資産に計上し、定められた耐用年数に基づいて減価償却を行います。

固定資産計上する場合、器具及び備品の「その他」区分が検討対象です。

主として金属製は15年、その他は8年という区分があるため、材質等に応じて適用を判断してください。

なお、安全上の交換推奨(ABS/PC/PEは概ね3年、FRPは概ね5年、装着体は1年)は税法上の法定耐用年数とは別です。

参考:国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表

 

ヘルメットの仕訳例【個人事業主向け】

 

このセクションでは、具体的な仕訳例を紹介します。

個人事業主の方が、青色申告や白色申告を行う際の具体的な記帳方法を確認していきましょう。

 

青色申告の仕訳例

 

個人事業主の方が青色申告を選択している場合、会計処理は「複式簿記」で行う必要があります。(※10万円控除は除く)

複式簿記は、一つの取引を「原因」と「結果」の両面から捉え、借方(かりかた)と貸方(かしかた)に分けて記帳する方法です。

例えば、作業用にヘルメット1個(8,000円)を現金で購入した場合、以下のように仕訳します。

 

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 8,000円 現金 8,000円

 

このように複式簿記で正しく記帳し、確定申告を行うことで、最大55万円(電子申告なら65万円)の青色申告特別控除を受けられるという大きなメリットがあります。

会計ソフトを導入すれば、取引を入力するだけでこれらの仕訳を自動で作成してくれます。

手作業での記帳や集計にかかる時間を大幅に削減することができるため、本業に集中したい方にとっては検討する価値があります。

 

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白色申告の仕訳例

 

一方、白色申告を選択している場合、会計処理は「単式簿記」での記帳が認められています。

これは、お小遣い帳のように、お金の出入り(結果)のみを記録する簡易的な方法です。

前述の例と同じく、作業用にヘルメット1個(8,000円)を現金で購入した場合、以下のように記帳します。

 

日付 勘定科目 金額 摘要
X月X日 消耗品費 8,000円 ヘルメット代として

 

このように白色申告は記帳が簡単ですが、青色申告のような大きな節税メリットなどの特典は受けられません。

 

ヘルメットの勘定科目に関連したQ&A

 

バイクのヘルメット代は経費にできる?

 

業務使用が明確であれば、バイクのヘルメット代も経費として計上可能です。

例えば、配達業務や営業先への移動手段として日常的にバイクを使用していて、そのバイク自体を事業用(車両費や減価償却費など)として経費計上している場合、安全上必須の装備であるヘルメット代も関連費用として認められます。

この場合の勘定科目は、取得価額が10万円未満であれば「消耗品費」を使用するのが一般的です。

 

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自転車のヘルメット代は経費にできますか?

 

バイクのケースと同様に、業務での使用が明確であれば経費計上が可能です。

特に2023年4月から自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化された背景もあり、業務で自転車移動を行う際の安全対策費用として、経費としての妥当性がより認められやすくなっています。

メッセンジャー業務、フードデリバリー業務、あるいは近隣の取引先への移動手段として日常的に自転車を利用している実態があれば、ヘルメット代は経費として処理できます。

こちらもプライベートでの使用とは明確に区分けし、事業専用として使用実態を説明できるようにしておくことが望ましいです。

 

安全靴や作業着等の安全用品の勘定科目は?

 

ヘルメット以外の安全用品や作業着なども、基本的な考え方はヘルメットの処理と共通する部分が多いです。

ただし、使用目的により会計処理が異なるケースがあるため注意が必要です。

 

会社(法人)が従業員に支給する場合

 

会社が従業員に対して、業務上必須となる作業着や制服、防寒具などを支給する場合、その費用は「福利厚生費」として処理するのが一般的です。

ただし、これには「職務上必要不可欠」であり、「私服としての転用が困難」であること、例えば社名やロゴが入っているなどが前提となります。

一般的なデザインの防寒具などを支給すると、給与課税の対象となる可能性があるため注意が必要です。

 

個人事業主が自分で使用する場合

 

個人事業主の場合、「福利厚生」という概念は基本的に自分自身には適用されません。

そのため、個人事業主が事業で使用するために購入した作業着、手袋、長靴などは、「消耗品費」として処理します。

この際、もしプライベートと兼用する可能性がある場合は、全額を経費にするのではなく、事業で使用する割合を算出して「家事按分」を行う必要があります。

 

売上に直接関わる場合

 

製造業や建築業などで、従業員が着用する作業着が製品の製造やサービスの提供に直接的に関わっている場合は、「売上原価」または「製造原価」の一部として計上することもあります。

 

まとめ

 

この記事では、ヘルメットの勘定科目について解説しました。

ヘルメットの勘定科目は、取得価額が10万円未満であれば「消耗品費」として処理するのが基本です。

この金額判定は、税抜経理なら税抜価額で、税込経理なら税込価額で行います。

ただし、10万円以上になると「一括償却資産」や「少額減価償却資産の特例」など、経費化の方法に選択肢が出てきます。

会計ソフトを利用することで、ヘルメットの勘定科目の選択や複雑な仕訳作業も楽に処理できるようになりました。

パソコンでの会計ソフトの利用について苦手意識がある場合は、スマホで会計処理や確定申告まで完結できるアプリなども人気です。こうした便利なサービスの活用も検討してみて下さい。

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