【解決】個人事業主がカードローン審査に通らない場合の主な理由と対策を詳しく解説

「個人事業主として独立したけれど、急な資金繰りでカードローンを申し込んだら審査に落ちてしまった…」 「フリーランスは、やっぱりカードローンの審査に通りにくいのだろうか?」

独立という大きな一歩を踏み出したものの、資金調達の壁にぶつかり、このような悩みを抱えている個人事業主の方は少なくありません。

会社員とは異なる働き方だからこそ、審査でチェックされるポイントも変わり、戸惑いや不安を感じるのも当然です。

しかし、個人事業主だからといって、カードローンの利用を諦める必要は全くありません。審査に通らないのには必ず理由があり、その原因を正しく理解し、適切な対策を講じれば、道は開けます。

この記事では、主に以下の点を徹底的に解説します。ぜひ最後までご覧ください。

本記事の主なポイント

  • 個人事業主がカードローン審査に落ちる主な原因と具体的な対策
  • 審査通過の鍵を握る「確定申告」の重要性
  • 「カードローン」と「ビジネスローン」の賢い使い分け
  • カードローン以外の代替案
  • 借入金の経費計上や仕訳方法

 

個人事業主がカードローン審査に通らない主な原因と対策

 

個人事業主がカードローン審査に通らない主な原因と対策

 

個人事業主がカードローンの審査に申し込んだ際、なぜ「通らない」という結果になってしまうのでしょうか。

ここでは、審査落ちの主な原因を探り、それに対する具体的な対策を解説します。

また、カードローンとビジネスローンの違いや、申し込みに必要な書類、メリット・デメリットについても詳しく見ていきます。

審査落ちの主な原因と対策

カードローンの審査では、「安定した返済能力があるか」が最も重視されます。

個人事業主の場合、会社員と比べて収入が変動しやすいため、この点で不利になることがあります。しかし、原因を理解すれば対策は見えてきます。

主な原因

  1. 収入の不安定さ: 毎月の収入にばらつきがあったり、事業収入が低かったりすると、返済能力が低いと判断されがちです。
  2. 事業の実態が不明瞭: 開業届を提出していない、確定申告を怠っている、事業用のウェブサイトや固定電話がないといった場合、事業の実態を客観的に証明できず、信用を得にくくなります。
  3. 確定申告の内容: 赤字決算が続いていたり、経費を多く計上しすぎて所得が極端に低くなっていたりすると、返済能力を疑問視されます。
  4. 信用情報(クレヒス)の問題: 過去にクレジットカードの支払いやローンの返済を延滞したり、債務整理の経験があったりすると、信用情報に「事故情報」として記録され、審査通過は困難になります。短期間に複数のローンに申し込む「申し込みブラック」も要注意です。
  5. 他社からの借入状況: すでに複数の金融機関から借入がある場合、総量規制に抵触したり、多重債務のリスクが高いと判断されたりします。

具体的な対策

  • 安定した収入の実績を作る: 少なくとも1年以上、できれば2〜3年分の安定した事業収入の実績を確定申告書で示せるようにしましょう。
  • 事業の実態を明確にする: 開業届は必ず提出し、毎年きちんと確定申告を行いましょう。
  • 適切な確定申告を行う: 赤字を避け、ある程度の所得を確保するようにしましょう。
  • 信用情報をクリーンに保つ: 信用情報機関(CIC、JICC、KSC)で自身の情報を確認し、問題があれば解消に努めましょう。
  • 借入状況を整理する: 借入希望額は必要最低限に抑え、他社借入が多い場合は、おまとめローンなどで一本化を検討しましょう。

カードローンとビジネスローンの違い

個人事業主が利用できるローンには、主に「カードローン」と「ビジネスローン」があります。

どちらを選ぶかは、資金使途や必要な金額によって異なります。

それぞれの違いを理解し、ご自身の状況に合ったローンを選びましょう。

項目 カードローン ビジネスローン
主な利用者 個人 法人・個人事業主
主な資金使途 原則自由(生活費など)※事業性資金NGの場合が多い 事業資金のみ(運転資金、設備投資など)
総量規制 対象 (年収の3分の1まで) 原則対象外
審査 個人の信用情報・収入 事業の安定性・将来性、個人の信用情報
金利 やや高め (〜年18.0%程度) 商品による (カードローン型は高め)
融資限度額 比較的低め 比較的高め
融資スピード 早い (即日も可能) 商品による (早いものもある)
担保・保証人 原則不要 不要なものが多い (高額は要担保も)

 

どちらを選ぶべきか?

  • 生活費の補填など、プライベートな資金が必要な場合: 原則としてカードローンを選びます。ただし、消費者金融系のカードローンの中には、生活費・事業資金どちらにも対応しているものもあります。
  • 運転資金や設備投資など、明確な事業目的の資金が必要な場合: ビジネスローンを選びます。ビジネスローンは総量規制の対象外なので、高額な資金調達も可能です。

注意点として、個人向けのカードローンを事業資金に使うことは、多くの金融機関で規約違反となります。

発覚した場合、一括返済を求められるリスクもあるため、必ず資金使途に合ったローンを選びましょう。

カードローン利用のメリット・デメリット

手軽に利用できるカードローンですが、メリットとデメリットの両方を理解しておくことが大切です。

メリット

  • 最短で即日融資が可能
  • 担保や保証人なしで借入可能
  • 利用限度額内なら何度でも利用可能

デメリット

  • 金利は比較的高め
  • 利用可能額は審査により決定する
  • 将来の融資審査に影響する可能性がある

さらに、詳細なメリット・デメリットを確認して申し込みを検討したい場合は、以下の情報も参考にしてください。

参考:三井住友銀行 カードローンのメリット・デメリットを解説!上手に使う方法もご紹介

個人事業主のカードローン必要書類

カードローンに申し込む際には、本人確認と返済能力の確認のために、いくつかの書類提出が求められます。

個人事業主の場合、会社員とは異なる書類が必要になることがありますので、事前に準備しておきましょう。

必ず必要な書類

  • 本人確認書類: 運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなど、顔写真付きのものが望ましいです。写真がない場合は、住民票の写しなど、複数の書類が必要になることもあります。

収入を証明するために必要な書類(個人事業主の場合)

  • 確定申告書(第一表・第二表): 最も重要な収入証明書類です。税務署の受付印や税理士印があるもの、または電子申告の受付情報が記載されているものを提出します。
  • 所得証明書(または課税証明書): 市区町村役場で発行されます。確定申告書と合わせて提出を求められることがあります。
  • 納税証明書: 税務署で発行されます。税金をきちんと納めている証明になります。

これらの書類を事前に準備しておくことで、申し込みから審査、融資までをスムーズに進めることができます。

実体験:個人事業主としてカードローン審査に通った私の体験談

 

実体験:個人事業主としてカードローン審査に通った私の体験談

 

当メディア(個人事業主プラス)の管理人が申し込みをしたカードローンの体験談をご紹介します。

実際に個人事業主という立場で申し込みをしましたので、何か参考になればうれしく思います。

実際の審査の流れと結果

私は大手の銀行カードローンにオンラインで申し込みました。

以下の画像は、申し込みをした時に受け取ったメールの一部です。

三井住友カードローンの審査申し込み時のメール

以下のような流れで申し込みをしてローン契約を行いました。

  1. 申し込みは8月8日の夜
  2. 8月9日の午前中に電話にて、本人・事業内容等の確認
  3. 8月9日の午後に契約成立

わたしの場合、カードローンを申し込んだ時点で、他社からプライベート分の借り入れが7万程度ありましたが、返済に遅延などはありませんでした。

このような状況で、審査を受けてカードローンを契約することができました。

三井住友カードローンの契約内容

申し込みをしたのが夜でしたので、審査は翌日になりましたが、申し込みの時間帯が早ければ、当日に審査・契約から借り入れまで行うことも可能でした。

迅速な対応が可能な点が、オンライン手続きの大きな魅力だと思います。

実際に感じたポイント

特に個人事業主の場合、普段から以下の点を押さえておけば、カードローン審査を通過する可能性は高くなると思います。

  • 確定申告書は必ず複数年分、きちんと保存しておく

  • 他社借入や返済の遅れがないよう普段から管理する

  • 事業用のホームページや開業届なども作成・保管しておく

私が申し込んだカードローンの場合は、必要書類に関して以下の提出が求められました。

・本人確認書類
・現在の収入が確認できる書類(希望額が50万を超える場合)

申し込みをする際、ローン希望額は50万円以下でしたので、本人確認書類だけで問題ないと思っていましたが、追加で収入が確認できる書類の提出もお願いされましたので、確定申告書もオンラインで提出しました。

個人事業主の場合、収入の証明として確定申告書を提出することがあるため、きちんと保管しておくことで、急に情報が必要となった場合でも問題なく対応することが可能です。

また、個人事業主がカードローンを申し込む際の注意点としては、売り上げではなくて、売り上げから必要経費や青色申告特別控除分を差し引いた所得に基づいて、ローンの限度額が算出される点です。

いくら売り上げが多くても、差し引く必要経費等の金額も多ければ所得金額は少なくなりますので、自分が希望するほどのローン限度額は設定してもらえない可能性があります。

わたしも、希望する限度額までは設定してもらえませんでした。

それでもカードローン審査に通ったのでホッとしました。

売り上げや所得金額が決して多くはなかった私でも契約できましたので、「個人事業主は難しい」と思い込まず、必要な準備と事前対策をしっかり行うように心がけましょう。

個人事業主がカードローン審査に通らない時の選択肢

 

個人事業主がカードローン審査に通らない時の選択肢

 

カードローンの審査に通らなかったとしても、落胆する必要はありません。

個人事業主が利用できる資金調達の方法は他にもあります。

ここでは、消費者金融の利用や、審査が不安な方向けの選択肢、そして公的融資といった代替案について解説します。

ご自身の状況に合った最適な方法を見つけましょう。

消費者金融カードローンの必要書類

前述の通り、個人事業主がカードローンを申し込む際には、本人確認書類と収入証明書類が必要です。

消費者金融系のカードローンに申し込む場合も基本的には同じですが、よりスムーズに審査を進めるために、追加で以下のような「事業の実態を証明できる書類」を用意しておくと良い場合があります。

  • 開業届の控え
  • 営業許可証や許認可証の写し
  • 取引先との契約書や請求書、領収書の写し
  • 事業用の銀行口座の取引明細

これらの書類は必須ではありませんが、提出することで金融機関側の信頼を得やすくなり、審査にプラスに働く可能性があります。

特に、開業して間もない場合や、確定申告書だけでは事業の安定性を十分に示せない場合に有効です。

おすすめのカードローンは?

個人事業主の方がカードローンを選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。

会社員とは収入形態や事業内容が異なるため、ご自身の状況に最も適したローンを見極めることが重要です。

ここでは、主な選択肢である「消費者金融系カードローン」と「銀行系カードローン」の特徴を詳しく解説し、具体的なサービス内容を比較しながら、あなたにぴったりの一枚を見つけるお手伝いをします。

【選択肢1】スピードと柔軟性重視なら「消費者金融系カードローン」

急な出費や一時的な資金ショートに対応したい場合、消費者金融系カードローンは非常に頼りになる選択肢です。

メリット

  • 審査・融資スピードが速い: 多くの会社がWEB完結申込に対応しており、最短で即日融資、中には申し込みから20分〜30分程度で借入が可能になるサービスもあります。
  • 審査基準が比較的柔軟: 銀行に比べると、独自の審査基準を設けているため、収入が不安定になりがちな個人事業主でも審査に通る可能性があります。
  • 個人事業主向けプランがある場合も: アコムの「ビジネスサポートカードローン」やプロミスの「自営者カードローン」のように、個人事業主専用のプランを提供している会社もあります。
  • 無利息期間サービス: 初めて利用する方向けに、「30日間無利息」といったサービスを提供している会社もあります。
  • 利便性が高い: 全国に提携ATMが多く、アプリでの借入・返済に対応しているなど、利用しやすい環境が整っています。

デメリット

  • 金利が高め: スピードや柔軟性の反面、銀行系に比べて金利は高めに設定されているのが一般的です(上限金利は年18.0%程度)。

以下のような個人事業主におすすめ

  • 急な資金ニーズがあり、すぐにでも借りたい方。
  • 銀行の審査に不安がある方。
  • 短期間で返済できる見込みがある方。

主要な消費者金融系カードローン比較表

金融機関名 商品名 金利(年率) 限度額 融資スピード 無利息期間 事業資金利用 個人事業主向け特徴
アコム カードローン 3.0%~18.0% 800万円 最短20分※ 30日間 △(要相談)/◯(専用ローン) ビジネスサポートカードローンあり (総量規制対象外)
プロミス フリーキャッシング 4.5%~17.8% 500万円 最短3分※ 30日間 △(要相談)/◯(専用ローン) 自営者カードローンあり (総量規制対象外)
アイフル キャッシングローン 3.0%~18.0% 800万円 最短18分※ 30日間 △(要相談)/◯(専用プラン) 事業サポートプランあり
レイク カードローン 4.5%~18.0% 500万円 最短25分※ 最大365日(条件あり) △(要相談)/◯(専用ローン) レイク de ビジネスあり

※2025-05-19 から受付一時休止中

SMBCモビット カードローン 3.0%~18.0% 800万円 最短15分※ なし × (原則不可) 個人事業主も申込可 (生活費向け)

※融資スピードは申込状況や審査により希望に沿えない場合があります。

※無利息期間には各社条件があります。

※事業資金利用の可否や専用ローン詳細は必ず公式サイトでご確認ください。

【選択肢2】金利を抑えたいなら「銀行系カードローン」

ある程度経営が安定しており、金利負担を少しでも軽くしたい場合は、銀行系カードローンが視野に入ります。

メリット

  • 金利が低い傾向: 消費者金融系に比べて上限金利が低く設定されていることが多いです(年14.5%程度が目安)。これにより、返済総額を抑えることができます。
  • 安心感: 銀行というブランドによる安心感があります。

デメリット

  • 審査が厳格: 金融庁の指導もあり、審査は消費者金融系よりも厳しくなる傾向があります。
  • 融資までに時間がかかる: 審査に数日〜1週間程度かかるのが一般的で、即日融資には対応していないケースも多いです。
  • 事業性資金には原則利用不可: ほとんどの銀行カードローンは、資金使途を自由としつつも、「事業性資金を除く」と明記しています。生活費としての利用が基本です。
  • 個人事業主向けプランが少ない: 消費者金融ほど個人事業主向けの専用プランは多くありません。

こんな個人事業主におすすめ

  • 事業が黒字で、安定した収入がある方。
  • 融資を急いでいない方。
  • 生活費の補填など、プライベートな資金が必要な方。
  • 少しでも低い金利で借りたい方。

銀行系・信販系カードローンの例

金融機関名 商品名 金利(年率) 限度額 融資スピード 事業資金利用 個人事業主向け特徴
楽天銀行 スーパーローン 1.9%~14.5% 800万円 最短翌営業日 × (原則不可) 個人事業主も申込可。楽天会員ランクで審査優遇あり。
PayPay銀行 カードローン 1.8%~13.8% 1,000万円 最短翌営業日 × (原則不可) PayPay銀行口座があれば申込しやすい。
東京スター銀行 スターカードローンα 1.5%~14.6% 1,000万円 審査最短2営業日、融資は数日~1週間程度 × (原則不可) 30日間無利息期間あり。
三井住友銀行 カードローン 1.5%~14.5% 800万円 最短当日 × (原則不可) 個人事業主も申込可。

※金利やサービス内容は変動します。最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。

どちらを選ぶか迷ったら?まずやるべきこと

ここまで見てきたように、消費者金融系と銀行系にはそれぞれ一長一短があります。そのため、「どちらが絶対におすすめ」とは一概には言えません。

大切なのは、あなたの状況に合ったローンを選ぶことです。

  1. 資金使途を明確にする: まず、「何のために」「いくら」必要なのかをはっきりさせましょう。事業資金ならビジネスローンか事業資金OKの消費者金融、生活費なら選択肢は広がります。
  2. 優先順位を決める: 「金利の低さ」「融資スピード」「審査の通りやすさ」など、何を最も重視するかを考えます。
  3. 各社の情報を比較する: 上記の表などを参考に、複数の金融機関の公式サイトで最新情報を確認し、条件を比較検討します。
  4. 「お借入診断」を活用する: 多くの消費者金融や銀行のサイトには、年齢・年収・他社借入額などを入力するだけで、融資可能かを簡易的に診断できるツールがあります。個人情報を入力せずに試せるものが多いので、まずはいくつか試してみることをおすすめします。

審査に落ちてしまうと、その情報が信用情報機関に一定期間記録されます。

無闇に申し込むのではなく、しっかりと情報を集め、可能性の高そうなところに絞って申し込むことが、賢いローン選びのコツです。

キャッシングと注意点

「キャッシング」というと、クレジットカードに付帯している機能を思い浮かべる方が多いでしょう。

個人事業主も、このクレジットカードのキャッシング枠を利用して、一時的に資金を調達することが可能です。

メリット

  • 手軽さ: すでにクレジットカードを持っていれば、新たに申し込む手間なく、ATMなどですぐに現金を引き出せます。
  • 審査なし(枠があれば): キャッシング枠が設定されていれば、その範囲内であれば審査なしで利用できます。

デメリット

  • 金利が高い: 一般的に、カードローンの金利よりも高く設定されています(年18.0%程度が多い)。
  • 限度額が低い: キャッシング枠は、ショッピング枠に比べて低く設定されていることが多く、まとまった資金調達には向きません。
  • 資金使途: 基本的には生活費向けであり、事業資金としての利用は推奨されません。

また、クレジットカード会社によっては、「CREST for Biz」(オリコ)や「VIPローンカード BUSINESS」(オリックス・クレジット)のように、個人事業主向けの専用カードローン(ビジネスローンの一種)を提供している場合があります。

これらは事業性資金に対応しており、一般的なキャッシングよりは有利な条件で借りられる可能性がありますが、やはり審査は必要です。

キャッシングはあくまで緊急時の一時的なつなぎ資金と考え、常用するのは避けるべきでしょう。

審査甘い・必ず借りれるローンはある?

「審査が甘いカードローン」「必ず借りれるビジネスローン」「個人事業主でも審査なしで借りれる」といった言葉は、資金繰りに困っている時に非常に魅力的に聞こえるかもしれません。

しかし、結論から言うと、「審査なし」や「必ず借りれる」ローンは存在しません。

貸金業法では、金融機関は申込者の返済能力を調査することが義務付けられています。

審査を全く行わない業者は、法律を守っていない「闇金」である可能性が極めて高いです。

「審査が甘い」という表現も注意が必要です。確かに、金融機関によって審査基準は異なり、銀行よりは消費者金融の方が柔軟な傾向があるのは事実です。

しかし、それは「誰でも通る」という意味ではありません。

安定した収入や返済能力がないと判断されれば、どの金融機関でも審査には通りません。

甘い言葉の罠に注意!

  • 異常に低い金利や好条件: 他社と比べて著しく有利な条件を提示する業者は注意が必要です。
  • 「ブラックOK」「審査なし」といった宣伝: これらは闇金の典型的な手口です。
  • 携帯電話番号だけの広告: 固定電話を持たず、携帯電話だけで営業している業者は怪しい可能性があります。

審査に不安があるからといって、安易にこうした業者に手を出すのは絶対にやめましょう。法外な金利を請求されたり、悪質な取り立てに遭ったりするリスクがあります。

もし、審査にどこも通らない状況であれば、次の「代替案」を検討するか、専門家に相談することをおすすめします。

審査に通らない時の代替案:公的融資から即金策まで

カードローンの審査に通らなかったとしても、資金調達の道が完全に閉ざされたわけではありません。

個人事業主には、カードローン以外にも様々な選択肢があります。

ここでは、比較的時間がかかっても低金利で安心な「公的融資」から、緊急時に役立つ「即金性のある資金調達法」まで、具体的な代替案を詳しくご紹介します。

【時間がある・低金利重視なら】公的融資・支援制度

国や地方自治体は、個人事業主や中小企業を支援するための様々な融資制度を用意しています。

  1. 日本政策金融公庫(日本公庫)

    • 概要: 政府が100%出資する金融機関で、個人事業主の強い味方です。事業のステージや目的に合わせた多様な融資メニューがあります。
    • メリット:
      • 民間金融機関より低金利(年1.0%~3.0%前後が多い ※変動あり)。
      • 長期返済(運転資金7年以内、設備資金20年以内など)が可能。
      • 無担保・無保証人の制度もある。
      • 創業支援に積極的で、赤字決算でも相談可能。
    • デメリット: 審査に時間がかかる(通常2週間~1ヶ月以上)。必要書類が多く、事業計画書の提出が求められることが多い。
    • 代表的な制度:
      • 新規開業資金: 新たに事業を始める方や、始めて間もない方向け。
      • 一般貸付: 幅広い事業資金に対応。
      • 経営環境変化対応資金: 業績が悪化した際の立て直し資金。
      • マル経融資(小規模事業者経営改善資金): 商工会議所等の推薦が必要だが、非常に低金利。
    • 相談窓口: 全国の支店窓口、またはオンライン相談。
  2. 信用保証協会の保証付き融資(制度融資)

    • 概要: あなたが金融機関(銀行、信用金庫など)から融資を受ける際に、信用保証協会が「公的な保証人」となってくれる制度です。これにより、金融機関は融資をしやすくなります。
    • メリット: 民間金融機関からの融資のハードルが下がる。自治体の制度融資と組み合わせれば、低金利や利子補給が受けられる場合がある。
    • デメリット: 信用保証料(借入額や期間に応じて数%)が必要。審査は金融機関と信用保証協会の両方で行われるため、時間がかかる。
    • 相談窓口: 取引のある金融機関、またはお近くの信用保証協会。
  3. 小規模企業共済の貸付制度

    • 概要: 小規模企業の経営者や個人事業主のための退職金制度「小規模企業共済」に加入している方が、積み立てた掛金の範囲内で借入できる制度です。
    • メリット:
      • 審査なしで利用できる(掛金の範囲内)。
      • 手続きが比較的簡単で、早く借りられる(数日〜1週間程度)。
      • 金利が低い(年0.9%または1.5% ※2025年5月現在)。
    • デメリット: 小規模企業共済に加入していることが大前提。
    • 相談窓口: 中小機構(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)。
  4. 生活福祉資金貸付制度

    • 概要: 主に低所得世帯や高齢者・障害者世帯を対象としていますが、失業や収入減により生活に困窮している個人事業主も対象となる場合があります。生活再建のための資金を貸し付ける制度です。
    • メリット: 金利が非常に低い(連帯保証人ありなら無利子、なしでも年1.5%)。返済期間も長く設定されている。
    • デメリット: 収入や資産などの要件がある。生活費の支援が中心で、事業資金としては使いにくい。審査に時間がかかる。
    • 種類: 生活支援費(生活再建までの費用)、緊急小口資金(緊急かつ一時的な費用、最大10万円)など。
    • 相談窓口: お住まいの市区町村の社会福祉協議会。

これらは、民間金融機関に比べて金利が低く、返済期間も長く設定されていることが多いのが大きな魅力です。

ただし、一般的に審査や手続きに時間がかかるため、計画的な利用が求められます。

また、ご自身で手続する時間がなかったり、融資を受けたいけれど、どうして良いのかわからない場合は、専門家に相談することも検討してみましょう。

参考:柏・松戸の創業融資に強い!最高1,800万円の実績!創業融資専門の【創業融資支援センター】

【緊急・即金性重視なら】カードローン以外の資金調達

「来週の支払い、どうしよう…」「公的融資を待っている時間がない!」そんな緊急時には、即金性のある資金調達方法を検討することができます。

ただし、これらは利便性が高い反面、コスト(手数料)がかかる点に注意が必要です。

  1. ファクタリング

    • 概要: 売掛金をファクタリング会社に売却することで、入金日よりも早く現金化するサービスです。融資(借金)ではなく、債権の売買になります。
    • メリット:
      • 最短即日で現金化が可能。
      • 融資ではないため、信用情報に影響しない
      • 審査は主に売掛先(取引先)の信用力が重視されるため、自社の経営状況や赤字決算、税金滞納などがあっても利用しやすい。
      • 多くの場合、担保や保証人は不要。
    • デメリット:
      • 手数料が高い(2社間ファクタリングで10%~20%、3社間で1%~9%程度が相場)。売掛金の額面より受け取れる金額が減る。
      • 3社間ファクタリング(あなた、ファクタリング会社、売掛先の3社で契約)の場合、売掛先にファクタリング利用を知られてしまう。
    • こんな時に有効: 売掛金はあるが、入金までの期間が長く、すぐに運転資金が必要な場合。銀行融資やカードローン審査に通らない場合。
  2. 支払い.com(支払い延長サービス)

    • 概要: クレジットカード決済を利用して、銀行振込などの支払いを最長60日程度先延ばしにできるサービスです。UPSIDER社とクレディセゾン社が提供しています。
    • メリット
      • 手元の現金を減らさずに支払いを済ませ、キャッシュフローを改善できる。
      • 審査なしで利用できる(クレジットカードの与信枠を利用するため)。
      • 手続きがオンラインで完結し、手軽で速い。
      • クレジットカードのポイントが貯まる場合がある。
    • デメリット
      • 手数料がかかる(一律4%程度)。年利換算すると高くなる場合がある。
      • 利用できるのはクレジットカードのショッピング枠の範囲内。
    • こんな時に有効: 一時的に現金が不足しているが、クレジットカード枠には余裕がある場合。仕入れ代金や外注費などの支払いを少し延ばしたい場合。

どの方法を選ぶべきか?

どの代替案を選ぶべきかは、あなたの「緊急度」と「コスト許容度」によって異なります。

  • 時間的な余裕があり、コストを抑えたい → 公的融資
  • 売掛金があり、とにかく早く現金が必要 → ファクタリング
  • 支払いを延ばしたい、カード枠に余裕がある → 支払い.com

審査に通らないからといって焦って闇金などに手を出すことは絶対に避け、ご自身の状況を冷静に分析し、これらの代替案の中から最適な方法を選択、あるいは組み合わせて利用することを検討しましょう。

関連記事:【初めての方必見!】個人事業主向けファクタリングの情報まとめ

関連記事:支払い.comとは?資金繰り改善の仕組みやファクタリングとの違い

個人事業主のカードローン審査に関連した疑問を解消

 

個人事業主のカードローン審査に関連した疑問を解消

 

ここでは、カードローン審査に関して個人事業主の方が抱きがちな、より具体的な疑問にお答えします。

気になるポイントを一つずつクリアにしていきましょう。

よくある質問:限度額や10万円借りたい時

Q. 個人事業主がカードローンで借りられる限度額はいくらですか?

A. 個人事業主が借りられる限度額は、「総量規制」と「審査結果」によって決まります。

  • 総量規制: 消費者金融などの貸金業者からの借入は、原則として年収(個人事業主の場合は所得)の3分の1までと法律で定められています。なお、銀行カードローンは銀行法が適用されるため総量規制の対象外ですが、多くの銀行は自主規制により同様の基準を設けています。
  • 審査結果: 総量規制の範囲内であっても、最終的な限度額は、あなたの収入状況、事業の安定性、信用情報などを基にした審査によって決定されます。そのため、必ずしも年収の3分の1まで借りられるとは限りません。

Q. 審査に通らないけれど、10万円を借りたいのですが、どうすればいいですか?

A. 10万円程度の少額であれば、以下の方法が考えられます。

  1. 消費者金融カードローンに申し込む
  2. クレジットカードのキャッシング枠を利用する
  3. 生命保険の「契約者貸付制度」を利用する
  4. 生活福祉資金貸付制度(緊急小口資金)を検討する

いずれの方法も、ご自身の状況に合わせて慎重に検討することが大切です。

関連記事:延滞中でも借りれる?10万円の資金調達方法とおすすめ消費者金融5選!

どこも通らない時に貸してくれる会社は?

「どのカードローンに申し込んでも審査に通らない…」という状況は非常に苦しいものです。

このような時に「審査がどこも通らないが貸してくれるローン会社」を探してしまう気持ちは理解できますが、非常に危険です。

前述の通り、「誰にでも貸す」「審査なし」をうたう業者は、ほぼ間違いなく闇金だからです。闇金から借りてしまうと、法外な金利や悪質な取り立てに苦しむことになり、状況はさらに悪化します。絶対に手を出さないでください。

以下の点を考慮してみましょう。

  1. 審査に落ちた原因を徹底的に分析・改善する: 信用情報を確認し、延滞などがないかチェックしましょう。確定申告の内容を見直し、収入や所得を正確に示せるようにします。他社借入を整理することも重要です。
  2. 公的融資制度を頼る: 日本政策金融公庫や生活福祉資金貸付制度など、セーフティネットとなる制度の利用を真剣に検討しましょう。時間がかかっても、安全で有利な条件で借りられる可能性があります。
  3. 専門家に相談する:
    • 多重債務の場合: 弁護士や司法書士、法テラスなどに相談し、債務整理(任意整理、個人再生、自己破産)を検討します。
    • 資金繰りの相談: 商工会議所や中小企業診断士などに相談し、経営改善や資金調達のアドバイスを受けます。
  4. ファクタリングを検討する: 売掛金がある場合は、ファクタリングを利用して早期に資金化する方法もあります。

「どこも通らない」状況は、安易な解決策を探すのではなく、根本的な原因に向き合い、公的な制度や専門家の力を借りて乗り越えるべきです。

借入金の経費計上と仕訳方法

個人事業主がローンを利用した場合、その会計処理(仕訳)と経費計上について正しく理解しておく必要があります。

まず最も重要なポイントは、事業のために借りたお金の「利息」は経費として計上できるということです。借入金の元本部分は、単にお金が移動しただけであり、収益を生み出すための支出ではないため、経費にはなりません。

また、生活費などプライベートな目的で借りたお金の利息は、当然ながら経費にはできません。 事業用とプライベート用が混在している場合は、按分(あんぶん)などの適切な処理が必要です。

カードローンの仕訳例

事業用の普通預金口座を使ってカードローンを利用した場合の仕訳例を見てみましょう。

【借入時】カードローンで50万円を借り、事業用口座に入金された場合

借方 金額 貸方 金額 摘要
普通預金 500,000円 (短期)借入金 500,000円 ○○カードローンより借入

※1年以内に返済する場合は「短期借入金」、1年を超える場合は「長期借入金」を使うのが一般的です。

【返済時】事業用口座から元金3万円と利息5千円の合計3万5千円が引き落とされた場合

借方 金額 貸方 金額 摘要
(短期)借入金 30,000円 普通預金 35,000円 ○○カードローン返済
支払利息 5,000円 利息支払い

「支払利息」の勘定科目が、経費として計上される部分です。

正確な会計処理は、税務調査対策はもちろん、ご自身の経営状況を正しく把握するためにも不可欠です。

なお、プライベート分を処理する際に使用する、事業主借や事業主貸の勘定科目の詳細は、以下の記事で確認できますので参考にしてください。

関連記事:事業主貸と事業主借の勘定科目の使い方と仕訳例

まとめ

 

「カードローンの審査に通らない」という悩みは、多くの個人事業主が直面する可能性のある課題です。

しかし、この記事でお伝えしてきたように、審査に通らないのには理由があり、それを理解し対策を講じることで、資金調達の道は開けます。

重要なポイントの再確認

  • 審査落ちの原因を理解して対策を実践する
  • 確定申告書は最重要書類
  • カードローンとビジネスローンを使い分ける
  • メリット・デメリットを理解する
  • 必要書類を準備する
  • 「審査甘い」「必ず借りれる」に注意
  • 代替案を知る
  • 経費計上を正しく行う

カードローンの審査に通らないことは、決して事業の終わりではありません。

むしろ、ご自身の事業や財務状況を見直す良い機会と捉えることもできます。正しい知識を身につけ、一つ一つの課題をクリアしていくことで、あなたはより強く、安定した事業基盤を築いていけるはずです。

この記事が、あなたの資金調達の悩みを解決し、事業を前進させるための一助となれば幸いです。

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