【事業者向け】データ復旧業者おすすめ比較｜緊急時の選び方

ある日突然、大切な業務データにアクセスできなくなる事態は、まさに悪夢です。

特に個人事業主やフリーランスの方にとって、請求書や納品データ、クライアントから預かった機密情報の消失は、事業の存続に直結する重大な問題となります。

この記事では、データ復旧業者の利用を検討している法人、特に個人事業主やフリーランスの方に向けて、ビジネス要件（即日対応、機密保持、インボイス発行など）を踏まえ、おすすめの業者の選び方や比較ポイントを詳しく解説します。

【事業者向け】おすすめのデータ復旧業者の選び方

個人事業主やフリーランスがデータ復旧業者を選ぶ際は、単に「復旧できるか」だけでなく、「事業の継続」を支える視点が求められます。

ここでは、業務利用を前提とした業者選びの重要なポイントと、信頼できる業者を見極める方法について解説します。

比較ポイント

個人事業主やフリーランスがデータ復旧業者を選ぶ際、一般の個人利用とは異なる、ビジネス特有の比較ポイントが存在します。

事業継続の観点から、以下の4つの要件を満たすかどうかが、主な業者選定の鍵となります。

スピード（即日対応・土日祝対応）

クライアントワークの納期や、経理処理のデッドラインが迫っている場合、1日の遅れが致命的になることもあります。

持ち込みや出張、当日集荷による「即日診断」や「即日復旧」に対応しているか、また土日祝日や夜間でも相談・作業を受け付けてくれるかは、緊急時に事業を止めないために最も重要な要素の一つです。

（※「即日復旧」は、多くの場合、初期診断や軽度な論理障害が中心であり、障害の程度や受付時間、部品の在庫状況によります）

機密性（NDA締結・セキュリティ認証）

業務データには、クライアントの機密情報や個人情報、未公開の成果物、インボイス情報などが含まれます。

データ復旧を依頼するということは、これらの重要情報を業者に預けることを意味します。

そのため、秘密保持契約（NDA）の締結に快く応じてくれるか、またプライバシーマーク（Pマーク）やISO27001（ISMS）といった第三者認証を取得しているかは、情報漏洩リスクを管理する上で必須の確認項目です。

支払い条件（インボイス・請求書払い）

事業の経費として処理するために、インボイス（適格請求書）に対応した請求書や領収書を発行してもらえるかは、経理上非常に大切です。

また、高額になる可能性もあるため、月末締め翌月払いなどの「請求書払い（後払い）」に対応していると、手元のキャッシュフローを圧迫せずに済みます。

料金体系

多くの業者は、データが復旧できなかった場合に費用が発生しない「完全成果報酬制」を採用しています。

しかし、中には診断料やキャンセル料、作業費が別途発生するケースもあります。

例えば、業者によっては、復旧の可否に関わらず作業費が必要となるケースもあるため、見積もり時に必ず確認が必要です。

見積もり段階で、どこからどこまでが「成果」なのか、追加費用が発生する可能性はないかを明確に確認するようにしてください。

これらの点を踏まえ、主要なデータ復旧業者の比較検討をおすすめします。

▼主なデータ復旧業者の比較表▼

※対応状況、特にインボイス（適格請求書）や請求書払いの可否は、会社ごと・案件ごとに異なる場合があるため、依頼前に必ず各社の公式サイトで最新情報をご確認ください。

口コミ・評判の確認

データ復旧業者の信頼性を測る上で、口コミや評判の確認は欠かせません。

ただし、口コミを参考にする際は、特定のサイトのランキングやレビューだけでなく、Googleマップの口コミやSNS（Xなど）での生の声を横断的にチェックすることが望まれます。

特にGoogleマップの口コミは、実際にその店舗を利用した人の感想が投稿されやすく、拠点の対応品質を見る参考になります。

例えば、「特急データ復旧ウィンゲット」や「LIVEDATA」、「DATASMART」、あるいはPCサポート全般を提供する「Ｇ・Ｏ・Ｇ」などは、全体として高い評価を得ています。

一方で、悪い評判にも目を通し、その評価に至った理由が何かについても確認しておきましょう。

例えば、復旧できなかったといった技術的な問題か、対応が悪かったのか、料金面での不満なのかを切り分けて判断する必要があります。

データ復旧はメディアの状態によって結果が左右されるため、全てのケースで成功するわけではない点も理解しておきましょう。

料金相場の目安

データ復旧の料金は、障害のレベルとメディアの種類・容量によって大きく変動します。

これから、論理障害と物理障害についての比較による料金相場の違いに注目します。

また、スポット依頼と会員制サポートについても考慮して、コストに関する考え方についても比較検討していきます。

安易に「格安」を謳う業者に飛びつくと、かえって状態を悪化させたり、後から高額な追加費用を請求されたりするリスクも否めません。

まずは、障害の種類と障害の程度によって、どの程度料金が変わるのは、一般的な料金相場について取り上げます。

• 論理障害: データ削除、フォーマット、ファイルシステムの破損など。機器自体は壊れていない状態。
• 物理障害: HDDの異音（カチカチ音）、落下による破損、水没、基板の焼損など。機器が物理的に壊れている状態。

物理障害は復旧の難易度が格段に上がり、クリーンルームなどの専門設備が必要になるため、料金は高額になる傾向があります。

一般的な料金相場としては、以下のような目安が挙げられます。

• 論理障害（軽度）: 3万円～10万円程度
• 論理障害（重度）: 5万円～15万円程度
• 物理障害（軽度～中度）: 10万円～30万円程度
• 物理障害（重度）: 20万円～

例えば、LIVEDATAでは軽度障害が「44,000円～」、重度障害が「99,000円～」とレベル別に明記されています。

一方で、PCエコサービスのように「一律39,800円」といった定額制を採用している業者もありますが、対応できる障害の範囲に制約がある場合もあるため、事前に確認することが大切です。

また、業者によっては、「500GB以下5,000円～」といった容量帯の目安を提示しているケースもありますが、これはあくまで最低料金の目安であり、実際の費用は障害の程度によって大きく変動するため、診断後の見積もりが実費となります。

重要なのは、可能な範囲で、複数の業者に初期診断（無料診断）を依頼し、相見積もりを取ることです。

その際、見積もりの内訳（診断料、作業費、部品代、成功報酬）が明確であるかを確認しましょう。

また、個人事業主やフリーランスの場合、事業に関連した支出は経費計上が可能です。

データ復旧の際に業者に支払う費用は、忘れずに会計処理を行いましょう。

悪質な業者を避ける方法

残念ながら、データ復旧業界には利用者の不安に付け込む悪質な業者も存在します。

大切なデータを守り、無用なトラブルを避けるために、以下の特徴を持つ業者には警戒が必要です。

異常に高い復旧率の誇示

中には、異常に高い数値を謳う業者がいますが、この「復旧率」には公的な定義や算出基準がありません。

業者にとって都合の良いデータを集計している可能性も考えられます。

復旧率の数値よりも、具体的な復旧実績や技術的な根拠、例えば設備の有無などを重視しましょう。

極端に安い料金・不明瞭な料金体系

極端に安い料金を提示する業者は、初期診断後に高額な追加費用を請求したり、技術力が低かったりするリスクがあります。

「完全成果報酬」と謳っていても、何をもって「成功」とするかの定義が曖昧な場合も考えられます。

例えば、一部のデータしか復旧できていないのに成功とされるようなケースも考えられるため、契約前の確認が不可欠です。

診断後の強引な契約

無料診断を依頼した後、メディアを送ると「作業を進めないとデータが消える」などと不安を煽り、高額な契約を急かせるケースがあります。

見積もり内容に納得できなければ、毅然とキャンセルを申し出ることが大切です。

キャンセル料や返送料が無料であるかも事前に確認しておきましょう。

信頼できる業者を選ぶ一つの目安として、一般社団法人 日本データ復旧協会（DRAJ）に加盟しているかどうかを確認する方法があります。

DRAJは業界の健全化を目指す団体であり、加盟企業は一定の行動指針に従うことが求められています。

参考：一般社団法人 日本データ復旧協会（DRAJ）

iPhoneデータ復旧業者

デザイナーや映像クリエイターなどのフリーランスにとって、iPhoneは業務連絡や資料確認に欠かせないツールです。

起動不可やリンゴループ、水没などでデータが取り出せなくなると、業務に多大な支障をきたします。

iPhoneのデータ復旧は、Apple特有のAPFSファイルシステムや強力なデータ暗号化設計により、高度な技術を要します。

ここでは、iPhoneの復旧実績が豊富な業者をピックアップします。

デジタルデータリカバリー

スマホやiPhoneの復旧にも力を入れており、最新機種やOSのアップデートに伴う障害にも迅速に対応できる体制が強みです。

24時間365日の受付と、セキュリティ（ISO27001・Pマーク）の高さは、機密情報を扱う事業者にとって安心材料となります。

DATASMART

iPhoneやiPad、MacBookなどApple製品のデータ復旧に特化したサービスを展開しています。

警察などの捜査機関からの依頼実績もあり、その技術力は高く評価されています。

水没や物理破損など、重度障害にも対応可能です。

AOSデータ復旧サービスセンター

警察や検察への捜査協力実績が示す通り、高い技術力を持つ業者です。

NECやSONYなど大手メーカーとも提携しており、スマホやiPhoneの復旧に関しても多くのノウハウを有しています。

スマホ（Android）データ復旧業者

Androidスマートフォン（Xperia, Galaxy, AQUOSなど）も、機種やOSの多様性から復旧の難易度が高いメディアの一つです。

iPhoneと同様、業務データを保存している個人事業主は少なくありません。

Androidのデータ復旧 スマホの依頼先としては、前述のiPhone対応業者（デジタルデータリカバリー、DATASMART、AOSデータ復旧サービスセンター）が、同様にAndroidの復旧にも豊富な実績と技術を持っています。

これらの業者は、基板の損傷やシステムエラー、水没など、様々な症状に対応できる設備と専門エンジニアを有している点が共通しています。

スマホのデータは非常に機密性が高いため、復旧技術だけでなく、セキュリティ体制が万全である（PマークやISO認証がある）業者を選ぶことが極めて重要です。

SDカード・USBメモリ等のデータ復旧業者

個人事業主にとって、SDカードとUSBメモリは業務データを扱う上で欠かせない、最も身近な記録メディアです。

例えば、フォトグラファーや映像クリエイターにとって、SDカードは撮影データやドローン空撮映像といった「成果物そのもの」を保存する重要なアイテムです。

一方で、士業やコンサルタント、デザイナーにとっては、USBメモリが請求書、見積書、機密情報を含むプレゼン資料の受け渡しや持ち運びに今なお広く使われています。

これら小型メディアは、抜き差しの頻度が高いために端子部分が破損したり、静電気やシステムエラーで論理障害が発生しやすいという共通のリスクを抱えています。

例えば、エラー表示、PCが認識しない、誤ってデータを削除した、といったトラブルは後を絶ちません。

SDカードやUSBメモリのデータ復旧業者を選ぶ際は、以下のポイントが重要になります。

1. 物理障害への対応力: USB端子の折れやSDカードの割れ、水没など、物理的な破損に対応できる専門設備と技術があるか。
2. アクセスの容易さ: 緊急時に備え、全国に持ち込み拠点が多数あるか、あるいは郵送での受付がスムーズか。

これらのメディアの復旧依頼先として、以下の業者が挙げられます。

特急データ復旧ウィンゲット

全国に多数の受付拠点を持ち、持ち込みでのスピーディーな診断・対応が強みです。SDカードやUSBメモリなど、小型メディアの復旧実績も豊富で、緊急性が高い場合に頼りになります。

A1データ

1994年創業の老舗であり、データ復旧業界で30年以上の実績を持ちます。SDカードやUSBメモリに関する長年のノウハウの蓄積が、信頼につながります。

ロジテック（Logitec）

自社でストレージ製品を製造・販売しているメーカー系の強みを活かし、SDカードやUSBメモリの障害にも対応しています。メディアの構造を熟知している安心感があります。

アドバンスデザイン

RAIDやサーバーなど大規模システムに強い大手ですが、もちろんUSBメモリなどの小型メディアにも幅広く対応しています。

バッファロー

同じくメーカー系のサービスとして、USBメモリの復旧にも対応しています。

特に注目すべきは、バッファロー製のUSBメモリで、保証期間内かつ軽度の論理障害であれば、無償でデータ復旧サービスを受けられる可能性がある点です。

該当する製品をお持ちの場合は、真っ先に相談すべき選択肢と言えるでしょう。

ビックカメラなどの家電量販店のデータ復旧

「ビックカメラのデータ復旧の評判は？」「ヤマダ電機の料金はいくら？」「カメラのキタムラは？」といった、家電量販店のデータ復旧サービスに関心を持つ方も多いようです。

家電量販店のサービスは、窓口が身近にある安心感が最大のメリットです。

しかし、多くの量販店サービスの実態は、提携している専門業者（例えば、アドバンスデザインはバッファローの復旧サービスと技術連携しています）への「取次窓口」であることが大半です。

そのため、以下の点を理解しておく必要があります。

スピード

量販店を経由する分、診断や復旧に余分な日数がかかる可能性があります。

緊急対応（即日）を望む場合は、専門業者に直接持ち込む方が早いケースが多いです。

料金

取次手数料が上乗せされるわけではありませんが、専門業者に直接依頼した場合の割引やキャンペーンが適用されない可能性があります。

ただし、バッファローのように、メーカー直営の復旧サービスでは「保証期間内の自社製品」かつ「軽度の論理障害」であれば無償で復旧できる場合もあり、これは大きなメリットです。

機密性

もちろん厳重に管理されますが、NDA（秘密保持契約）の締結など、事業者向けの柔軟な対応は、専門業者に直接依頼する方がスムーズです。

緊急性が低く、窓口での対面相談を重視する場合は量販店も選択肢になりますが、スピードとビジネス要件を最優先する個人事業主は、専門業者への直接相談が合理的と言えます。

機密性が高い復旧依頼で注意すべきこと

「個人的な写真やファイル、あるいは会社の重要なデータを他人に見られてしまうのではないか」という不安は、データ復旧をためらう大きな理由の一つです。

これは個人事業主にとって、より深刻な問題です。

なぜなら、データの中身が単なるプライベートなものではなく、「クライアントの機密情報（NDA対象）」や「インボイス履歴」など重要なデータである可能性が高いからです。

ですが、データの復旧作業において、中身の確認は避けられないプロセスです。だからこそ、業者のセキュリティ体制が生命線となります。

信頼できる業者を選ぶ際に、お勧めなのが、以下の機密性を担保する3つの指標です。

1. Pマーク（プライバシーマーク）の取得: 個人情報の取り扱い体制が適切であることの証明です。
2. ISO27001（ISMS）の取得: 情報セキュリティ管理体制が国際基準を満たしていることの証明です。
3. NDA（秘密保持契約）の締結: 依頼前に、法的な守秘義務契約を結べるかどうかは、事業データを預ける上で最低限の条件です。

デジタルデータリカバリー、アドバンスデザイン、AOSデータ、LIVEDATA、特急データ復旧ウィンゲットなど、本記事で紹介している大手業者の多くは、これらの認証を取得し、NDA締結にも対応しています。

業務データを預ける際は、料金やスピードだけでなく、機密性に関する体制を最優先に確認してください。

参考：プライバシーマーク制度 (JIPDEC)

まとめ

この記事では、主に個人事業主やフリーランスの方を対象に、データ復旧業者のおすすめの選び方について、解説してきました。

データ消失という緊急事態において、最適な業者を選ぶことは、事業の継続と信用を守るために不可欠です。

単に料金が安い、あるいは復旧率が高いといった表面的な情報に惑わされず、ご自身の状況（緊急度、データの種類、予算）などに合った業者を見極める必要があります。

重要なのは、クライアントの機密情報や経理データを守るための「セキュリティ体制」が万全であること、事業を止めないための「スピード」があること、そして経費処理のための「支払い条件（インボイス、請求書払い）」等に対応していることです。

また、障害発生時の「スポット依頼」だけでなく、Ｇ・Ｏ・Ｇが提供するような「会員制ITサポート」を活用し、月額費用で日々のトラブル対応と万が一のデータ復旧の両方に備えるという選択肢も、個人事業主にとっては合理的です。

まずは、無料診断を提供している信頼できる業者に複数相談し、見積もりと対応の質を比較することから始めてみてください。

▼主なデータ復旧業者の比較表▼