持続化給付金とは?|計算方法・青色申告と白色申告の違い・必要書類・申請方法

 

新型コロナウイルスの影響で、売上が激減している自営業者が急増しています。

 

資金繰りで大変な状況にある方は、最初に公的な支援策の利用を検討していただきたいと思います。

 

民間からの借り入れは素早く資金調達ができるメリットがある反面、返済する必要がありますし手数料が高いといったデメリットがありますが、公的な給付金は貰えるお金だからです。

 

この記事では、個人事業主の計算方法・青色申告と白色申告の違い・必要書類・申請方法についてご説明しています。

 

持続化給付金の対象者

 

持続化給付金は、新型コロナウイルスの影響を受けて、経営を続けることが困難になっている事業者に対して、事業の継続をサポートするために給付されるお金で、1度だけ申請することができます。

 

この給付金の対象となる方は次の通りです。

 

  • 事業を継続する意思がある
  • 2019年以前から事業収入を得ている
  • 1カ月の売上が前年同月比50%以上減少している

 

持続化給付金は、事業の継続をサポートする給付金ですので、今後も事業を継続していく意思がある方でなければ、持続化給付金の対象とはなりません。

 

2020年から事業を始めた方や、雑所得・不動産所得のみで確定申告をしている場合も対象とはなりません。

 

※上記の内容については調整が加えられ、雑所得や給与所得として確定申告をしていたとしても、事業を営んでいるという実態があると判断されると持続化給付金の対象となります。

 

また、2020年1月~3月に事業を始めた方についても対象となるように変更されました。

 

対象となる場合は、下記の給付金を受け取ることが可能です。

 

  • 中小法人・・200万円
  • 個人事業者・・100万円

 

個人事業主の場合は、100万円の給付金を受け取ることができますが、この金額は一律に貰えるわけではなく支給される最大金額ですのでご注意下さい。

 

持続化給付金の計算方法

 

給付額の計算方法については次の通りです。

 

  • 給付額=前年の1年間の売上ー前年同月比で50%以上減少した月の売上×12

 

給付額が100万円を超える場合は上限額の100万円が支給されますが、注意が必要なのは給付額が100万円未満になった場合です。

 

給付額は10万円未満は切り捨てとなりますので、例えば計算結果の給付額が78万円であっても給付額は70万円となります。

 

※5月8日(金曜日)より、「持続化給付金」の支給額の算定方法が変更されました。

 

当初は、10万円未満の給付額は切り捨てとなっていましたが、10万円未満の金額についても給付の対象となりました。

 

1円単位まで計算して支払われることになりましたので、事業主にとっては有難い変更となりました。

 

すでに手続きをして給付金を受け取っている場合でも、10万円未満の部分については後日振り込まれるようです。

 

参考:経済産業省 「持続化給付金」の支給額の算定方法を変更しました

 

給付額の計算をする際、前年同月比で50%以上減少した月の売上を確認する必要がありますが、青色申告と白色申告では算定方法が異なります。

 

また青色申告をしていても、一定の条件を満たしていないと白色申告の算定方法で計算する必要がありますので、併せてご確認下さい。

 

経済産業省から公表されている資料に、個人事業主の青色申告と白色申告の給付金額の算定例が載せられていますので、ご紹介したいと思います。

 

青色申告の算定例

 

出典:経済産業省 持続化給付金申請要領 個人事業者等向け

 

青色申告の算定例を見ると、2019年の月毎の収入に対して2020年4月の収入だけが50%以上減少しています。

 

  • 2019年4月・・30万円
  • 2020年4月・・13万円

 

2020年1月~3月までは、前年と比較すると収入は同じ、もしくは増えています。

 

このように1カ月だけでも、前年同月比で50%以上減少している月があれば、給付の対象となります。

 

この算定例では、減少額を計算すると144万円となり、個人事業主の最大給付金額の100万円を超えるため、100万円が支給されることになります。

 

ただし、青色申告をしていたとしても次に当てはまる場合は、これからご紹介する白色申告の計算方法を使って算定する必要があります。

 

  • 青色申告決算書を提出しない、もしくは提出できない
  • 決算書に月間事業収入の記載がない

 

白色申告の算定例

出典:経済産業省 持続化給付金申請要領 個人事業者等向け

 

白色申告の個人事業者の算定方法については、最初に前年の年間事業収入の合計金額を計算して、月平均の事業収入を計算します。

 

そして、今年の月の収入が前年の月平均の事業収入と比較して、50%以上減少している月があれば給付の対象となります。

 

白色申告の算定例でも、2020年4月の売上が50%以上減少しています。

 

  • 2019年月平均・・25万円
  • 2020年4月・・・10万円

 

このように、2019年の月平均に対して2020年の売上が50%以上減少している月があれば、給付の対象となります。

 

この例の場合、減少額は180万円となります。

 

個人事業主の最大給付金額は100万円ですので、この例の場合も上限額の100万円が給付されることになります。

 

このように青色申告と白色申告では、給付額の算定方法が異なりますのでご注意下さい。

 

給付額を増やすには?

 

給付金の金額を少しでも増やすためにできる事としては、売上が50%以上減少した月が複数ある場合、最も売り上げの少ない月を選んで計算することです。

 

例えば、仮に売上が全くない0円の月があるとすれば、給付額を最大にするためには0円の月で計算した方が良いという事になります。

 

  • 給付額=前年の1年間の売上ー前年同月比で50%以上減少した月の売上×12

 

上記の計算式に当てはめると、売上が0円の場合は給付額=前年の1年間の売上という事になります。

 

ただし、繰り返しになりますが、給付額には上限が決まっています。

 

中小法人は最大200万円、個人事業主やフリーランスであれば、最大100万円までしか給付されませんのでご注意下さい。

 

対象となる月は、2020年1月~12月となっていますので、今後さらに売り上げの減少が予想される場合は、給付の申請を少し待って最も売り上げが減少しそうな月を選ぶと、給付額を増やせるかも知れません。

 

ただし、申請の期限については、2020年(令和2年)5月1日~2021年(令和3年)1月15日までとなっていますので、期限を過ぎることがないようにご注意下さい。

 

持続化給付金利用シミュレーション

クラウド会計ソフトのfreeeが、売上を入力して3つの質問に回答するだけで、持続化給付金の給付見込額を確認できるサービスを提供しています。
このサービスのメリットは、持続化給付金だけでなく、ご自身の状況に応じて利用できる可能性がある他の公的な融資制度まで確認できることです。
例えば、生活衛生業種(旅館業・飲食店・理美容業等)で15年間事業を継続していて、昨年と今年の事業収入が下記のように推移した場合、持続化給付金の受給見込額は100万円で、それ以外にも10件の制度を利用できる可能性のあることが分かりました。
2019年・・1月~12月の収入30万円(年360万円)
2020年・・1月(18万円)、2月(25万円)、3月(30万円)、4月(10万円)
持続化給付金を始めとした公的な制度は、民間の融資と比べて有利な条件で資金調達できますが、制度の数は多く全てを把握するのは難しいです。
ですから、こうしたサービスを利用して、持続化給付金の給付見込額や自分が利用できる公的な制度について調べてみるのもお勧めです。

持続化給付金利用シミュレーションは、freeeのクラウド会計ソフトを使っていない方も無料で利用できます。

 

持続化給付金の申請に必要なもの

 

持続化給付金の申請には、下記のうち3種類の書類を提出する必要があります。

 

  1. 2019年分の確定申告書類
  2. 2020年分の対象とする月の売上台帳等
  3. 通帳の写し
  4. 本人確認書類の写し

 

確定申告書類

 

白色申告の必要書類

 

白色申告の場合は、確定申告書第一表だけでOKです。

 

青色申告の必要書類

 

青色申告の場合は、確定申告書第一表に加えて、所得税青色申告決算書(2枚)が必要です。

 

所得税青色申告決算書は4枚で構成されていますが、そのうちの1枚目の損益計算書と2枚目の月別売上(収入)金額が記載されている損益計算書の内訳が必要です。

 

重要な点として、提出する確定申告書第一表の控えには、収受日付印が押印されている必要があります。

 

収受日付印が押された控えを持っていない場合は、税務署で手続きをすることで発行してもらうことも出来ます。

 

その際は、数百円程度の手数料と本人確認書類が必要となりますので、手続きをする場合は忘れないようにご注意下さい。

 

税務署でe-Taxによる申告をした方であれば、控えに受付日時が印字されている必要があります。

 

e-Taxの必要書類

 

e-Taxによる申告の場合には、受信通知の添付も必要です。

 

ですから、e-Taxで申告をしている場合の必要書類は、白色申告が2枚で青色申告が4枚となります。

 

ただし、確定申告書に電子申告の日時受付番号の記載があれば、受信通知の添付は不要とされています。

 

仮に、収受日付印・受付日時・受信通知など申請に必要とされるものが準備できなかったとしても、提出する確定申告書類の年度の納税証明書(事業所得金額の記載があるもの)があれば、代替することも可能です。

 

売上台帳等

 

売上台帳については、特にフォーマットの指定はありませんので、経理ソフト・エクセル・手書きでもOKとなっています。

 

どの方法で準備するにしても、申請する対象月(売上が50%以上減少した月)の事業収入であることが、明確に確認できる資料を提出する必要があります。

 

通帳の写し

 

通帳の写しを準備するにあたり、次の内容が確認できるように、通帳をスキャンしたり撮影する必要があります。

 

  • 銀行名
  • 支店番号
  • 支店名
  • 口座種別
  • 口座番号
  • 名義人

 

ネット銀行を利用している場合のように、紙媒体の通帳がないケースでは、電子通帳等の画面をキャプチャするなどして、画像を準備し提出します。

 

ご注意いただきたいのは、上記の内容が1つでも確認できなかったり、撮影した画像が不鮮明であった場合、給付まで時間が掛かったり給付を受けることができない可能性もあります。

 

情報の漏れがないように、そして鮮明な画像を準備して手続きをして下さい。

 

本人確認書類の写し

 

本人確認書類については、下記のいずれかを使用して準備することができます。

 

  1. 運転免許証(両面)
  2. 個人番号カード(表面)
  3. 住民基本台帳カード(写真付き・表面)
  4. 在留カード・特別永住者証明書・外国人登録証明書(両面)

 

また、代替できるものとしては下記があります。

 

  1. 住民票の写し+パスポート(顔写真掲載ページ)
  2. 住民票の写し+各種健康保険証(両面)

 

本人確認書類の写しを準備する際も、住所や名前などの情報や顔写真がはっきり確認できるようにしましょう。

 

また、申請のために準備する各データ画像については、PDF・JPG・PNGのいずれかの形式で保存する必要があります。

 

参考:経済産業省 持続化給付金申請要領 個人事業者等向け

 

持続化給付金の申請手順

 

持続化給付金の申請の流れは次の通りです。

 

  1. 持続化給付金の公式サイトへアクセス
  2. 申請するのアイコンから仮登録
  3. メールが届いていることを確認して本登録
  4. マイページから必要事項を記入
  5. 必要書類を添付
  6. 申請

 

給付金の申請をすると、2週間程度で指定の口座に入金されます。

 

持続化給付金の申請用ホームページ(https://jizokuka-kyufu.jp/)にアクセスすると下記の画面が表示されますので、赤枠の「申請する」から一連の手続きをします。

 

 

参考:経済産業省 持続化給付金の入力項目と申請手順

 

持続化給付金の公式サイトでも、注意喚起がされていますが、詐欺の発生やなりすましサイトの存在が確認されています。

 

詐欺の被害にあったり、個人情報を不正に取得されて悪用されるリスクもありますので、注意していただきたいと思います。

 

持続化給付金については、今後も新たな情報が追加されたり内容が変更される可能性があります。

 

持続化給付金の新たな情報については、この記事でも追記していきますが、最新の正確な情報を得るために一次情報源の確認をお勧めしたいと思います。

 

事業主にとっては大変な状況がしばらく続くことが予想されますが、持続化給付金を受け取って事業の継続に役立てていただきたいと思います。

 

なお、持続化給付金を受け取る際の勘定科目や仕訳については、下記の記事でご説明していますので必要であればご確認下さい。

 

参考記事:持続化給付金の勘定科目と仕訳例【個人事業主向け】

 

>個人事業主のお金に関する情報メディア「個人事業主プラス」

個人事業主のお金に関する情報メディア「個人事業主プラス」


主に個人事業主のお金に関する情報発信を通じて、ご覧頂く方のお役に立つメディアを目指しています。